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罪悪感しかなかった「おやつ」も上手にとることで無理なくやせることができるという。ねらい目は昼食と夕食の間の、小腹がすく17時ごろ。必要な条件を知り、ダイエットの味方につけよう!

「やせようと思うと当然のごとく、食べる量を減らす人が多いですよね。まずはおやつ(間食)をガマンする。でもいちばんの問題は、それによって過度に空腹な時間ができることなのです」

これまでのダイエットの常識をくつがえすように、興味深い話を始めたのは医学博士の池谷敏郎先生。

「人はガマンすればするほど食欲が加速し、結果的にドカ食いをしてしまいがち。つまりはダイエットにとって逆効果です。それに、空腹状態になると交感神経が緊張してストレスホルモンが分泌され、血行不良、動脈硬化、頭痛、肩こり、冷え性など、さまざまな不調が起こりやすくなる。健康を維持しながらやせるためにも、おやつを食べることは有効です」(池谷先生・以下同)

とはいえ、やみくもに食べていいはずはない。“おやつの条件”とはどんなものだろう。

「3食をきちんと食べていることが前提ですが、現代の生活スタイルだとどうしても夕食の時間が遅くなり、昼食との間があく傾向にあります。ですから、夕方の17時前後がいちばんおなかのすく時間。ここでおやつを食べておくのが理想的です」

では、このときにどんな栄養素をとればいいのか? まず意識したいのが次の2つの栄養素だ。

【タンパク質】

筋肉をはじめ、肌や骨など体をつくる栄養素。しっかりとらないと、体重は落ちても体はボロボロになり、女性の場合、確実に垂れ下がる。筋肉をつけることで脂肪が燃えやすい体になり、やせホルモン(GLP-1)も分泌される。

【食物繊維】

水溶性、脂溶性ともに便通を改善し、結果、胆汁が新陳代謝されるのも利点。胆汁は脂肪を燃やす司令塔で、新しいほどよく働く。また、水溶性は脂肪を燃やして蓄積を防ぐ「短鎖脂肪酸」をつくり、やせホルモンも分泌される。

【その他】

体調管理に欠かせないのに、不足しがちなビタミンやミネラル。ほか、水溶性食物繊維と同様、短鎖脂肪酸をつくり、腸内環境を整える発酵食品も積極的にとりたい。また、微量ではあるが、筋肉をつくるときには糖質も必要。

「おやつのときとるべきなのが、まずはタンパク質。肉類や魚介類、豆類、乳製品に含まれる栄養成分で、筋肉の生成にかかわり、脂肪が燃えやすい体をつくってくれます。それから、野菜やフルーツに多く含まれる食物繊維。体内に滞った老廃物を流してくれるほか、脂肪燃焼をサポートしてくれるので、こちらもダイエットに欠かせない栄養成分です」

厚生労働省の調査によると、2つとも美容と健康に欠かせない栄養でありながら、多くの人が不足しているという。だから意識的に、積極的にとる必要がある。

「そこでおすすめしたい食材が、その両方を含む大豆などの豆類。実際、私がダイエットに成功したのは、大豆のおかげといっても過言ではありません。これをベースにして、同じように不足しがちなビタミンやミネラルをうまく組み合わせるといいと思います。NGなのは糖質。血糖値が急上昇し、脂肪をため込みやすい体をつくってしまいます。空腹時は特に危険なので、たとえ少量でも、あめやチョコレートで空腹をしのぐのは避けてください」

じつはタンパク質と食物繊維を中心にしたおやつには、次の食事をダイエット食に変える力もあるという。

「この2つの栄養成分をとっておくと、次の食事のとき、血糖値が上がるのを防いでくれるのです。これを“セカンドミール効果”といい、おやつはまさに、ひと粒で2度おいしいダイエットフードといえるでしょう。逆に“食べずにやせる”ダイエットは、いっさいおすすめできません。確かに体重は減りますが、一緒に筋肉=代謝も落ち、結果、やせにくい体になってしまいます。さらに、筋肉が落ちたところには脂肪がつくという悪循環も」

栄養を筋肉に変えるためには、適度な運動も大切。代謝が上がってやせるサイクルが生まれ、体にメリハリがつく。さらには内臓脂肪も燃やせる。ポイントは毎日続けること。そこで池谷先生発案の体操を紹介。この体操なら、誰でも手軽に行える。

ゾンビ体操

(1)おなかをへこませるように力を入れ、姿勢よく立つ。
(2)腕から指先まで力を抜き、ぶらんと垂らす。
(3)そのまま1分間、小刻みに足踏みする。腕は脱力したまま大げさに振る。
(4)30秒間そのまま歩く。
(5)2~4を交互に3回繰り返す。

かかとをあげ、つま先だけで行うとより効果的。両腕は完全に脱力し、揺れるがままにぶらぶらさせる。背中が丸まらないように注意して。

■トイレ体操

座るときと立つときに、スロースクワットのようなイメージで、8~15秒間かける。

健康的に美しくやせたいなら、正しいおやつでしっかり栄養をとって体をつくり、末永く体形を維持しよう。