INACから加入して4年半、海外移籍を決断 ノジマステラでの日々は「とても幸せでした」

 海外挑戦を決断したなでしこリーグ日本女子サッカーリーグ)1部ノジマステラ神奈川相模原のMF田中陽子が29日、リーグカップ第8節日テレ・ベレーザ戦(0-2)で国内ラストマッチを迎えた。試合後には壮行セレモニーが行われ、4年半を過ごした愛するクラブのサポーターに対し、「目標に向かって、新しい地で恐れることなく、自信を持って挑戦をしてきたいと思います」と思いを語った。

 2015年にINAC神戸レオネッサから当時2部だったノジマステラへ移籍した田中陽子。初年度は1部・2部入れ替え戦でアウェーゴールの差に泣いて昇格を逃したが、翌年にリーグ優勝とともに1部昇格を果たした。5年目の今季、シーズン当初はベンチスタートの試合もあったなかでも、チームのために走り、勝利に向かって全力を尽くした。

 国内ラストゲームとなった29日のベレーザ戦も右サイドハーフで先発出場。前半30分には元なでしこジャパンFW大野忍に絶妙なスルーパスを出して得点の匂いを感じさせたが、試合終盤にセットプレーから2失点を喫し、0-2で試合に敗れた。

 試合後に行われた壮行セレモニーでは、田中陽子が駆け付けたファン・サポーターにスピーチを実施。4年半の日々を「私にとって貴重で、何物にも代えられないかけがえのない時間」と表現し、「とても幸せでした」と感謝の言葉を述べた。

 移籍先は現在手続き中のためまだ発表されていない。それでも、田中陽子は「目標に向かって、新しい地で恐れることなく、自信を持って挑戦をしてきたいと思います。今まで本当にありがとうございました」と力強く意気込みを語っている。サプライズで会場にビデオ映像が流されると、思わず涙を流す一幕もあった。

 世界中の人に愛される選手になる――。大きな目標に向かって田中陽子は新たな一歩を踏み出した。

壮行セレモニーでスピーチ実施「何物にも代えられないかけがえのない時間になった」

 田中陽子の壮行セレモニーでのスピーチは以下の通り。

 みなさん、こんばんは。今日は天候も悪いなか、時間も遅いなか応援しに来てくださって本当にありがとうございます。

 私は4年半前にこのノジマステラに入団しました。

 私はこのチームへ移籍を決断する前に、ステラの試合を見た時にどんな状況でも勝利に向かって攻撃も守備も90分間チーム一丸となって走っている姿に、このチームに入って、みんなと一緒に1部昇格という目標を達成したいなと強く思いました。

 そして、チームに来てから本当に練習が毎日キツかったですが、目標の1部昇格に向かってみんなと一緒に嫌というくらいたくさん走って、支え合って乗り越えてきました。練習から常に100%で取り組むみんなから、毎日刺激をもらっていました。

 このギオンスタジアムで優勝して1部昇格を決めたり、皇后杯で準優勝したり、上手くいくこともあれば、みんなが期待してくれていた入れ替え戦で昇格を逃してしまい、本当に悔しい思いをしたり、いろいろなことがありましたが、いつもそばに仲間がいて、すごく悔しいことがあった時もみなさんがどんな時もやさしく応援してくださって、その一緒に過ごしてきた日々が私にとって貴重で、何物にも代えられないかけがえのない時間になりました。

 今まで一緒に過ごしてきた仲間やファンのみなさん、いつもそばで支えてくれたフロントスタッフ、試合に全力で向かえるように支えてくれたボランティアスタッフのみなさん、いつも応援してくださったスポンサーや地域の皆さん、本当に心から感謝していきます。とても幸せでした。

 このチームを離れることは本当に寂しいですが、ノジマステラで1人のサッカー選手としても、1人の人間としても成長した今なら、世界中の人に愛される選手になるという目標に近づけると思って、シーズン途中ですが移籍を決意させていただきました

 私はこれからノジマステラから離れてしまいますが、このチームをずっと応援しています。これからもカップ戦やリーグ後半戦とノジマステラの戦いは続きます。引き続き応援よろしくお願い致します。

 私は目標に向かって新しい地で恐れることなく自信を持って挑戦をしてきたいと思います。今まで本当にありがとうございました。Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

試合後に壮行セレモニーが行われ、MF田中陽子が思いを語った【写真:Football ZONE web】