ヘタフェで出場機会に恵まれないなか、キャプテンとして若き日本代表を牽引

 森保一監督率いる日本代表は、現地時間24日に行われたコパ・アメリカ南米選手権)のグループリーグ第3戦でエクアドルに1-1で引き分け、グループ3位同士の成績で上回れずに決勝トーナメント進出を逃した。キャプテンとしてチームを牽引したMF柴崎岳(ヘタフェ)は、「チームをまとめていく経験としては悪くなかった」とリーダーとしての自覚を覗かせた。

 招待国としての大会参戦となった日本は、代表チームに選手の拘束力がなく、DF長友佑都ガラタサライ)やDF吉田麻也サウサンプトン)、FW大迫勇也ブレーメン)ら主軸を招集できず。A代表の主力クラスは柴崎、MF中島翔哉(アル・ドゥハイル)、DF冨安健洋シント=トロイデン)にとどまり、東京五輪世代18人という若い陣容でブラジルに乗り込んだ。

 平均年齢22.3歳(大会開幕時)のチームで主将を任された柴崎は、エクアドル戦を含めてグループリーグ全3試合にフル出場。ウルグアイ戦では絶妙なサイドチェンジでMF三好康児(横浜F・マリノス)の先制点を引き出し、エクアドル戦でも相手との競り合いで出血するハプニングに見舞われながら、頭にぐるぐるとテーピングを巻いて止血し、最後までプレーし続けるなどチームを牽引した。

 今季、柴崎はヘタフェでポジションを失い、リーグ戦出場はわずか7試合(計390分間プレー)。そのなかでアジアカップ、3月シリーズ、6月シリーズでボランチとして存在感を示し、コパ・アメリカでは大会を通してリーダー役を担った。本人も「クラブと代表の立ち位置は対照的」と表現しつつ、主将という“付加価値”のついたチャンスで結果にフォーカスしていたと明かす。

「僕個人としては、こういった来たるべき時に実力を証明したいと思っていたし、それができてこそプロとしての一つの形だなと。メンタル的に落とさずにそういった時期を意識的に過ごせたのは、こういうふうにつながるんだと再確認できた。僕自身、(試合に)出られなかった時期はサッカー人生であまりないので、良い経験と言っていいかは分からないけど、そういった状況にある選手の気持ちを理解することも含めて、チームをまとめていく、オーガナイズしていく立場としては悪くない経験だったと思います」

「チームとしてやるべきことを続けてさえいれば、自ずと勝利する確率も上げられる」

 一方で、グループリーグ敗退の現実には「力のなさ」と悔しさを滲ませる。

「勝つチャンスは十分にあったけど、それをものにできなかった僕らの力不足。これが現時点での実力だったと思います。これ(勝ち切れなかったのも)もサッカーの一部というか、こういう試合もあり得る。3試合を通して良くなって、チームとしてもしっかりと成長できた。これを続けていくべきだし、こういった意識、試合展開、チームとしてやるべきことを続けてさえいれば、自ずと勝利する確率も上げられると思う」

 決して本気の南米勢に、手も足も出なかったわけではなかった今大会。柴崎はチームが歩む道筋に、一つの光を見出したようだった。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

日本代表MF柴崎岳【写真:AP】