巨人の若き主砲・岡本和真が春先のスランプから、徐々に調子を上げてきました。

 22歳シーズンとなった昨季は高橋由伸監督の薫陶を受け、全試合で4番の座を担い、打率3割9厘、ホームラン33本、100打点をマーク。史上最年少での「3割、30発、100打点」を達成しました。その前の年まで通算本塁打がわずか1本だった男の覚醒は、球界に衝撃をもたらしました。


 真価が問われる今季。開幕から調子は上がらず、交流戦スタート時には原辰徳監督から6番降格という荒療治を施されました。そして、見事に4番復帰。交流戦では18試合で打率2割8分2厘、6本塁打、12打点と復調。特に逆方向に伸びるホームランパ・リーグの選手たちにも「今季も岡本は怖い」という強烈な印象を残しました。

 トレーニング法の進化、サプリメントやプロテインなど栄養的な部分での発達にも伴い、アマチュア野球選手の身体能力は一昔前に比べて、高くなっていると言われます。以前だったらドラフト候補投手の目安は「MAX140キロ」でしたが、今では無名高校の投手はこのような数値を計測することも決して珍しくはありません。

 しかし、プロのスカウト陣が「なかなか見つからないんだよ」と喉から手が出るほど欲しがる「補強ポイント」もあります。「右のロングヒッター」がまさにそれです。イチロー松井秀喜ブレイク以降、有望選手は幼少期から左打ちに転向する例が目立つだけに、右打ちの長距離砲は少なく、貴重な存在と言えるのです。

 智弁学園3年で出場した選抜高校野球大会で、1試合2発をマークした高校通算73発の強打者・岡本。夏の甲子園後の18Uアジア選手権でも高校日本代表の4番を務めました。「遠くに飛ばす力」は練習を重ねて身につくものではない、いわば天賦の才能です。岡本にはそれがありました。

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 そして迎えた2014年ドラフト会議。意外にも「1位・岡本」の球団は巨人だけでした。1巡目で競合となる人気を集めたのは早稲田大・有原航平と済美高・安楽智大の2人。高校球界NO1スラッガーは単独で巨人が交渉権を獲得します。

 なぜ、ドラフトで岡本の人気は沸騰しなかったのでしょうか。当時、スカウト陣から多く聞こえた声はこのようなものでした。

 「岡本は一塁しかできないでしょ。だったら外国人を連れてくればいいだけの話。一塁しか守れないと現場には推しにくいよね」

 一方の巨人サイドは三塁も可能と判断して、果敢に指名に踏み切ります。とはいえ、入団から3年間はファームが主戦場でした。球団の育成能力が試される中、2軍戦ではスケールの大きな長距離砲として起用し続けた結果、4年目に才能を開花させます。やはり、大器は晩成。種を蒔き、水をやり、花を咲かせるまでには、それなりの時間を要するのが普通なのです。

 そう考えると、厳しい時期に監督を任された高橋由伸氏にとっても、自らが腹を据えて固定した「4番・岡本」が今季も定着していることは誇りでしょう。プロの世界へと飛び込む金の卵にとっては、自らを信じてくれる良き指導者と出会えるかも、成功を決める大きな要素になります。

 2020年東京五輪でも活躍が期待されるロングヒッター。岡本が今後も5年、10年と大役を担っていけるのかどうか、興味深く見届けていきたいものです。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

巨人軍89代4番、智弁学園・岡本和真は何故ドラフトで競合しなかったのか