台湾・台中市で23日夜10時頃、児童虐待の疑いがあるベビーシッターの自宅マンション前にネットユーザー500人近くが押しかける騒ぎが起きた。彼らは「出てきて説明しろ」と大声で叫んだりマンションに侵入しようとしたほか、駆けつけた警察官に対しベビーシッターの身柄拘束を要求、ユーザーらと警察官の衝突が勃発する事態になった。最後は警察側がとうがらしスプレーを吹き付けるなどして制圧し、騒動を収拾した。『TVBS新聞網』『ETtoday新聞雲』などが伝えている。

事の発端は今月21日午前のこと、1歳女児が意識不明の状態で病院に搬送された。女児は脳内出血を起こしており緊急手術が行われたが、今も危険な状態が続いているという。また左腕骨折、胸部や背中に打撲の痕がみられたことから、病院側は虐待の可能性があるとして台中市社会局に通報、警察も介入し調査が行われた。

虐待の疑いが持たれているのは、25歳のベビーシッターだ。社会局によれば女児は母子家庭で、母親の仕事が忙しくなったため1か月ほど前からこのベビーシッターが平日24時間女児を預かっていた。この日、ベビーシッターは女児が呼びかけても反応せず、全身の力が抜けていることに気付き病院へ連れて行ったという。しかしベビーシッターは、女児がなぜ重傷を負ったのかについて「知らない。分からない」としか答えていない。母親の話では、18日夜にビデオ通話をした際に異変は見られなかったそうだ。

母親は22日、怒りの声の掲示板として使われているFacebook『爆怨公社』にベビーシッターの虐待疑惑とともに悲痛な思いをこのように綴った。

「ベビーシッターにはなぜ監視カメラの設置が義務付けられていないの? 万が一本当に虐待があったとしても、“知らない”“分からない”“撮ってない”と言えば済まされてしまうの?」

この投稿を見たネットユーザーが、ベビーシッターに説明を求めようとして23日にネット上で招集をかけた。ベビーシッターの自宅前には虐待に憤るネットユーザーや市民が次々と集まり、『TVBS新聞網』によるとその数は500人近くに上ったという。通報を受けた警察が周辺の道路を封鎖するなどして騒動を抑えようとしたが、ユーザーらが反発。ベビーシッターを連行して事情聴取をするよう要求し、あちこちで警察官との衝突が起きた。ユーザーらが爆竹や車のクラクションを鳴らしたり、卵を投げつけたりするなど暴徒化したため、最終的に警察はとうがらしスプレーなどで制圧した。翌日の深夜1時40分頃、ようやく騒ぎが収まった。

真夜中に起きた大騒動に、ある近隣住民はこう語っている。

「女の子のために声をあげるのは理解できるし、みんなかわいそうだと思っている。でも私たちにだってこどもがいる。こんな風に騒がれてはこどもは怖くて眠れない。」

警察も騒動の動機に理解を示したものの、再三退散を促したにもかかわらず卵やペットボトルを投げつけるなど暴徒化したユーザー6人については、法に則り処分を下すとしている。なおベビーシッターの虐待疑惑については、すでに関係者の事情聴取や現場検証を終えて書類送検されたという。

ちなみに女児はその後の検査で、脳の4分の3を損傷しており危険な状態を脱したとしても植物状態になってしまうことが明らかになった。女児の母親は、数日経っても症状が変わらないようであれば治療を諦めて臓器提供する意思を病院に伝えたそうだ。

画像は『TVBS新聞網 2019年6月24日付「疑虐嬰百名網友激憤!保母家「撒冥紙、丟雞蛋」 警驅離」(圖/TVBS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)

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