「自宅のサーバTwitter連携サービスを運営していたら家宅捜索を受けた」――とブログで詳細を告白した投稿が、ネットユーザーに衝撃を与えています。家宅捜索を受けた本人と、神奈川県警双方を取材しました。

【画像で見る:神奈川県警が書いた押収品目録交付書(実物)】

●ことのあらまし

 家宅捜索を受けたと明かしたのはTwitter連携サービス「TwiGaTen」を運営する204504bySEさん。TwiGaTenは、調べたいツイートURLを入力すると、Twitter上の類似画像や画像転載を見つけられるというもので、利用登録者数3万人以上の人気連携サービスです(2019年6月11日時点)。

 そんな204504bySEさんのもとへ神奈川県警が家宅捜索に来たのは6月初旬のこと。204504bySEさん宅からTwitterへと、「わいせつ画像」が投稿されたというのです。捜査員は「間違いなくこの家から投稿されていた。プロバイダーにも確認済みだ」「(ハンドルネーム)というアカウント使ってるでしょ?」「心当たりあるでしょ?」「(ブランド名)のTシャツ持ってるでしょ?」と尋ねてきたそうですが、204504bySEさんは寝耳に水の状態。

 捜査員らはその場で204504bySEさんのスマートフォンを「押収」し、Twitterアカウントの確認などが行われました。またこの他にもWi-Fiアクセスポイントや、電話ルーターラベルプロバイダーの契約書類、犯人が当該わいせつ画像の中で着ていたという服を捜索するためタンスの中なども撮影されたとのことですが、結局何も見つからず、捜査員らは引き上げていきました。

●家宅捜索はTwiGaTenの運営が原因?

 わいせつ画像の投稿など全く身に覚えのない204504bySEさんは、家宅捜索を受けた理由について、自身が運営する「TwiGaTen」が原因ではないかと推測。わいせつ画像を投稿したアカウントログイン履歴を見て、当該アカウントを「204504bySEさん、もしくは204504bySEさんの家族が所有するものではないか」と考えた神奈川県警が自宅に踏み込んだのではないかというのです。

 しかしTwitterログイン履歴には「どのアプリからログインしたか」「そのアプリの権限」が併記されているものの、TwiGaTenトークンは「読み込み」しかできないため、わいせつ画像の投稿は不可能204504bySEさんは「自宅でTwitter連携サービスを運営するときは相応の覚悟が必要」「警察はログイン履歴をもう少しちゃんと見てくれ」とつづり、大きな反響を呼びました。

204504bySEさんを取材

 なぜ身に覚えのない投稿で家宅捜索を受けたのか。ねとらぼ編集部では204504bySEさんに連絡を取り、取材を申し込みました。

――家宅捜索にきたのはどの警察署ですか。

204504bySE:茅ケ崎警察署です。

――家宅捜索の際、令状は見せられましたか。

204504bySE:令状は見せろと言わないと見せてくれませんでした。もっとも私より先に家族が「令状を見せるよう」に言ったので事前に確認はできたようです。私が令状を確認できたのは捜索がほぼ終わった頃でした。

――令状にはどんなことが書かれていましたか。

204504bySE:令状には住所が記載されているほか、電子機器や、写真、メモ帳などが押収可能だとする内容になっていました。

――その他に見せられた書類はありますか。

204504bySE:押収されたスマートフォンがその日のうちに返還されたのですが、その際に「押収品目録交付書」を渡されました。

――詳しい家宅捜索の様子などを教えてください。

204504bySE:まず私に話を聞く前に捜査員が家族に問題のわいせつ画像を見せました。当初家族は、画像に写っているのは明らかに知らない人であったことから、「(204504bySEさんの)自撮りではなく、どこかで拾った画像を投稿したせいで警察が家宅捜索に来たのかもしれない」と思ったそうです。しかしわいせつ画像の投稿前後の画像を見て、やはり私が行ったものとは考えにくいと思ったようです。

――他にはどんなことがありましたか。

204504bySE:捜査員が特定の服を探したり、トイレの写真を撮影するなどしていました。恐らく「特定の所有者が」「トイレで」「特定のTシャツを着て」「携帯電話自撮りした」「わいせつ画像を投稿した」と考えているのではないかと思いました。また一人暮らしをしている兄の家にも家宅捜索が入りました。家族の誰かが犯人のTwitterアカウントを所有している、すなわち犯人であると考えていたのではないでしょうか。

――家宅捜索の間、捜査員はどんな様子でしたか。

204504bySE:当該のわいせつ画像に写っている人物と私の容姿はかけはなれていたので、私の姿を見た時点で「家宅捜索は間違い」だと分かると思いますが、どういうわけか自信満々なそぶりを崩しませんでした。いわゆる「良い警官・悪い警官(※)」を行っている様子もあり、終始高圧的だと感じました。

(※)対象者に対して“悪い警官”役が高圧的な態度をとる一方、“良い警官”役が対象者に対して親身に接することにより、“良い警官”役に情報を話してしまう――という心理状態を作り出すための心理学的な戦術。尋問の際などによく利用されることで知られる。

――204504bySEさんがわいせつ画像の投稿者だと特定した根拠については説明されましたか。

204504bySE:私が投稿した根拠の説明はなく、警察が調べたらしいプロバイダー名や住所、写っていたらしい服のブランドなどを口にしただけでした。ちなみに私は当該のわいせつ画像を見ることはできませんでした。

――家宅捜索を終えてから捜査員はどんな様子でしたか。また印象に残ったことがあれば教えてください。

204504bySE:私に対しては最後まで態度を変えることはなかったので、少なくとも納得したそぶりは見せなかったといえるでしょう。その割にはPCを調べようともしなかったあたり、もしかして捜査員はPCに詳しくないのかもしれないと思いました。もっとも、私の携帯のTwitterアプリに問題のアカウントがなかった時点で捜査は事実上終わったようなものですが。警察が私のアカウント名を控えたり、携帯の画面を撮影したりしなかったのは印象的でした。

――最後に、今回は神奈川県警が管轄として家宅捜索に来たとのことですが、204504bySEさんのお住まいはどちらですか。

204504bySE:関東圏ですが、神奈川県ではありません。

神奈川県警を取材

 本件について神奈川県警にも取材を申し入れたところ、県警本部の生活保安課より次のような回答がありました。

――「わいせつ電磁的記録記録媒体陳列」の容疑で、茅ケ崎警察署が6月上旬に204504bySEさん宅を家宅捜索したのは事実ですか。

神奈川県警:事実である。

――押収したものは「カメラ機能付き携帯電話」1台で、既に返却していることに間違いないでしょうか。

神奈川県警:間違いない。

――204504bySEさんは他県在住ですが、本件を神奈川県警が捜査しているのはなぜですか。

神奈川県警:端緒を得たのが茅ケ崎署であるため。

――今回の事件について、204504bySEさん自身は「無関係」と話していますが、わいせつ画像の投稿者は特定されていますか。また既に捜査が行われたなどの事実はありますか。

神奈川県警:お答えできない。

――今回の家宅捜索は、Twitterの連携サービスを運営していたことが原因で行われたものですか。また、204504bySEさんからは警察官より「該当のわいせつ画像は間違いなく204504bySEさん宅から投稿されたものだ」という説明があったという話も聞かれていますが、該当のIPアドレス情報はTwitter社が開示したのですか。

神奈川県警:お答えできない。

204504bySEさんが運営するTwitter連携サービス「TwiGaTen」(画像は一部編集部で加工しています)