似通ったキャリアを歩む2人のレジェンド イニエスタが引退宣言の友に送った言葉

 J1サガン鳥栖の元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスは21日、自身のSNSで現役引退の意向を表明した。世界各国のメディアや選手から数多くのメッセージが届くなか、ヴィッセル神戸の同MFアンドレス・イニエスタが送った惜別のメッセージを海外メディアが「感動的な別れ」と大々的に取り上げている。

 アトレチコ・マドリードでトップデビューを果たしたトーレスは、19歳でキャプテンを任されると、類稀なゴール嗅覚から“エル・ニーニョ”(神の子)の異名をとった。その後、2007年にリバプールへ移籍するとゴールを量産し世界的ストライカーへと飛躍。チェルシーではスランプに陥るも、ACミランを経て古巣アトレチコへと復帰した。

 そして昨夏に鳥栖へと加入。熾烈な残留争いに巻き込まれるも、前線で体を張るターゲットマンとして“フォア・ザ・チーム”のプレーに徹し、残留に貢献した。今季は度重なる負傷離脱やルイス・カレーラス監督の解任もあり、現在の金明輝監督の下では先発から外される試合が増えるなど厳しい時期を過ごし、シーズン半ばで引退を決断することになった。

 発表から1日が経ち、惜別の言葉を送ったのがイニエスタだった。「兄弟。スポーツ人生のすべての面で横並びで歩み、特別で忘れ難い瞬間を過ごした。それは本当に、誰よりも君という男だ。すべての面で偉大だった。君に幸あれ」と文章を添え、スペイン代表でチームメートとして歓喜をともにしている写真や、Jリーグで敵として対面している写真など、これまでのキャリアを総括するように多くの写真を組み合わせて一枚にした画像を公式インスタグラムで公開した。

 これを受け、海外メディア「Be Soccer」は「イニエスタトーレスに感動的な別れ」と見出しを打って報じ、「イニエスタトーレスと常に多くの共通項を持っていた。人生を横並びで歩んでいた」と綴り、「イニエスタを語るにはトーレスなしでは不可能であり、同時にそれはトーレスにも言える。スペイン代表もイニエスタなしには成立せず、トーレスなしには成立しない。両者ともに歴史を刻んだのだ」と説明している。

 プライベートでも親友同士であることで知られるイニエスタトーレスは、1984年生まれの同い年。少年時代からともに年代別代表に選出され、トップチームでも主力となり、スペイン黄金期を築いた。そして、同時期にリーガ・エスパニョーラを離れることになると、同時期にJリーグへと加入するという、まさに運命的なほど類似したキャリアを歩んできた。トーレスが引退することで、2人の歩んできた道は分岐点を迎えることになるが、両者ともスペインの偉大な英雄であることに変わりはない。(Football ZONE web編集部)

イニエスタが現役引退の意向を表明したトーレスに惜別のメッセージを送った【写真:Getty Images】