2019年7月4日(木)から東京・六本木の俳優座劇場で公演を開始する舞台「音楽劇 ZipCandy」で、ダブル主演を務める浅川梨奈、秋山ゆずきへのロングインタビュー。後編の今回は、大ヒット映画「カメラを止めるな!」(2018年)のヒロイン役で知られる秋山に話を聞いた。

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秋山は今作の「音楽劇 ZipCandy」で、浅川と配役入れ替えで主人公のジップとキャンディの役に就く。2018年6月公開の「カメ止め」から1年。秋山にとっては「カメ止め」後初の主演作になる。

カメ止め」のヒットは監督・上田慎一郎をはじめ、参加した役者陣にもスポットが当たったが、それ故にいやが応でも“「カメ止め」の”という呼ばれ方が付いて回っている。しかし、秋山はこの“「カメ止め」呼び”を、「念願の看板」だと胸を張って答えた。

■ “「カメ止め」の秋山ゆずき”はうれしい看板

――「カメラを止めるな!」のヒットからちょうど1年。その後、環境やご自身にもいろいろ変化があったと思います。

秋山ゆずき:中身が濃すぎて、一瞬だったような、昔の出来事のような…。やっと何が起きていたのかを理解できるようになってきたという感じです。「カメ止め」以前はあまり(テレビなどの)映像仕事の経験はなかったんですが、そういう現場にも呼ばれるようになり、人生がめちゃくちゃ変わりました。テレビに映っている自分をようやく冷静に見られるようになったのが、まだ最近のことです。

――“「カメ止め」の”とばかり呼ばれることに抵抗はないですか?

秋山:全くないですし、むしろうれしいですね。活躍している役者さんは決まって“〇〇の”というのがあるじゃないですか。アイドルさんたちでも、“元〇〇の”とか。それってその人の看板なので、ずっとうらやましく思っていたんです。私が注目を受けたのは「カメ止め」のおかげなので、念願かなったという気持ちで、だから、“「カメ止め」の秋山ゆずき”は私を知っていただけるうれしい看板ですね。

――注目を受けている今、“勝負のとき”のようなお気持ちは?

秋山:もちろん、「カメ止め」だけで終わらずに、「あの作品にも出てたよね、あれにも出てたよね」って、そこに続く代表作は作っていきたいと思います。今回の「ZipCandy」は舞台なので、私のお芝居をじかに見ていただけるチャンスだとは思いますが、「実力を見せないと」みたいな気持ちはなく、自然体の私でいきたいですね。毎日稽古を重ねて、みんなで一つの作品を作るというのが久しぶりのことになるし、今はすごく楽しいです。2役への挑戦という、また違う課題のある作品なので、これにどう向かっていくかのワクワク感の方が強いです。

■ 新しい挑戦の「ZipCandy

――配役入れ替わりで2役を務めると聞いたときはどう思いましたか?

秋山ゆずき:もともと原作の絵本は読んでいて、舞台のお話を頂いたときはジップとキャンディ、両方を演じてみたいと思っていたんです。ジップはジップの良さがあるし、キャンディキャンディの良さがあるし、どちらの気持ちにもなってみたかったんですよね。でも、2役、それも回替わりで入れ替わりって、「ホントに!?」って思いました。好奇心が勝って、2役受けさせていただきましたが、稽古に入って今、大変な挑戦を選んだんだと現実を突き付けられています(笑)

――秋山さんはジップとキャンディにどんな印象を持って演じられていますか?

秋山ゆずき:最新型ロボットのジップは好奇心旺盛で、何でも見たい、何でも知りたい、何でもやってみたいという、グングン前に進んでいく、すごく前向きでパワフルな男の子です。

キャンディは、夢見る少女というような、少女漫画的な“ザ・ヒロイン”という女の子好奇心はあるし、知りたいこともたくさんあるけど、自分では一歩が踏み出せない。対象的な二人、真逆な役柄ですね。それをどうやって出していこうかまだ探り中で、あとは動きをどうするか。

ジップは最新型ロボットなので、人間と同じような心を持って、行動する。でもキャンディは旧型ロボットなので、その動きはやっぱり人とは違うんです。振り入れの先生と相談しながら、自分のジップ、キャンディを作っていきたいです。

浅川梨奈のジップは男前!

