南アフリカクルーガー国立公園では野生動物を間近で見るという貴重な体験ができるが、それだけに命の危険も常にある。このたび逃げることができない状況になり、ゾウに車を攻撃されるという出来事があった。『TimesLIVE』など複数のメディアが伝えている。

ゾウの攻撃は6月13日クルーガー国立公園の南部にあるツォクワネ(Tshokwane)という地区で起こった。南アフリカ・ハウテン州センチュリオン(Centurion)に住むマリアン・クエナストさん(Marianne Kuehnast、40)は、母親(73歳)と一緒に滞在し、所有車の日産SUVキャシュカイサファリを楽しんでいた。

そこでゾウの群れが道路を横断する光景に出会った。前方にいた車は群れが道路を渡る直前に通り過ぎたため、クエナストさんは一番前でこの光景を目撃することとなった。群れには赤ちゃんゾウもいたため、距離を置いて道路を渡るのを見守っていた。すると突然、1頭のゾウが車に向かって走ってきた。

クエナストさんは逃げるため車を後進させようとしたが、トレーラー付のトヨタ車が後ろにいて、その運転手が手で「後ろに下がれない、どうしようもない」とジェスチャーで知らせてきた。トヨタ車の後ろにも車が並び、いずれも動きが取れない様子だった。

ゾウは逃げ場のないクエナストさんの車を顔や牙で攻撃してきた。この時、クエナストさんは「人生が終わった」と思ったそうだ。そして2度目の攻撃をした後、車のエンジンを止めるとゾウは群れに戻っていった。車はボンネットが歪み、前部が破損、ライトのカバーもひび割れており、ゾウの威力を表している。幸運にもクエナストさんや母親は無傷で、車はかろうじて運転できたという。

この様子が南アフリカ国立公園局(SANParks)のFacebookに投稿されると、偶然にも当時クエナストさんのそばにいたという人から「ゾウに距離を置いて止まったのは正解だけど、あなたにとって残念だったことは後退が非常に難しいトレーラーが後ろにいたこと。ゾウは理由なく攻撃してきたようだ」とコメントしている。

また、ゾウに攻撃された人は少なくないようで、「ゾウの牙がドアを突き破ってシートまで到達した。逃げていなかったら命はなかったかも」、「ライオンを見ていたら突然ゾウが道に出てきた。後ろに車がいなかったからすぐにバックして逃げた」などの経験談も見受けられた。

自家用車でサファリを楽しむ際、前後の車が距離をおかずにいると「こういう悲劇に襲われることがある」とクエナストさんは指摘する。さらにこの時期は草が生い茂り、動物の存在を遠くから確認することが不可能で、「最悪の事態は一瞬で起こる。私の場合、前にはゾウ、後ろには車、逃げ場がなかったことが原因」と明かしている。

画像は『TimesLIVE 2019年6月17日付「‘This is the end’: driver as elephant charges car in Kruger National Park」(Photo by:Facebook/SANParks – Kruger National Park)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN

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