冬の大会「無限軌道杯」の初戦となったBC自由学園との試合が「さあ、これから反撃するぞ!」という局面で終わった『ガールズ&パンツァー 最終章 第1話』(17)から、なんと1年半も経っていた!この調子だと「最終章はいつ完結?いや、本当に完結するのか?」と心配になってしまうが、おとなしく『ガールズ&パンツァー 最終章 第2話』(公開中)を待った甲斐があったといえるだろう!“戦車道”という発明によって“戦闘描写”のトップランナーとなった「ガルパン」は、今回も新しい可能性と刺激を提供してくれたからだ。

【写真を見る】西住みほが戦車の入口からひょっこりはん

■ 大洗女子に追い詰められる!BC自由学園らの描写を丁寧に描く

アニメーション技術の発達については門外漢なので脇に置く。が、『第2話』には作劇上で非常に大胆な視点の転換がある。前回から続く対BC自由学園戦と、2戦目となる知波単学園戦では、主人公である西住みほが所属する大洗女子学園チームだけでなく、対戦チーム側の描写にかなりの分量が割かれているのだ。

つまり前半はBC自由学園戦側の、後半では知波単学園側のドラマが大きくクローズアップされている。全国大会の覇者である大洗女子はもはや弱小チームではなく、他の対戦校が目標とする強豪校になった。つまり、大洗女子は格上の存在であり、ひたひたと包囲網を縮めてくる“恐るべき敵”なのだ!

西住みほの恐るべき采配に震え上がる!

ガルパン」で見られる演出に、主人公である西住みほチームに無線で指示を出す描写を声を聞かせずに無音にしてしまうというものがある。『第2話』では特に対戦チーム側の主観をメインにして試合が進むので、みほの無音の指示が一種の「死刑宣告」として機能しているのが凄まじい。

トーナメント戦という設定上、大洗女子が初戦や第2戦で敗退するなんてことはほぼありえない。そこで創意工夫を凝らしてピンチを演出し、物語のテンションを高めるのが「ガルパン」の定番になっていた。ところが今回はむしろ追い詰められる敵チームの姿によって、戦局や戦術の妙が浮かび上がる仕掛けになっている。

戦車道”には「冷静さを保ち続けた者が勝つ」という大原則があるが、今回、みほがBC自由学園に対して取る作戦は、もはや「冷静」を超えて「冷徹」ですらある。便宜上、“戦車道”はスポーツだが、“正々堂々”みたいなキレイごとは通用しないのだと、主人公である西住みほ自ら教えてくれるのだ。

観ていない人のためにネタバレは避けるが、今回の戦術はフェアプレイ的な見地からすると卑怯なだまし討ちに近い。が、みほは躊躇なく、まるで軽い気持ちで試してみるような風情で敵チームに罠を仕掛ける。大洗女子は怖い。みほの采配も怖い。だからこそおもしろい。主人公が強くなると大抵の戦闘ものは“強さのインフレ”を起こすものだが、「ガルパン」はそんな轍を踏むことなく、ますます“戦車道”の魅力を追求してくれているのである。(Movie Walker・文/村山章)

見事な戦術で大洗女子学園戦車チームを翻弄した、BC自由学園の隊長を務めるマリー