吉本でお笑いコンビ『オオカミ少年』で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務める筆者の元には不倫調査からペット探しまで幅広く依頼がきます。今回のお話は仲が良いスポーツ選手の友達から「嫁に男の影があるので白黒ハッキリつけたい」というものでした。守秘義務があるため詳しくは書けないこともありますが…書ける範囲でお伝えしたいと思います。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳、文中は全て仮名)

事件ファイル「嫁にセックスを断られ続けるS」
依頼者 ⇒プロスポーツ選手S(40歳)
依頼内容 「最近嫁の行動がおかしい、助けてください!」

友達のプロスポーツ選手がタバコ
ストレスの原因は?

 今回の話は探偵のテクニック論です。確実に配偶者が不倫しているなと思っても、証拠がなくて困っている旦那さん、奥さんが多いのが現状です。探偵をしていると映画、ドラマよりもリアルな現場がそこにあるんです。

 3年ぐらい前、以前から仲が良かった友達のスポーツ選手Sとご飯を食べていると、Sがタバコを吸いはじめました。元々タバコを吸う男ではないし、プロスポーツ選手で健康にも人一倍気を使っているはずです。何かしらのストレスが原因だと思いました。

セックスを断られるのに下の毛の処理や下着が派手に

セックスをいつも断られるのに
ブラジリアンワックスで下の毛を手入れ

 Sは「実は嫁に男の影があるが決定的証拠もないし、人間不信になるのも嫌だし、どうしたらいいか困ってる。片ちゃん、助けてもらえないか?」と切り出してきました。

 私はSに「奥さんが浮気しているのが分かったら、精神的にいろいろつらいし、友達の私に全て話するのも照れ臭かったりするかもしれないけど、全力で力になりたいので、どんな小さいことでもいいからこと細かく話をしてほしい」と伝えました。

 Sはバツ1、結婚5年、5歳の子どもが1人います。プロスポーツ選手のSは、全国各地で試合があるため、自宅に帰れるのは月のうち10日前後です。忙しいシーズンはさらに帰れません。帰宅時も試合に勝つための研究をしているので、夫婦間のすれ違いがあったのかもしれません。

 成績も優秀なので、奥さんもお子さんもかなり裕福な生活をしていたと思います。友達の私からすると、仕事に一生懸命で、稼ぎもかなりあるので、良い旦那さんだと思うんですが、夫婦間というのは難しいものですね。

 Sが奥さんを怪しいと思った点は次の通りです。

(1)子どもが産まれてからセックスをいつも断られる
⇒子どもを産んだ後、女性はしばしセックスをしたくなくなるのはよくある夫婦間の話ですが、子どもを産んでから数年たっています。

(2)子どもを預けてドバイ旅行に行ってもセックスを断られて諦めた
⇒Sは子どもを両親に預けて2人きりになれば昔の恋人感覚になれるかもと頑張ったが、結果は同じだった。

(3)ブラジリアンワックスをして下の毛をきれいにし始めた?
⇒S夫婦はセックスレスだったものの、仲が良かったらしく、ある日の会話で奥さんが「今度ブラジリアンワックスで下の毛を処理しようと思う」と言ったそうです。Sからすれば夫婦間でセックスしていないのに、誰に向けてのアピールなのか違和感を覚えるきっかになったみたいです。

妻は女友達とご飯のはずが男から「楽しかった」メッセージ

(4)下着の趣味が変わる
⇒ある日Sが何げなく干してある洗濯物を見ていたら、奥さんの下着が派手になっているのに気づいたらしく、Sが奥さんに関して詮索するようになったそうです。

