日本史の中で嫡男のように跡を引き継げなかった者は出家という道を辿ることが多々ありました。

その道は弟や血縁の関係で嫡男になれなかった兄などで権力を持ったら謀反をするという疑念を生じてしまうことがあるので自ら身を引くことが主でした。

しかし、嫡男が幼い頃に亡くなることや戦で討ち死にすること、政変などによって還俗(仏門に入ってから再び現世に戻ること)が稀にありました。

ということで今回は還俗した日本史上の人物たちを4人紹介します。

天皇だって還俗したことあるんです 天武天皇

1人目の天武天皇は天智天皇の弟で天智天皇の亡き後に天皇政治をより強化した人物です。

天武帝御影/wikipediaより

天武天皇は天智天皇の時代では本来皇位に着くはずだったのに、天智天皇子どもである大友皇子に皇位を譲る動向に警戒心を持ち、吉野へ出家します。

そして、天智天皇の死後に還俗と同時に朝廷に復帰し大友皇子と対立をします。この対立は壬申の乱と言われており、反逆者の天武天皇サイドが勝利するという日本史では異例の乱となっています。

対立の理由は天智天皇の行った治世への反発でした。天智天皇大化の改新後、天皇政治という名のワンマン政治を敢行しました。

この不満が天智天皇亡き後に爆発し、皇位継承されるべきである天武天皇を地方豪族が担ぎ上げて反乱に至ったとされています。

平家打倒の第一人者も還俗してました 以仁王

2人目は以仁王(もちひとおう)です。

蜷川親胤模:以仁王像/wikipediaより

この名前自体、歴史の教科書でよく見るので見たことある方は多いと思います。しかしながら還俗していたとは歴史の教科書には載っていなかったので驚きですよね。

後白河天皇の第三皇子だった以仁王は幼くして天台座主で堀川天皇の子である最雲法親王の弟子となります。程なくして最雲法親王が亡くなると還俗し、永万元年(1165)に元服します。

英才で学問も笛に秀でていた以仁王は皇位継承者候補に上がりますが、当時は平家が台頭していたので、平家出身の高倉天皇に皇位は継承されてしまいます。

そして、母方の叔父が失脚したことにより、親王宣下を受けることができなかったので皇位継承の機会を失うことになりました。

度重なる平家に対する不満で源頼政と挙兵した以仁王でしたが、最後は戦死してしまいます。

しかし、この挙兵が各地の源氏武者を平家打倒へ奮い立たせる契機にもなりました。

運で還俗し室町幕府将軍になりました 足利義教

3人目は恐怖政治をしいたので周りから「第六天魔王」と恐れられた室町幕府6代将軍である足利義教(あしかがよしのり)です。

紙本著色足利義教像/wikipediaより

応永元年(1394)に足利義満の子として産まれた義教は10歳になると出家し義円と名乗ります。義教は天台開闢以来の逸材と賞され、一時期は僧と尼をまとめる大僧正となるくらい将来を有望されていました。

そんな中、室町幕府5代将軍の足利義量が急死すると4代将軍で義教の兄である足利義持が政治を行います。その後、義持は跡継ぎを決めないまま病死します。

家臣たちは将軍不在の状況を打開するため、籤引きで将軍を決めます。そこで運よく僧だった義教に籤が当たり、将軍としての新たな人生を歩みだします。

籤引きで将軍になったことから義教は「籤引き将軍とも呼ばれています。

義教は幕府権威の復活と将軍親政に力を注ぐ反面、自分に気に入らないことがあると斬首や流刑など苛烈なことをしてきました。

ついにはそれが仇となり、宿老に暗殺されてしまいます。

兄たちの相次ぐ死により家督を継ぎました 今川義元

最後は今川義元です。まさか出家していたとは想像できないと思いますが、実はしていました。

太平記英勇伝三:今川治部大輔義元/wikipediaより

義元は5男だったこともあり、4歳には出家しています。栴岳承芳(せんがくしょうほう)と名乗っていた義元は嫡男の今川氏輝や次男の彦五郎が急死したため、還俗し家督を継承します。

5男なのに家督を継承できたのは氏輝と彦五郎の同母弟だったことが大きな要因でした。

しかし、家督継承を良しと思わなかった異母兄の玄広恵探(げんこうえたん)と家督争いを始めます(花倉の乱)。内乱を鎮めた義元は今川家当主として活躍し、駿河と遠江、三河と3ヵ国を支配します。

このことから東海道一の武将の意味をもつ「海道一の弓取り」と呼ばれていました。

義元は今川家の最盛期を築き上げるも桶狭間の戦い織田信長に敗死し、その後の今川家は没落していくのでした。

最後に

出家したくなくても様々な理由で出家しないといけない状況があるかと思います。その不満やストレスが還俗した後に行動力の源になっていると考えてしまいます。

一度出家した身から再度世俗に戻ってくると見える世界は違って見えるとも感じてしまいますね。

 

 

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