恋愛初期の“ドキドキ”には、さまざまな種類のドキドキがありますよね。

ときめきのドキドキ。期待のドキドキ。恥ずかしさのドキドキ。緊張のドキドキ。そして、彼はどれくらい私を好きでいてくれるのだろうか、私は彼に愛されるのだろうかという不安のドキドキ。

ひとことで“ドキドキ”といっても実はカラフルで、このようにさまざまな種類のドキドキの感情がうず巻いている状態にあります。

恋愛初期の“不安のドキドキ“は、ほかのドキドキたちまぎれ込んでいて、まだ小さなカケラ。そう、不安は突然大きくなるわけではないのです。

この小さな不安が、いつの間にか大きく肥大化していくのは、なぜなのでしょうか。

■好きになればなるほど、不安が大きくなっていくように感じる

“好きになればなるほど……”という言葉は、恋愛でよく耳にします。好きと感じられるのは、幸せ以外の何者でもないはずなのに、これがネガティブな気持ちを連想させるのは、好きになればなるほどに不安、好きになればなるほど怖くなる、好きになればなるほど苦しい……こんなフレーズが出てくるからではないでしょうか。

好きになればなるほど、あの初期に抱いたさまざまなドキドキの中で、「期待」の気持ちばかりがふくらんでいることがあります。

きっと今夜も連絡をくれるに違いない。私を好きなら、忙しくても時間を作ってくれるに違いない。私のことを何よりも優先して考えてくれるはず……。

好きになればなるほど、不安になったり苦しくなったりするのは、この「期待」によって、相手の行動に自分の感情が振り回され、それが積み重なっていくからです。

◇独占欲と支配欲が重なり、さらなるネガティブを生み出す

もし期待どおりにいかなければ、「なんで私のこと見てくれないの」「なんで連絡くれないの」というイライラが、相手を独占したい、支配したい気持ちと相まって、さらなるネガティブモードにひきずりこんでいく。

本当は私のことを好きじゃないんだ、好きなら忙しくても連絡をくれるはず、なんで私の恋愛はいつもうまくいかないの……こんな不安のループが生まれ、そのループはあっという間に思考の海に広がります。

この種の不安は連鎖が速く、“なぜ”“どうして”という無意識の問いかけが続くうちに、やがて幸せを感じる時間よりも、不安を感じる時間のほうが多くなっていく。こうして徐々に、だんだんと、不安の量は増えていきます。

◇不安からくる心のこわばりが、行動をギクシャクさせる

さらにそれらの不安は、“どうしていいかわからない”“正しい判断ができない”という状態を招き、思考がストップし始めます。そんなふうになってしまう自分がイヤで、“もう逃げてしまいたい”というような自分否定が始まると、さらに体に力が入ります。このこわばった状態が、精神的な不安が肉体に影響を及ぼす、ということかもしれません。

このように、無意識に“体に力が入った状態”が続くと、どうなるでしょう。いざ大好きな彼を前にしても身構えてしまい、自分で思うような態度や行動がとれなくなる。これがさらなる自己嫌悪を招く……恋がもたらす不安の威力を感じる瞬間ですが、本人はとてもしんどいですよね。

■不安を解消するための簡単な儀式。『自分ハグ』とは?

そんなときは、自分のことを自分で抱きしめる、『自分ハグ』で乗り切りましょう。

やりかたはシンプルで、とても簡単です。大好きな彼を抱きしめるみたいに、自分の両腕で自分のことを包みこむだけ。時間は、1回1分くらいでいいでしょう。

そして、『自分ハグ』の効果的なポーズが、“体育座り”です。

お尻を床につけて両足の膝を立て両膝を抱える、体育座りは、お母さんのお腹の中にいたときと同じ姿勢。ですからリラックスできるといわれています。

体育座りの姿勢で、さらに体を小さくコンパクトに折りたたみ、身体中に思いっきり力を入れたら、パッと力を抜いてみてください。すると、体全体からスーッと力が抜けていきます。

ギュウウウウッと力を入れて、その力をパッと開放することで、体から力が抜けていくのが感じられます。力を入れる、解放する、の動作を何度かくり返したら、最後に、できる限りやさしく、自分自身を包み込むように、『自分ハグ』をしてください。

◇自分をいたわりながらすると、さらに効果的

頭の中が不安でいっぱいになってしまったときは、負のループから抜け出すために、「不安な自分を感じとれた」ことをほめて、不安と戦ってきた自分自身をねぎらう言葉をかけてあげましょう。

●不安になるのは、未来のことを真剣に考えている証拠だね
●自分のこと、彼のことをそんなにも真剣に思えるってすてきだね
●不安に負けないように、いつもがんばっているね
●こんなに誰かを好きになれるなんて幸せな体験だね

こんなふうに、本当に自分がかけて欲しい言葉を、くり返し、自分自身にかけましょう。声に出して言うことで、心の落ち着きを取り戻すことができます。また、ハグをしている両手で両腕を交互にさすったり、心臓のリズムに合わせて軽くトントンとたたくと、その動作をすることに意識が向いて、自然と不安感から離れることができます。

■『自分ハグ』がもたらす、すてきな効果はたくさんある!

不安にさいなまれると、人は行動力が下がってしまうものです。相手を思いやるひとことがうまくかけられない、やさしく接することができないという状態が続き、愚痴や不満ばかりが増えてしまう。そんな自分に嫌気がさして、余計に落ち込んでしまう……悪循環ですね。

こんなとき、『自分ハグ』で自分を少しでも落ちつかせられると、思考に「すきま=余裕」が生まれます。自分の考え方がせまくなっていることを客観的に見つめられ、相手とよりよい関係を築くための行動も選べるようになってくるのです。

また、『自分ハグ』をすることで、どんな強さが自分にとって心地いいハグなのかもわかってきます。自分の心地よい感触を知ることができたなら、今度は彼に、さまざまな力加減でハグしてあげてください。強く抱きしめるときと、やさしく包み込むようなハグ、そして喧嘩のあとや別れ際、出会いがしらといったシーン別に、どんなハグをするのかを意識して彼と過ごしてみましょう。

不安を感じたときは、まずは『自分ハグ』で自分をいたわって、不安の暴走を止めてリラックス。幸福感と不安感とのバランスをとりながら、不安も含めてさらに恋愛を楽しめるように応援しています!

宇佐美陽子)

「逃げたいくらいの不安」を解消する、“自分ハグ”のすごい威力