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 昔はヒーローといったらどこまでも正義の味方で、悪役は徹底的に悪いやつだったのだが、このところはあまり感心できない行動をとるヒーローがいたり、わりと共感できる悪役がいたりと、ヒーロー業界も結構複雑で多様化が進んでいる。

 昔ほど徹底した勧善懲悪というものは少なくなっている昨今だが、それでも人々は相変わらず架空のキャラから正義の心を学んでいるらしい。

 新しい研究によって明らかになったのは、一番人気のヒーローは一番道徳的と評価されたヒーローで、一番不人気の悪役は一番不道徳とされる悪役ということだ。これはアメリカでの評価である。

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悪いこともするヒーローの登場

 専門家はかねてよりヒーローの人気と道徳心との間には関係があると考えてきた。ヒーローといえば、正義の味方だと思われていたからだ。

 ところがアメリカでは、90年代の頃から、完全な正義の味方ではなく、結構悪いこともしてしまうちょいワルