【元記事をASCII.jpで読む】

 ピュア・ストレージ・ジャパン2019年6月25日、米国ピュア・ストレージ 会長兼CEOや戦略部門副社長、日本法人社長らが出席してグローバルおよび日本市場における事業戦略発表会を開催した。「データ活用」が重要なビジネスキーワードになっている現在、“エバーグリーンストレージ”など、データ管理にまつわるさまざまなな顧客課題を解消する戦略を掲げる同社のビジネスは非常に好調だという。国内市場における展開強化などの具体的施策が紹介された。

 また同日には、クラウドサービスの「ニフクラ」を提供する富士通クラウドテクノロジーズ(FJCT)との協業を発表している。これは、FJCTピュア・ストレージのマネージドサービスプロバイダーMSPパートナーとなり、ピュア・ストレージのリソースをプライベート/ハイブリッドクラウド環境で“Storage-as-a-ServiceSTaaS)”として提供するもの。発表会にはFJCTからも代表が出席した。

「エバーグリーン」や「最新ソフトウェア」の強み、今年度は28%の成長予測

 米ピュア・ストレージ 会長兼CEOのジャンカルロ氏は、あらゆる業界の企業が膨大なデータを収集/分析し、そのビジネス活用に取り組む一方で、データ管理の現場は旧態依然としており、ユーザーが理想とする環境には追いついていないと指摘する。「理想の将来像と現実とはまだまだ大きな乖離がある。そこにおいて、ピュア・ストレージが企業のお役に立てると考えている」(ジャンカルロ氏)。

 今年10月に創立10周年を迎える同社のストレージが提供できる価値として、ジャンカルロ氏は大きく6つを挙げた。1カ所に集約したデータを複数アプリケーションが利用するデータセントリックデータ中心型)プラットフォームの「共有型高速データ」、ユーザーが必要なときに必要なデータをすぐに利用でき、同時に管理者は運用管理の手間から解放される「オンデマンドと自動化」、アプリケーションの稼働環境を制限しない「ハイブリッドマルチクラウド対応のデザイン」、顧客企業が常に最新のソフトウェアハードウェアを利用し続けられる「エバーグリーンストレージ」、フラッシュストレージの採用で“分単位”の復旧を実現した「バックアップからの高速リカバリ」、年間の平均ダウンタイムが1秒未満という「グローバルな信頼性とセキュリティ」だ。

 中でも特に、自動化技術やAI/機械学習による問題の予兆検知技術などを備える「最新ソフトウェアによる制御」、そしてエバーグリーンストレージという「画期的なビジネスモデル」が、ピュア・ストレージの大きな特徴であり強みになっていることを強調する。

 「(エバーグリーンストレージは)業界で初めてピュア・ストレージが実現したサービスであり、データストレージ環境のエクスペリエンスを完全に変えた。顧客企業はシステムを無停止でソフトウェアハードウェアアップグレードを行うことができる。これまでのストレージでは必須だった、新しいストレージへのデータ移行や古いストレージの廃棄(フォークリフトアップグレード)も不要だ」(ジャンカルロ氏)

 ちなみに、同じようなサービスモデルの提供を始めている競合ストレージベンダーもいるが、ピュア・ストレージの場合は完全にシステム無停止でアップグレードできる点が大きな強みであり、ストレージの設計段階からその能力を組み込んでいない他社にはまねのできないことだと強調する。

 こうした強みを背景として、ピュア・ストレージのビジネスは急速に伸びている。今年度(2020年度)の業績予測では、年間売上高は前年比28%増の17億ドルが見込まれている。「これはB2B企業として史上最高レベルの成長率だ」とジャンカルロ氏は強調する。過去5年間を見ても、ストレージ市場の大手ベンダー各社が横ばい、あるいは売上減少を記録する中でピュアは持続的な成長を遂げており、ビジネスを堅調に伸ばしている。

 日本法人設立から今年で6年めを迎えたが、ジャンカルロ氏は「IDCのレポートによると2018年ピュア・ストレージは日本市場において73%の成長を遂げた」と説明した。これまでの3倍の規模となる新オフィスに移転し、従業員数の伸び率も前年比52%となっている。昨年のインタビューで日本法人社長の田中氏は、日本市場において「爆発的に成長し始めた」という実感を述べていたが、ビジネス、組織ともに成長が進んでいるようだ。

