株式会社BUIDL所属リサーチャーである橋本欣典が、野田俊也氏(ブリティッシュコロンビア大学 経済学部 Assistant Professor)と奥村恭平氏(東京大学大学院 経済学研究科博士課程)との共著にて、Bitcoinの難易度調整アルゴリズムの欠陥とその解決策に関する論文を発表しました。

論文発表の背景

株式会社BUIDLは、ブロックチェーン専門のソリューション提供企業として、これまで様々なクライアント様へのコンサルティングや、市場の調査、ツールの開発などを行ってまいりました。

ブロックチェーンと一口に呼んでも、その種類は多岐に渡り、最も著名なスマートコントラクトプラットフォームであるEthereumはもちろん、HyperledgerやQuorum、または今月半ばに設計書が公開されたFacebookの主導するLibraなど、様々な特色を持ったものが存在しています。
数多のブロックチェーンが存在する中で、ブロックチェーンをビジネスに落とし込む上では、それぞれどういう特性やリスクを持っているのかを、エンジニアリングの観点だけでなく、そのチェーンをとりまく経済圏がどのようなインセンティブ構造で動いているのか、という観点を考慮して適切に分析することが非常に重要となります。

クライアント様の要望や、またその後のビジネス展開を見通した上でも、どういったチェーンをビジネスに活用すべきかはそれぞれのユースケースにおいて大きく異なります。
今回の研究を元に、引き続きBUIDLでは、技術と経済の両側面からの分析に基づくソリューションの提供を進めてまいります。

論文概要

Bitcoinをはじめとする、Proof-of-Work (PoW) を分散合意メカニズム (consensus mechanism) として用いるブロックチェーン・プラットフォームは、ブロック生成間隔を一定に保つため、難易度調整アルゴリズム (Difficulty Adjustment Algorithm, DAA) と呼ばれるアルゴリズムを用い、マイニングパズルの難易度を調整している。難易度は、マイナーが一定量の計算資源を費やしたときにマイニング報酬を得られる確率を決定するため、難易度の調整はハッシュレートの供給にも影響を及ぼす。ところが、Bitcoinで現在用いられているDAAは、難易度の調整がハッシュレートの供給に与える影響を考慮していない。このため、マイナーがパズルの難易度に応じて敏感にハッシュレートの供給を調整する場合、BitcoinのDAAはブロック生成間隔を一定に保つことができない。他方で、Bitcoin Cashで用いられているDAAは、ハッシュレートが高度に弾力的 (elastic) である場合でも、ブロック生成間隔を一定に保つことが可能である。

論文 (英語原文) : https://ssrn.com/abstract=3410460
日本語解説文 : https://bit.ly/31YBHHR


【株式会社BUIDLについて】

ブロックチェーン技術が使用されていることを意識せずに、そのメリットを享受できる社会の実現のために企業向けにコンサルティング、実証実験・ツール開発、調査・研究を行っている。
ブロックチェーン技術を社会とビジネスにどのように適用していけるかを主目的としており、実績では金融機関、保険、電力、不動産などの業界においてサービスを提供。
特定のブロックチェーンプラットフォームに偏らず、クライアントの要望に沿うチェーン選定・システム設計を、これまでの知見・研究を活かし個別にフルスクラッチで提供することに強みを持つ。

【問い合わせ先】
メールアドレスcontact@buidl.jp
Webサイト:https://www.buidl.jp/

配信元企業:株式会社BUIDL

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