中国の消費者や観光客による日本の医薬品ブームはなおも続いており、観光地のドラッグストアに行くと店内が中国人観光客で賑わっているのを見かける。その一方で、消費者による薬品に対する知識の甘さや密輸グループの存在により、日本から持ち込む薬品を巡るトラブルや事件も相次いでいる。

 中国メディア・人民網は22日、日本で処方薬とされる一方で中国で麻薬指定されている薬物の密輸が今年に入って頻発していると報じた。

 記事は、上海税関が26日の国際麻薬乱用撲滅デーにちなんで22日に開催したイベントで、今年に入って同税関で日本からのフルニトラゼパム密輸案件13件を摘発し、計275.49グラムを押収したことが明らかになったと紹介した。

 フルニトラゼパムは日本で重度の不眠症治療を目的に用いられる処方薬だが、依存性が強く、その乱用が問題視されている。日本ではフルニトラゼパムは第2種向精神薬となっているが、中国では新たな合成麻薬に指定されている。

 記事は、近年日本の医薬品が中国で人気を集め、ネットショッピングや海外旅行を通じて中国に輸入する、または、持ち込むケースが多くなっている中、日本で処方薬として使用されているフルニトラゼパムを密輸する違法行為も相次いでいると伝えた。

 そして、今年2月に摘発した密輸グループのメンバーが「中国人留学生やアルバイターを雇い、病院に通わせてフルニトラゼパムなどの薬物を受け取らせる専門の人物が日本にいる。薬物が一定数に達すると、別の人物が日本に赴き薬物を購入して受け取る。これをカルシウムやビタミンのタブレットと偽って自らの中国国内の住所向けに偽名で発送して、中国に帰国した後に受け取るのだ」と手口を明かしたことを紹介している。

 税関関係者によれば「自ら持ち帰らず、わざわざ郵送で中国に送りこむところに、密輸グループのずる賢さがある。自分で持ち込んで見つかったときに物品が押収されるだけでなく、自らも逮捕されるのを防ぐためなのだ」とのことである。

 取り締まりが強化され摘発が増えると、密輸グループはまた新たな手段を考えて薬物の密輸を行う。密輸者と当局のいたちごっこは、今後も続くことになりそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

中国で麻薬指定されている日本の処方薬の密輸が相次ぐ、手口はさらに巧妙化=中国メディア