皆さんは実家など、家の整理をしていて古い紙幣を見つけたことはないだろうか。少し前のお金なら、そのまま使える気がするが……。「教えて!goo」にも「古いお金を見つけたけど使えるの?」と疑問が寄せられている。断捨離や終活をする人が多い中、今後、家に眠っていた古いお金を見つけることがあるかもしれない。そんなときは、どうすればいいのか? 今回は流通に疑問が残る古いお金について、我が国の紙幣を発行する日本銀行に話を聞いてみた。

■ サイズ、デザインが違えど、今も有効?

まずは、今使える紙幣には、どのようなものがあるのか聞いた。

日本銀行では1885年に初めて銀行券(紙幣)を発行してから現在まで、53種類の銀行券を発行しています。これらのうち、今も発行している種類のほか、すでに発行停止になった種類を含めると、2019年現在、22種類の銀行券が有効です」(日本銀行 政策委員会室 広報課)

現在も発行されている紙幣は一万円札五千円札二千円札千円札の4種類だ。

ちなみに、残りの有効な18種類の紙幣のうち最も古いものは、明治18年発行の一円券で大黒様が印刷されている。サイズや見た目が違うので、当然ATMでは使えそうもないが……。

「一度発行された銀行券は、法令に基づく特別な措置が取られない限り、通用力を失うことはありません。ご使用に不便を感じる場合には、民間の金融機関にお持ち込みいただくか、日本銀行本支店の窓口においても引き換え可能です」(日本銀行 政策委員会室 広報課)

引き換えができるとのことで、一安心だ。損傷したものも、一定の基準に従って引き換えてもらえるとのこと。日本銀行では貨幣は製造していないので、そのあたりも忘れないでおきたい。

■ 特別な措置で使えなくなったお金とは!?

ところで過去に、「法令に基づく特別な措置」によって、発行されたお金が使えなくなったことがあったという。それは、なぜだろうか。

「特別な措置は過去に3回発動したことがあり、その結果、これまでに発行された銀行券53種類のうち31種類は通用力が失われ、現在は銀行券として使えません。特別な措置とは1)関東大震災後の焼失兌換券の整理(1927年)2)終戦直後のインフレ進行を阻止するためのいわゆる新円切り替え(1946年)3)1円未満の小額通貨の整理(1953年)です」(日本銀行 政策委員会室 広報課)

激動の昭和の前半には、そんなことがあったのだ。

1円未満のお金はないが、単位としては今も使われている?

では、もう1円未満の単位は見かけることはないのだろうか。

「1円未満の紙幣や貨幣については、1953年に制定された『小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律』(いわゆる小額通貨整理法)により発行が停止されました。また、それまでに発行されていた1円未満の紙幣や貨幣も、同年12月31日限りで通用力を失いました。これは当時の物価情勢のもとで1円未満の通貨が取引で利用されることがほとんどないことに対応した措置でした。現在1円未満の紙幣や貨幣は通貨として使用できませんが、『銭』『厘』は1円未満の金額の計算単位として『銭は円の100分の1、厘は銭の10分の1』と定められています。したがって、現在も利息や外国為替の計算などには1円未満の単位が使われています」(日本銀行 政策委員会室 広報課)

そうだったのか。形はなくなっても銭や厘は、今も単位として残っている。

今は何と言っても電子マネーの時代。普段の生活では、現行の二千円札でさえ、あまり目にしない。もし古いお金を手にする機会が今後あるのなら、先代が担ってきた流通や日本経済に思いを馳せたい。

●専門家プロフィール:日本銀行
日本銀行法に基づく財務省所管の認可法人であり、日本国の中央銀行である。略称は「にちぎん」で日本銀行の読み方は「にっぽんぎんこう」とされる。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

日銀に聞いた!お金の歴史と、古いお金の扱い方