――浅川梨奈さんの演じるジップとキャンディを見て、自分との違いは感じますか?

秋山ゆずき:全然違うし、すごく新鮮です。浅川ちゃんのジップは男前なんですよ。浅川ちゃん自身に、根がけっこう男前なところがあるみたいで。キャンディをエスコートしてくれるシーンとかは、照れてるんだけど思いやりが伝わってくるお芝居で、女子だったら絶対「キュン!」となっちゃいますね。対照的に、キャンディのときはすごくかわいらしい。歩き方も表情も、めっちゃ乙女です。浅川ちゃんキャンディは“キョトン顔”をけっこうしてくれて、私的にはそこがお薦めポイントです(笑)

演じる役は同じだけど、私とは気持ちのスイッチが入る箇所が違うし、感情のボリューム感も全然違います。配役を入れ替えるってこういう面白さがあるんだなって、稽古を重ねるたびに感じているところです。

――浅川さんは、秋山さんの芝居は“間(ま)”の作り方が勉強になると話してくれました。

秋山:え~、浅川ちゃん、そんなところを見てくれていたんだ。そう言ってもらえるのはうれしいですね。言葉に出すセリフはもちろん大事ですけど、私は言葉を出そうとするときの気持ちが一番大事だと思って演じているんです。気持ちの瞬間にセリフを言うように、逆にその気持ちが来るまで溜めてみたり、そういうのは意識しています。

――音楽劇の今回、ジップとキャンディで10曲近くの歌があると聞きました。歌とダンス、自信のほどは?

秋山:頑張ってます(笑)。私、音楽劇に出演するのが初めてなんですよ。置いていかれないようにしないと。浅川ちゃんは2回くらい聴いただけですぐに覚えるので、そのスピード感は本当にすごい。歌もうまいしダンスもできるし、ポテンシャルの高さに圧倒されっ放しです。

歌は要練習なんですが、なるせゆうせい(脚本・演出)さんが書いてくださった歌詞が役柄の気持ちに寄り添ったものなので、あまり歌であることを意識せずに、役に感じた気持ちそのままをメロディに乗せていけたらと思っています。初めての音楽劇ですけど、感情を音楽に乗せて表現するというのはすてきな感覚ですね。

■ お芝居は日常では体験できない世界

――現在、きゃりーぱみゅぱみゅさんもいるアソビシステムに所属されていますが、こちらは音楽、ファッション分野を得意とする芸能事務所です。女優のほか、そちらへの意欲もお持ちなわけですか?

秋山ゆずき:そういうわけではないです(笑)。アソビシステム所属の方は個性的な方ばかりで、それでいうと私はアソビシステムにいながらけっこう異色で…って、そうなると私も個性的なのかな…(笑)ファッションや音楽を特に意識しているわけではないですが、せっかくアソビシステムに所属させていただいたのだから、事務所の先輩方と何かコラボレーションができたらいいなとは思います。

――秋山さんにとって、やはり一番は女優としての活動ですか?

秋山:お芝居は第一に考えています。今後も”女優”としてお芝居のお仕事をさせていただきたいですが、肩書きに捉われず、女優という枠を超えて自分らしさを出せる活動をしていけたらなと考えています。

――舞台も映像も含め、秋山さんにとって芝居の仕事とはどういうものなのでしょう?

秋山:今回の「ZipCandy」でもなんですが、セリフが難しかったり、歌を覚えたりが重なっていっぱいいっぱいになってしまうと、「苦しいな」「もうやりたくない」とか、正直そういう気持ちも浮かぶんですね。でも、稽古を積んでいくうちに楽しさが勝ってくる。やっぱり自分はお芝居が好きなんだなと思うし、お芝居の世界には正解がないから、毎回、新しい発見や挑戦が生まれてくるんです。

役を通して自分の知らなかった一面が見えることもあるし、自分には出せない色を持つ役者さんを見ると、自分はすごい世界にいるんだなと思うんです。私はファンタジーコメディーが好きなので、日常では体験できないその世界に、役者として入れるのもうれしいです。お芝居の世界が本当に好きなので、これからも止まることなく続けていく仕事だろうなと思います。

「音楽劇 ZipCandy」は、2019年7月4日(木)~14日(日)まで、東京・六本木の俳優座劇場で上演が行われる。(ザテレビジョン・取材・文・撮影:鈴木康道)

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