共働きが広まったとはいえ、いや、共働きが広まったからこそ、女性が男性に「何の躊躇もなく仕事ができてズルい」と感じてしまう場面も増えています。男性は心置きなく残業や出張ができても、女性にはまだ難しい面もあるのが現状です。しかし男性にとっても育児や介護が「自分事」になる今後は、この仕組みが変化して行く必要があるでしょう。

女性が思う存分働けない「制約」

仕事に付きものの残業、飲み会、出張、研修…。男性が残業をする場合、何の心配もなく即断できることが多いでしょう。急に「今日は残業」「今日は飲み会」になったら、夫婦間で波風が立ったとしても、そのまま残業したり飲み会に行けます。

一方で女性は、子どものお迎えがあるため残業をしない人が多いもの。飲み会や出張に行かない人も少なくありません。どうしても必要な場合は、かなり前から夫や祖父母にお願いし、諸々用意をしてから行くことに。「急に今日」「いつでも、どこへでも」は無理なのです。

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女性の方が「子どものこと」を考える機会が多い

普段仕事をしていても、子供のことを考えるのは女性が多め。お迎えに間に合うか、帰宅後の短時間でどうやって家事や育児を終わらせるか、学校に提出するプリントは間に合うか、病院の受診、予防接種など。

特に大変なのが、子どもが熱を出したとき。頻繁に熱を出す子どもお世話をするのは、まだまだ女性が多いものです。仕事先に連絡し、病院で受診し、看病をし、普段より増える洗濯物をしたりおかゆを作ったり、仕事のスケジュールを組み直す。これが何度も続くと、仕事にも、心身にも響きます。

筆者自身も3人の子がいますが、3人それぞれ風邪をもらってきては家庭内感染の繰り返しを2カ月間継続中。フリーランスですが仕事を調整したり睡眠時間を削ったり、取り引き先には理解いただくものの信頼問題を気にしてしまいます。

「子どもも仕事も好き」なのは男女同じ

一方で、「子どもが小さいうちは仕方ない」「小さい間くらい育児に集中を」という声もあるでしょう。この「子どもが小さい間」も、2人以上産めば働き盛りの30~40代の間に10年以上ということもあるのです。

「キャリアアップしたい、スキルアップしたい、もっと仕事をしたい」という女性も少なくありません。「子どもも好きだし、仕事も好き」と思うのは、女性も男性も同じはず。しかしなぜか女性が言うと、ワガママと捉えられることも。この意識をまずは変える必要があるのではないでしょうか。

「代わりの誰か」がいなくても働ける仕組み作りを

そもそも男性が休むことなく出社できるのも、仕事に専念できるのも、「子どもや親を見てくれる誰か」がいたから。「代わりの誰か」とは、ほとんどの場合が妻でした。その女性も仕事を持つ現代では、「代わりの誰か」がいなくなり、男性にとっても育児や介護が「自分事」になります。

人生には育児や介護だけでなく、病気やケガも付きもの。これらが男女問わず「自分事」となる現代では、ライフイベントに変化があっても働ける仕組み作りをする必要があります。

そのためにも、まずは「夫婦で協力して乗り越える」意識が先。次いで保育園や病児保育、ファミリーサポートが整う一方で、ベビーシッターの普及なども必要でしょう。

会社の在り方や働き方にも、今後は変化が求められるでしょう。それも次世代が「子どもを産みたい」と思える社会作りには必要不可欠と言えそうです。