2019年10月からの消費税増税分を運賃に転嫁するため、各鉄道事業者が運賃改定の申請を行っている。

消費税率引上げに伴う許容改定率は1.852%。7月3日現在、運賃改定の申請を公表した各鉄道事業者はこれに合わせて改定率を決定しているが、JR北海道だけは少し事情が異なる。

【関連記事】
JR北海道が運賃の改定を申請――旅客運輸収入全体で11.1%、普通旅客運賃は平均で15.7%の改定

JR北海道は5月時点で国交省に運賃改定を申請している。加算運賃の引き下げ(千歳線南千歳駅新千歳空港駅間)により値下げとなる区間も存在するものの、それでも増税分を含めた改定率は11.1%だ。

国交省は申請を受けパブリックコメントを募集。また2019年6月14日付で一般公述人の選定結果を公開。7月1日には国土交通省運輸審議会の公聴会も行われたが、三名の一般公述人はいずれも反対の立場であり、JR北海道には厳しい状況が続いている。

【参考】北海道旅客鉄道株式会社からの鉄道の旅客運賃及び料金の上限変更認可申請事案に関する公聴会の一般公述人の選定結果及び進行予定について国土交通省

しかし過疎化の進む北海道において、鉄道というインフラを維持するのは容易ではない。仮にそのコストを利用者が負担しないのであればどこかで収益を確保しなければならないが、11.1%という数字のはそうした経営努力を考慮してのものだろう。適切な落としどころを見つけられるか、引き続き注目したい。