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 アメリカのフロリダ州レイク郡タバレス市で、生涯のほとんどを路上で過ごしてきたと思われる老いた猫が、保護施設のスタッフに保護された。

 ボロボロの姿だったそのオス猫は、怪我や感染症を患っていたが、治療を経て、スタッフが自宅へ連れ帰ると本来のやさしい性分を表し始めた。

 そしてこの猫は晩年の自分の使命を決めたかのようだ。後からやって来た孤児の子猫に愛情を注ぎ、甲斐甲斐しくお世話をするようになったという。

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長年の路上暮らしでボロボロの状態だったトラ猫のラント

 フロリダ州タバレス市にある動物保護施設に保護されたオスのトラ猫ラントは、長い間の路上生活経験の辛さを物語るように、ボロボロの状態だったところを救助された。

 施設スタッフがラントを獣医院へ連れて行くと、ラントは痩せ細っていただけでなく、怪我した傷口が開いたままになっており、上気道感染症や猫免疫不全ウイルス感染症(FIV+)も患っていることがわかった。

 推定年齢14歳とされるラントは、治療のためにそのまま獣医院で数週間を過ごした。その後体調が回復し、里親ケアを行っている同施設スタッフのエミリーブライスさんが、ラントを自宅へ連れ帰ることにした。


エミリーさん、そのままラントを引き取ることに


 通常、保護施設スタッフは保護された動物を一時的に預かるも、その後は新しい飼い主を探すことになる。

 エミリーさんは里親ケア先としてラントを一時的に預かるつもりだったのだが、ラントはエミリーさん宅に連れて来られると、すっかり落ち着いてしまった。

 痛みや不快感からすっかり解放されたラントは、本来の性分を取り戻し始め、エミリーさんが預かっている他の先輩猫たちともすぐに仲良くなった。

 ラントは、屋根のある家に暮らし、美味しい餌を与えられ、猫の友達ができたことを心から喜んでいるようだった。

 ラントが居心地よさそうにしているのを知ったエミリーさんは、このままラントを引き取ることにした。

ラント、孤児の子猫たちの父親役をかって出る

 4月末、エミリーさんは保護された別の子猫たちを自宅へ連れ帰った。

 白と黒の子猫ドリーは、トラックのエンジン部分にはさまっていたところを救助・保護された。もう一匹の子猫リースも小屋の中で発見され、2匹が母親のいない孤児として保護施設に引き取られたのだ。

 ドリーは、1ポンド(約454g)にも満たないほど小さかったことから、エミリーさんは里親ケアをしても生き延びないかもしれないと不安を抱いていた。

 ところが、ラントが素早くドリーの父親役を買って出た。

 ドリーを連れ帰ったその日に、ラントはまるで母猫のようにドリーに愛情を与えながら、丁寧に舐めて毛づくろいをし、育て始めたという。


自分の生きる意味を見出したラント。子猫たちの救世主に


 シャイで臆病だったドリーも、ラントに出会って変わった。

 かいがいしく世話をしてくれるラントにドリーはすぐになついて、2匹はまるで本当の親子のように仲良しになった。


 「ラントは、私の家で孤独な子猫を癒す代理父となっています」とエミリーさんは話す。

 辛く長い路上生活を経て、ようやく我が家にたどり着いたラント。愛情を受けることのうれしさを知り、自ら愛情を注ぐことに意義を見出したかのようだ。

 今ラントは1匹じゃない。エミリーさんの家で多くの動物たちに囲まれ、愛情あふれる日々を送っている。


 ドリーとラント、その他の保護動物たちの様子は、インスタグラム『gingeralfalfa』で見ることができる。

References:Lake County Florida Animal Shelter/ written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52275790.html
 

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