
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)= ニッポンがめざす Society 5.0 の実現にむけて、いまどんなところにいて、どうむかっていくか―――。
埼玉工業大学は7月1日、人工知能キックオフシンポジウムを開催。そのプログラムのトップには、富士通の理事で首席エバンジェリストの中山五輪男氏が登壇し、「AIビジネスの最前線と人材育成」というテーマで基調講演を行った。
このシンポジウムには、自治体や企業のデジタル担当者をはじめ、テック系開発者、高校教員・学校経営幹部らが100人ほど県外各地から参加。また会場とは別の教室では300人を超える同大学学生たちがサテライト受講した。
中山氏は今回、VR(Virtual Reality 仮想現実)やAR(Augmented Reality 拡張現実)の市場動向、Society 5.0 を実現させる国内の動き、そして中山氏率いる富士通TeamIWAO 16のルールなどについて語った。
脳内にマイクロチップを埋め込む時代がくる
中山氏はまず、仮想空間の市場についてVRゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ)を例に紹介。「2025年には、VR市場規模はテレビの12兆円を超え、13兆円へと拡大する見込み」と伝えた。
「2019年、世界のVR・AR市場は204億ドル。そのうち商業利用が65%。2022年には80%に拡大するだろう。当面は医療などの訓練分野にVRが拡大していくだろう」(中山氏)
さらに、人間にの体内に入り込むマイクロチップについても言及。「犬猫にマイクロチップを埋め込むのが普通のように、人間の脳にもマイクロチップを埋め込む時代がくる」と中山氏。
スウェーデンやドイツで6000人以上がマイクロチップを埋め込んでいるといわれ、「電車にのるときも手に埋め込んだマイクロチップをかざして改札口を通過できる。銀行口座やドアロックなどの個人認証もこのマイクロチップをかざすだけで済む」。
さらに、てんかんやアルツハイマー、視聴覚障害などの克服にも有効性があり、「脳内にマイクロチップを埋め込む時代はくる。手で入力したり、音声入力などせず、心に思うことでデバイスを操作したり、情報を引き出せる時代がくる」と中山氏は伝えていた。
日本のシンギュラリティをつくるのはいまの学生
そして中山氏は、今後のAI人材育成についても言及。「日本のシンギュラリティをつくるのはいまの学生たち。重要なのは、シンギュラリティの到来にむけたAI人材の育成だ」と中山首席。
シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点、技術的特異点のこと。この新しいフェーズに立つエンジニアは、いまの学生たちが担うはずだと中山氏はいう。
ドローン宅配、AI家電、遠隔医療、スマート農業、スマート経営、自動走行……日本がめざすこうした Society 5.0 実現にむけ、AI人材育成に必要なキーワードはなにか。中山氏は富士通で指揮をとる Team IWAO のなかにある16のルールについて教えてくれた。
Team IWAO 16のルール
「やらない理由やれない理由」ではなく、「どうしたらできるか」を考える
絶え間なく挑戦し、絶え間なく実践し、絶え間なく創造する
次へとつながる失敗であればそれは失敗ではない
自分の得意不得意をはっきり表明する。ダイヤはダイヤ、石は石でいい
成功したらみんなで喜び、失敗したらみんなで落ち込む
夢や理想を本気で語れ
どこに無駄や非効率があるのか特定し、常によりよいやり方を追求
「感謝」「謙遜」「作り笑顔」「常にかっこよく」を忘れない
やりがいは見つけるものではなく、自らつくるもの
会社のために働くな、自分のために働け
部下に尊敬されようとするな、まずは部下を尊敬せよ
常に全体を見渡し、どうすれば全体がいい方向に進むのかを考え施策を実施
どんな状況下であっても常にポジティブに物事を考える
(以上「Team IWAO 16のルール」)
―――埼玉工業大学 人工知能キックオフシンポジウム(7月1日開催)は、世代や専門領域を超えたさまざまな人たち約400人が聴講した。
<埼玉工業大学>
https://www.sit.ac.jp/

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