Country:France Debut:2018年12月 車両本体価格:790万円~829万円 REPORT●工藤 貴宏(KUDO Takahiro) PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio

1960年代から70年代にかけて数々のラリーで優勝した「A110」を現代に蘇らせたリアルスポーツカー。この車両のために専用設計のミッドシッププラットフォームが開発され、ハンドメイドに近い特別なラインで少量生産される。
メガーヌR.S.」と基本設計を共用する1.8ℓ4気筒直噴ターボエンジンだが、実は出力はこちらの方が低い。それは、鋭いピックアップや高回転の伸び感など官能性を重視した味付けになっているからだ。スペックは控えめだが、0-100㎞/h加速は4.5秒とかなりの俊足。
後輪駆動スポーツカーらしくタイヤは前後異サイズ。撮影車の「PURE」は軽さ重視のグレードらしく、視覚的にも軽さを感じさせる細いスポーク。プレミアムな「LINEAGE」のホイールはディッシュ形状となる。
全長:4205mm ホイールベース:2420mm
全高:1250mm 全幅:1800mm
ミラー・トゥ・ミラー:1985mm

車両前後に荷室を備え、フロント側は床面積がより広いつくり。しかし前後とも深さが200㎜前後しかなく、かなり割り切った設計だ。このクルマは走りに妥協なく軽く仕上げることが最大の目的であり、実用性は二の次なのだ。

最小限の計器やスイッチだけを組み合わせた走るための空間。クラシックな雰囲気を醸しつつもタッチパネルを標準採用し、ステッチ入りレザー張りのダッシュボードや金属削り出し風のスイッチなどが上質感を高める。
リクライニング調整機能すら持たない、まるでレーシングカーのようなデザインで身体をしっかりと包み 込んで保持するバケットシートを「PURE」に採用する。レザーとアルカンターラを表皮にコーディネー トするこのシートは、レーシングギアメーカーのサベルトが製造するモノコック構造。1脚当たり14.1㎏ という軽さも自慢だ。「LINEAGE」には6ウェイ調整機能を組み込んだ軽量コンフォートシートが備わる。

一見したところアナログに見えるメーターだが、実はフル液晶パネル。あえてアナログ的に見せているのだ。回転計と速度計の中心は、それぞれ回転数と速度が数字で示される。足元はアルミをコーディネート。チェッカーフラッグ柄は滑り止めも兼ねている。操作系は最新のトレンドが多く反映され、シフトセレクターはボタン式で、パーキングブレーキも電動を採用する。

開発チームが理想とする味付けを楽しめるのが「スポーツモード」。メーター表示のデザインも切り替わる。
スポーツモードのスイッチはステアリングに内蔵。走行中でも瞬時に、ハンドルから指を離すことなく操作できる。
パドルシフトはサイズが大きなアルミ製。コラム固定式なのでステアリングを回しても位置は不変だ。
ターボの過給圧をはじめとする各種データをディスプレイで確認できる。