(5)友達と飲みに出かけ、夜遅い帰宅や朝帰りが増えた
⇒奥さんはちゃんとSに「友達と飲みに行ってくる」と報告はするが、帰りが遅かったり朝帰りすることが多く、Sの不安は大きくなっていった。しかもSが帰宅するのは月に10日程度なのに、なぜそのタイミングで飲みに行かなくてはいけないのか?疑問に思ったそうです。Sは誰の為に仕事を頑張っているのか分からなくなり、成績も少しずつ落ちてきているのでメンタルを保つためにもあまり考えないようにしていたそうです。

妻は女友達とご飯のはずが
男から「楽しかった」とメッセージ

 ここまでのことでも、奥さんの浮気の可能性はだいぶ高いように思われるのですが、今回、解決の突破口となったのが、奥さんのスマホに男からメッセージが届いたことにSが気づいたことです。

 S夫婦はリビングのテーブルにそれぞれスマホを置いて寝るのがなんとなくの習慣だったみたいです。恐らくそうすることで、お互い何もやましいことはないというアピールだったんだと思います。

 ある日、Sが朝早く起きてトレーニングしようと思って、何げなく見た奥さんのスマホのディスプレーに男性Aの名前で「昨日はありがとうな!楽しかったよ」というメッセージが飛び込んできました。その前日、奥さんはSに「女友達数名とご飯を食べに行く」と言っていたのになぜ男性からメッセージがくるのかと不思議に思い、Sさんは気付くと奥さんの携帯を全て見ていたそうです。Sはスポーツ選手で動体視力が優れているので、奥さんの指の動きを見て何となく画面ロックのパターンが頭に入っていたみたいです。

家の水道管が壊れ、修理に来たのは不倫相手の男

 中身を見てみると男性AとはLINEではなくFacebookのメッセンジャーでやりとりしていたみたいです。怪しいですね。それを全てSは自身のスマホでメッセージを撮り保存していました。

 男性Aとのやりとりがあることが明らかになった1週間後に会ったのが私だったので、今後の動き方の相談を受けました。私はSが撮った奥さんと男のメッセージの中身を見せてもらいました。奥さんが友達とご飯に行ってくるとSに伝えて出かけている日に男性Aと会っていることが分かりました。

 しかし決定的な証拠、愛を語り合ったり、ホテルで会う約束などのメッセージはありませんでした。男性Aと奥さんが飲んでいるお店、場所などは分かりますが、証拠としては弱いので、裁判になったら財産、親権、全てとられてしまう可能性が高いと思いました。

 私はどうしたら裁判しないでSが勝てるかを考えました。浮気の1回くらいだと、出来心として離婚の裁判では負けてしまいます(片岡探偵レッスン(2)「浮気写真は3回撮らなければいけない」参考)。おそらく奥さんも男性AもFacebookのメッセンジャーでやりとりしていたり、中身を見られても問題ないようなメッセージのみとするなど用意周到なので、かなりの確信犯だと思いました。

 実は浮気の現場ではこのようなことが多いのです。裁判になった場合、決定的な証拠が必要ですし、奥さんと腹を割って話しても「単なる友達だよ。そんなに私が信用できないの?」と逆ギレされてしまうのがオチです。

家の水道管が壊れ
修理に来たのは不倫相手の男

 奥さんはAと遊ぶのにお金も必要なので、年収がかなりあるSとは別れずに夫婦関係を続けていたのだと思います。

「大変だと思うけど、とりあえず決定的な証拠を見つけないと夫婦関係にもよくないし、子どもにもよくないから平然を装ってほしい」と伝えました。こちらが奥さんの浮気に感づいてることは出してほしくありませんでした。Sはゆっくりとうなずきました。

 相談を受けた1ヵ月後、偶然にもS家の水道管が壊れ、奥さんが「知り合いの人で内装に詳しい人がいる」ということで、家に来たのが不倫相手の男性Aだったそうです。

>>(下)に続く

男性は試合があるため、自宅には月に10日ほどしかいられないが、妻はその間も友達とご飯を食べに行くと言い、夜遅く帰宅したり、朝帰りを繰り返してた(写真はイメージです) Photo:PIXTA