FRONTEO(守本正宏社長)の子会社で、人工知能による医療・介護などの情報解析ソリューションを提供するFRONTEOヘルスケア(西川久仁子社長)は、ヘルスケア業界向けに独自開発した「客観性」「透明性」「再現性」を特徴として備える人工知能エンジン「Concept Encoder」を用いた「創薬研究支援AIシステム」の提供を6月27日に開始した。

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 FRONTEOヘルスケアでは、2018年11月にベクトル演算を用いた自然言語処理技術を使ったConcept Encoderによる新規医薬品探索技術の提供を開始し、現在まで複数の製薬企業に導入されている。医薬品開発に従事する研究者が、自らの新しい仮説と公開データベース情報にある文献の記載内容との関連を調べたり、仮説と関連しそうな疾患や同じような遺伝子を変動させる薬との関連を探索し、創薬のターゲット候補の発見に利用されている。

 今回の創薬研究支援AIシステムは、この新規医薬品探索技術をベースに、文献や遺伝子発現などの情報を含むデータベースをあらかじめパッケージ化し、クラウドサービスとして提供することで、より手軽に製薬企業の創薬研究での候補化合物発見のスピードアップを支援するもの。

 創薬の調査過程で活用が必須となる、MeSHタグ付きのPubMed論文1400万と、Open Targetsのデータ170万をデータベースとして備え、Concept Encoderがあらかじめデータを学習済みのため、即時に探索・解析を行うことができる。また、申し込みから最短で約1週間での利用が可能(クラウドサービスの場合)。オンプレミスやプライベートクラウドでの導入・利用も可能となっている。

 ベクトル演算によるAI解析を行うため、辞書登録型のAIと比べ、使用方法が検索ツール並みに容易。さらに、処理が軽いため、オンプレミスの場合、数百万円レベルのサーバーでの稼動が可能で、スーパーコンピュータや大規模サーバー群などの大型設備も不要となる。これらにより、従来の創薬研究では、仮説から開発承認まで約3-4週間かかっていた時間を大幅に短縮できる効果が見込まれる。

 FRONTEOヘルスケアでは、今後さらにConcept Encoderを軸とした情報解析ソリューションの提供を広げ、ヘルスケア業界全体の発展に貢献していく考え。

従来の論文情報検索と、Concept Encoderを用いた創薬研究支援AIシステムの違い