3試合にフル出場したDF杉岡、A代表のバックアッパー争いに加わるか

 森保一監督率いる日本代表は、現地時間24日のコパ・アメリカ南米選手権グループリーグ第3戦エクアドル戦で1-1と引き分け、グループ3位で敗退が決まった。東京五輪世代の若手中心で臨んだ今大会の日本だが、“真のA代表”に食い込んできそうな選手は誰なのか。

 今大会の日本は代表チームに拘束力がなく、所属クラブに派遣義務もないため、主力クラスの招集が叶わなかった。DF吉田麻也サウサンプトン)、DF長友佑都ガラタサライ)、DF酒井宏樹マルセイユ)、MF遠藤航(シント=トロイデン)、MF南野拓実(ザルツブルク)、MF堂安律(フローニンゲン)、FW大迫勇也ブレーメン)ら海外組が未招集となった一方、東京五輪世代を中心に13人が初招集とフレッシュな顔ぶれとなった。

 即席とも言えるチーム編成となったなか、17日のチリ戦(0-4)、20日のウルグアイ戦(2-2)、そしてエクアドル戦と3試合を戦い、決勝トーナメント進出まであと一歩に迫る戦いを披露。代表歴の浅い若手主体のなか、短い準備期間で健闘したとも言える。

 そんな若い日本代表のなかで、今後の台頭を予感させる選手も現れた。その1人が左サイドバックで3試合にフル出場したDF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)だ。

 東京五輪世代でも主力として期待される逸材は、球際で互角の攻防を披露。試合を重ねるごとに安定感を高め、時に守備への戻りが遅くなるMF中島翔哉(アルドゥハイル)のカバーも的確にこなした。A代表には長友佑都ガラタサライ)という偉大な先輩が君臨するが、攻撃面で磨きをかければバックアッパー争いに加わってくるだろう。

ボランチ出場で“柴崎のパートナー”に名乗り、強力MFが南野や堂安とポジション争いも

 今大会DF登録ながらボランチで2試合に出場したDF板倉滉(フローニンゲン)も成長株の1人だ。

 今年1月、名門マンチェスター・シティへ完全移籍し、フローニンゲンで武者修行中の22歳はウルグアイ戦で代表デビュー。序盤戦はバタつく場面も見られたが徐々に落ち着きを取り戻し、続くエクアドル戦ではボールの回収役を務めながら、的確にパスも散らした。 186センチサイズに加え、CBもこなせるユーティリティは魅力。MF柴崎岳(ヘタフェ)との補完性も上々で、ここからの成長次第では“柴崎のパートナー”の座も狙える。

 今大会、日本代表の中で最も注目を集めたのがMF久保建英FC東京レアル・マドリード)だろう。合宿中の14日にレアル移籍が決まり、海外メディアもこぞって報じた。そんな喧騒のなかで、18歳とは思えないプレーを見せる。

 チリ戦ではMFアルトゥーロ・ビダル(バルセロナ)らを翻弄する2人抜きドリブルで強烈な存在感を示せば、エクアドル戦ではチャンスメイクの能力も発揮。4-2-3-1のトップ下として十分やれるポテンシャルを感じさせた。A代表での主戦場はトップ下、あるいは右サイドハーフだろう。トップ下ではMF南野拓実(ザルツブルク)、右サイドハーフではMF堂安律(フローニンゲン)が定位置を確保しているが、伸びしろ十分の18歳が割って入る余地は十分にある。

かつて日本代表で活躍したFW柳沢敦を彷彿とさせる動き出しが魅力

 今大会でサプライズを提供した1人と言えば、一夜にして「MIYOSHI」の名前を世界に売り出したMF三好康児(横浜F・マリノス)だ。とりわけウルグアイ戦のインパクトは特大だった。右サイドからドリブルで切れ込み、右足で強烈な一撃を叩き込むと、こぼれ球に反応して2ゴール目を奪取。代表2試合目で初スタメンを飾り、1試合2ゴールの活躍を見せた。

 3試合(先発2試合)に出場し、いずれも右サイドハーフプレー。同ポジションの堂安と同じ左利きで、高いテクニックも有する。柔らかいボールタッチやパスセンスは堂安以上と言っても過言ではない。東京五輪世代の主軸としてフル稼働する男は、今後もA代表に絡んでくるだろう。

 伸びしろという点で期待を抱かせたのがFW上田綺世(法政大)だ。チリ戦では再三のゴールチャンスを逃し、エクアドル戦の終盤に訪れた決定機でもシュートを外すなど課題は残った。しかし、動き出しの質は高く、状況に応じたプレーを的確に選択できるのは魅力だ。

 相手の嫌がるポジションを取りながら、一瞬のスキでスペースを突きシュートを放つ。かつて日本代表でも活躍したFW柳沢敦を彷彿とさせる動き出しは、今回の代表チームにおいて唯一無二だった。コパ・アメリカで3試合(先発1試合)に出場して貴重な経験を積んだ20歳のストライカーが、今度どのような成長曲線を描くのか注目が集まる。

東京五輪で活躍が期待される5人、今大会を機にステップアップを遂げるか

 杉岡、板倉、久保、三好、上田は、いずれも東京五輪で活躍が期待される5人だ。コパ・アメリカで出場を重ねるごとに成長を遂げた感もあり、選手と五輪代表チームにとっては間違いなくプラスの経験となった。

 森保監督はチリ戦の前日会見で「コパ・アメリカの舞台で戦えるのは、経験の浅い選手にとって非常に学ぶべきことが多い。チャレンジ精神を持って学び、この大会の経験を基にステップアップしてもらいたい」と期待を込めていた。その言葉どおり、若い選手たちは今大会を機にステップアップを遂げそうな気配を漂わせている。

 今大会ではGK大迫敬介(サンフレッチェ広島)、DF岩田智輝(大分トリニータ)・立田悠悟(清水エスパルス)・原輝綺(サガン鳥栖)、MF安部裕葵(鹿島アントラーズ)・中山雄太(PECズヴォレ)、FW前田大然(松本山雅FC)もA代表デビューを飾った。

 多くの若手にとって貴重な経験の場となったコパ・アメリカ。A代表の底上げ、東京五輪に向けた強化という意味では意義のあるものとなったようだ。(Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)

“真のA代表”に食い込んできそうな選手は誰なのか【写真:Getty Images&AP】