【カンタンにいうと…】

2019年10月に実施される『軽減税率』の対象品目に注目が集まっている。

・「生理用品や子どもおむつ、介護用品がなぜ対象にならないのか」と、ネット上で疑問の声が上がっている。

・『軽減税率先進国』のフランスイギリスにおける事情を紹介。

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消費税率10%への引き上げが、2019年10月より施行される予定です。

私たちの生活に大きく関わる消費税消費税率が上がると、低所得者ほど収入に対する生活必需品購入費の割合が高くなり、高所得者よりも税負担率が大きくなるといわれています。

そのため、今回の増税では食料品などの必需品については税率を8%に据え置きする『軽減税率』が同時に導入されます。

「生理用品は含まない」 軽減税率の適用範囲に疑問

軽減税率の対象範囲について、ネット上ではさまざまな疑問の声が上がっています。

・月1で生理が来るのに、なぜ生理用品が含まれないのか。

・乳幼児に必要不可欠なオムツもミルクも離乳食も軽減対象外。少子化が加速するわ。

・新聞が軽減税率なのに、生理用品やオムツは違うのか。

・対象を日用品まで広げないと意味がない。低所得者への配慮になっていない。

今回、軽減税率の対象となるのは『酒類、外食を除く飲食料品』『週2回以上発行される新聞』のみ。

トイレットペーパー歯ブラシ石けんなどの日用品や、女性の生理用品、赤ちゃんのオムツ、介護用品などは含まれません。

※写真はイメージ

低所得者への税負担軽減が目的ならば、国民の生活に寄り添った内容の制度であってほしいもの。しかし、現状の対象範囲では、多くの人が増税に抱いている不安が解消されない可能性もあります。

お国柄を感じる? 海外の『軽減税率制度』

同様の制度を適用しているほかの国では、どのようなものが軽減税率の対象となっているのでしょうか。軽減税率を早くから導入したフランスイギリスの例を見てみましょう。

フランスの場合

フランスの標準税率は19.6%。軽減税率は10%、5.5%、2.1%の3種類あります。軽減税率の対象範囲には次のようなものが含まれています。

【10%の主な税率対象】
旅客輸送、肥料、ホテルキャンプ場などの宿泊費用、外食サービス

【5.5%の主な税率対象】
飲料水、食料品、医薬品社会保障制度でカバーされないもの)、農産物、障害者用機器、家庭用暖房用薪、ペット用エサ、書籍・雑誌、公共交通機関、職場・病院などの食事サービス、電気及びガス、ごみ収集、通信社による一定の取引、ケーブルテレビなどの受信料、スポーツ観戦、映画館・劇場・コンサートなどの入場料

【2.1%の主な税率対象】
医薬品社会保障制度でカバーされるもの)、新聞、演劇・ミュージカルバレエなどのオリジナル作品で初回から140回までの公演、テレビ及びラジオライセンス

芸術とバカンスを愛するフランス。食料品や医薬品はもちろんのこと、宿泊施設や文化・芸術に関わることにも軽減税率を適用しているのは、驚きですね。

「国民の誰もが、芸術・文化活動を楽しむ権利がある」という考えが背景にはあるようです。

※写真はイメージ

また、面白いことに『キャビア』には19.6%の標準税率がかかりますが、『フォアグラ』と『トリュフ』については「国内の産業を保護する」という観点から、5.5%の軽減税率が適用されています。

イギリスの場合

イギリスでは、標準税率が20%、軽減税率は5%と0%。軽減税率の対象範囲は以下の通りです。

【5%の主な税率対象】
チャイルドシート、家庭用燃料、節エネルギー装置、暖房道具、防犯設備、ガス供給、住宅改築費、女性用衛生用品

【0%の主な税率対象】
食料品、上下水、医薬品、障害者用保護器具、視力障害者用機器、書籍、住宅建設、建物保護工事、一定の国際サービス、旅客輸送、キャラバン及び住宅用船舶、子ども用の衣類及び靴

「物価が高い」というイメージのあるイギリス

食料品や書籍、住まいに関する費用、子ども用品などに幅広く『0税率』を適用することで、低所得者や子育て中の人に配慮をしています。

また、アフタヌーンティの文化が根付いているイギリスでは、ケーキビスケットは日常的な食べ物と見なされるため『0税率』です。

しかしチョコレートについては複雑で、チョコレート菓子、チョコレートでコーティングされたビスケットは20%の標準税率がかかりますが、なぜかチョコレートケーキは『0税率』なのだとか。

※写真はイメージ

イギリスフランスといった『軽減税率先進国』では、国民の生活や文化、産業の保護という目的から細かいところまで適用範囲を定めているのが特徴的ですね。

しかし、細かく分けすぎたために事業者が混乱するという事態も招き、税制の一本化を求める声も上がっているそうです。

日本でも今後、さまざまな議論を呼びそうな『軽減税率』。増税に対しての一時的な緩和政策としてではなく、適用範囲については多くの国民に広く受け入れられるよう、検討を重ねてほしいものですね。


[文・構成/grape編集部]

出典
財務省『主要国の付加価値税の概要』国税庁『食料品等に対する軽減税率の導入問題』GOV.UK
※イラストはイメージ