日本法人ではインダストリー別の組織を構築、支店も増やし全国網を形成へ

 日本市場におけるピュア・ストレージの戦略は田中氏が説明した。

 日本市場においても、あらゆる業界でデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が叫ばれている。そしてDXに向けた取り組みの中心となるのが「データ」である。他方で日本企業には、経産省がレポートで指摘した「2025年の崖」の問題もある。早急にレガシーシステムからの脱却を進めなければ、その先には大きなビジネス損失という“崖”が待ち受けている。ここでも過去の遺産である「データ」をどう整理し、保持していくのかが課題となる。

 田中氏は、DXの中心となるデータの取り扱い、過去のデータ遺産の整理といった課題に「ピュア・ストレージでは真剣に事を成し遂げてきたし、今後も顧客企業と足並みを揃えてイノベーションをリードしていきたい」と語る。ピュア・ストレージが将来的に目指すものは、ストレージベンダーではなく「データマネジメントの企業」だと説明した。

 日本法人においては、業容拡大に伴う新オフィスへの移転のほか、「本格的に産業別の組織展開を始めた」ことを紹介した。これまでピュア・ストレージのビジネスにおいて主軸を支えてきた「クラウドサービスプロバイダー」や「ヘルスケア」「公共」、そして最近になって大きな実績が出始めたという「金融」「製造」「流通」の6業界に対応した部門を組織し、展開を開始している。また他方で、現在は西日本支店と中部支店を展開する全国網もさらに拡大していきたいと述べた。

 また国内の販売パートナーについても、認定ディストリビューター4社(伊藤忠テクノソリューションズ、SB C&S、東京エレクトロンデバイスネットワールド)と認定エリートパートナー2社(ネットワンシステムズ、ユニアデックス)、20社以上の提供パートナーをすでに有する。ここに今回、「柔軟な、時代に即した新しいパートナー展開」(田中氏)として、MSPパートナーである富士通クラウドテクノロジーズ(FJCT)と協業することになったと説明した。

ニフクラのアジア展開にピュア・ストレージの柔軟な購入モデルを生かす

 FJCTからは代表取締役社長である愛川義政氏が出席し、同社の国産エンタープライズクラウドサービスである「ニフクラ」と、今回のピュア・ストレージとの協業により実現するマネージドサービスについて紹介がなされた。

 ニフクラ(旧称:ニフティクラウド)は2010年からニフティが提供してきたVMwareベースクラウドサービスだ。2017年ニフティ再編に伴い、クラウドサービスを含むエンタープライズ向けビジネスはFJCTが継承した。ゲーム会社のスクウェア・エニックスをはじめ、現在は約7000 IDのエンタープライズ顧客をサポートしていると、愛川氏は説明する。

 今回FJCTは、アジア太平洋地域で初のMSPパートナーとして、ピュア・ストレージの「Evergreen Subscriptionモデル」および「Evergreen Storage Service」を利用して、ニフクラさらなる拡大を図ると発表している。Evergreen Storage Service(ES2)は、プライベート/ハイブリッドクラウド向けの、毎月の使用量ベースで従量課金を行う購入モデルだ。

 愛川氏は、ニフクラでは顧客データセンター内にプライベートクラウド環境を設置できる「プライベートリージョン」を提供しており、これを利用してアジア各国の事業者と連携してOEMクラウド(自社ブランドでのクラウドサービス)を提供するビジネス(“One Asia Cloud”構想)を準備していると述べた。この新たなビジネス展開において、上述したような柔軟な購入モデルが用意されているピュア・ストレージとの協業が有効であると判断したという。

 「MSPパートナー契約を結ぶことでピュア・ストレージとの直接取引となり、調達コストや製品技術情報の入手においてメリットが生まれる。また、たとえばわれわれが顧客に提供するための新しいストレージを開発してもらう、そうした交渉もできるようになる。さらに、プライベートリージョンを利用してアジア圏でOEMクラウドを展開していくためには、ストレージはコンパクトサイズでなければならない。また国によっては非常に安いサービス価格が求められ、(通常の調達方法では)ペイしないため、ピュアと相談してレベニューシェアのかたちで一緒に展開しないかと、そうした交渉もできると考えた。これにより新たな展開がスムーズになるだろう」(愛川氏)

 ピュア・ストレージ 戦略部門副社長のマットキックスモーラー氏は、MSPパートナーとは他国においても非常に深いレベルでの協業を行っていると説明した。

 「パブリッククラウドプロバイダー向けのビジネスは、ピュア・ストレージの売上のおよそ30%を占める重要なビジネスだ。他国のMSPパートナーとも非常に深いコラボレーションを行っており、共同での営業活動や販売を行っている」(キックスモーラー氏)

設立10周年を迎えるピュア・ストレージ、CEOがビジョンを語る