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photo by pixabay/natureaddict

 大した理由もないのに、ついついスマホをいじってしまう。思い当たる人は大勢いると思うが、それはあなたのせいじゃない――脳のせいだ。

 アメリカカリフォルニア大学バークレー校の研究者によると、情報はお金や食べ物、あるいは麻薬のように脳の報酬系を刺激するのだそうだ。スマホいじりがやめられないのはこのためなのだという。

 脳にとって、情報は、役立つかそうでないかといったことだけではなく、それだけでご褒美となる。必要もないのにおやつを食べて余計なカロリーを摂取してしまうように、脳は情報を過剰にありがたがって、特に役立つ情報でもないのにいいことを知った気分にさせるのだそうだ。

 脳は、いわゆる「純粋な好奇心」によって突き動かされているとも言えるかもしれない。

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お金と情報は同じ神経コードで処理される

 シュ・ミン氏とコバヤシ・ケンジ氏の研究は、情報とお金をまったく同じ神経コードに変換していることを世界で初めて明らかにしたものだ。

 この研究は本質的には好奇心に関するものだ。

 経済学者好奇心をある目的を達成するための手段だとみなしてきた。一方、心理学者はそれ自体で行動を引き起こすことができるモチベーションであると考えてきた。

 たとえば、競馬のファンなら、賭ける予定がなくてもそのオッズを確認することだろう。ときに人は、ただ知りたいからという理由だけで、何かを知ろうと行動するのだ。

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metamorworks/iStock

好奇心の神経科学


 好奇心を神経科学の立場から理解するために、シュ氏らは、被験者にギャンブルゲームプレイしてもらい、その間の脳の働きを解析するという実験を行なった。

 ゲームは次のようなものだ。各被験者には宝くじが提示される。そして、その宝くじの当たる確率を知るためにいくらまでならお金を支払えるか回答するのだ。

 大博打に思われる宝くじが、じつはかなり当選確率の高いものなら、その情報はとても価値のあるものと言えるだろう。反対に、ほとんど儲からない宝くじの当選確率なら知っても大して意味がない。

高額の宝くじほど好奇心をくすぐる

 ほとんどの場合、実験の被験者は情報の経済的価値に基づいて合理的な選択をした。

 だが、それだけでは選択のすべてを説明できなかったのだ。というのも全体的に見ると情報は過大に価値をつけられがちで、高額の宝くじの場合は特にそうだった。高額の宝くじなるほど宝くじを買うかどうかの判断に影響しない場合でも、当選確率への好奇心をくすぐるようであった。

 人が情報を欲しがるのは、実際に利益があるからだけではなく、役立つかどうかとは関係なしに、利益があるかもしれないという期待があるからでもある。こうした行動は、情報への欲求を経済的動機と心理的動機の両方でとらえない限りは説明できない。

 「期待は、ものの良し悪しの程度を増幅させます。もっと良い報酬を得られるかもという期待があるほどに、それに関する情報が価値あるものに見えてくるのです」とシュ氏は説明する。

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William Iven / pixabay

情報それ自体が報酬系を刺激


 では脳は情報にどのように反応するのだろうか?

 fMRIスキャンで解析した結果、当選確率に関する情報は、「線条体」と「前頭前野腹内側部」という評価に関連する領域を活性化させることが判明した。

 ここは、食べ物やお金、さらにはさまざまな薬物によって活性化されるのと同じ部分で、ドーパミンを作り出す報酬系だ。しかも情報による活性化は、それが有用で元々の判断を覆したかどうかに関わらず生じていた。

 要するに情報を知ることそれ自体が報酬となっているのだ。

お金と同じ神経コードに変換

 さらに機械学習(サポートベクター回帰)による解析では、宝くじの情報を処理するための神経コードがお金のそれと同じであることも明らかになった。

 つまり、私たちが絵画、レストランでの食事、海外旅行といった多種多様なものをお金の価値に換算できるように、脳もまた、情報に向けられた好奇心を金額用のコードで換算しているのだ。

 たとえば人にさまざまな額のお金を提示し、それに反応した脳が見せる神経コードを観察しておく。そして今度はその人に情報を提示し、そのときに脳が示した神経コードを調べる。あとはそれを事前に調べた神経コードと比較して、その人がその情報にいくら払うのか予測できてしまうのだ。

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StockSnap / pixabay

デジタル依存症との関連性


 この研究は、最近取り上げられることが増えたデジタル情報の過剰摂取を直接取り上げたものではない。

 しかし情報が脳の報酬系を刺激するということ自体は、その依存サイクルに必須の条件だ、とシュ氏は話す。だからこそ、ちょっとした写真にどうにも抗いがたい魅力を感じて、ついついチェックしたくなってしまう。

 これは、かつては適応メカニズムで、人間が生存するにあたって大切なことだったのかもしれない。

 しかし情報過多の現代社会においては、まるでやめられないジャンクフードのように悪影響を及ぼす恐れがあるということだ。

 この研究は『PNAS』(6月11日付)に掲載された

References:How information is like snacks, money, and drugs—to your brain | Haas News | Berkeley Haas/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52275938.html
 

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