持続可能性の観点からコンビニのあり方を再検討する、経済産業省の「新たなコンビニのあり方検討会」(座長・伊藤元重学習院大教授)が6月28日に始まった。

一部公共サービスの提供や災害拠点など、「社会インフラ」としての機能も加わり、コンビニはより身近な存在になった。一方で、オーナーの過重労働や収入減少、人手不足など、その持続可能性が危ぶまれている。

検討会では、複数の委員から本部と加盟店との「利益配分」の見直しについて言及があった。また、社会インフラの名の下に、社会がコンビニフリーライドしているのではないか、という指摘もあった。

オーナーが更新したいと思わなければ持続しない」

委員は座長を含め16人。労働や経済、テクノロジーなどの分野の専門家が務める。以下、出席委員の発言要旨を一部紹介する(敬称略)。

▼根本重之(流通経済研究所理事)

人口減少に伴い、このままでは加盟店の売上・収益は減っていく。株主に一定の配慮をしつつ、ロイヤルティー(上納金)の見直しなどを含め、加盟店支援を強化する必要がある。支援の遅れは、チェーン間での競争劣位につながる。

そのためにも、コンビニ本部のコストカットや海外事業・新事業の展開、弁当類の値引きによる廃棄ロス減少などで収益を拡大することが求められる。また、円満な退出など、加盟店に「出口」の選択肢も用意し、店舗網を再構築する必要がある。

夏野剛(慶大特別招聘教授)

コンビニが公共インフラとなることで、銀行や区役所の役割が減っている。「減った分のコストオーナーに分配されているのか」という観点を整理した方が良い。

コンビニオーナーの取り分がもう少し多くても良いというサジェスチョンができるかもしれない。

▼小塚荘一郎(学習院大教授・会社法

フランチャイズ(FC)システムは、当事者の「動機付け」をするための仕組みのはず。スーパーの売り場担当者は、従業員としての報酬しか受け取れないが、オーナーになって売上を伸ばせば、手元に利益が残る。

オーナーの取り分がアルバイト(の時給)よりも少ないとなれば、インセンティブの出し方がずれているのではないか。

▼宮島香澄(日本テレビ解説委員)

加盟店の「社会インフラ」としての働きに、社会や本部が報いているのか。本部はそこにブランド価値を見いだせるが、ブランドを維持することのメリットが加盟店に届いているのかは気になる。

加盟店のオーナーは本当に自由にならない。中間管理職みたいだと思うこともあるが、中間管理職と会社は同じ方向を向いているのに対し、コンビニでは時にずれることがある。

コンビニオーナーを)働く人として守るべきところがどこかある。労働者とまったく同じではないが、労働法を専門とする委員や公正取引委員会の委員(オブザーバー)の意見を聞いていきたい。

▼水町勇一郎(東大教授・労働法)

オーナーと本部のパワーバランスの歪みが出ている。労働法でどこまでできるのか、経済法で公取がどうするのか、経産省としてどう働きかけていくか。縦割りではなく、全体を俯瞰して考えていくべきだろう。

働き方改革との関係でいけば、コンビニがあるから働き方改革が進んでいる業界もあるし、逆に働き方改革ができない業界もある。コンビニは多くの業界と密接に関わっており、ほかの業界とどう歩調を合わせて、働き方改革を進めていくかを考えていく必要がある。

▼若林亜理砂(駒沢大大学院・経済法)

コンビニは、ほかのFC業種と比べて、契約条項が詳細で多いという特徴がある。個別の条項、義務が負担になっているかという議論になると思うが、全体のバランスをどう見ていくかという視点が大事だ。

コンビニが社会インフラ化する中で、労働量が増えており、オーナーの負担だけでなく、アルバイトの募集にも影響している。単に社会がフリーライドするのではなく、どうサポートしていくかを考えることが必要だろう。

▼永井知美(東レ経営研究所チーフアナリスト)

オーナーが契約を更新したい」とならないと持続しない。私見だが、最終的にはチャージ率(ロイヤリティー)の見直しを視野に入れる必要があるのではないか。

今後の検討会スケジュール

検討会では今後、コンビニオーナーへの聞き取りを実施する。本部を介さず、全国のオーナーに意向調査を送り、抽選で選んだ全国8都市120人に対し、8月下旬~9月下旬に実施する。

落選したオーナーでも希望者には、アンケートで意見聴取する。従業員やユーザー側も調べる。

検討会は、来年1月までに今回も含めて5回の開催を予定しており、改善に向けた提言をまとめる方針だ。

経産省「コンビニ問題検討会」始まる 有識者「加盟店の取り分見直し」にも言及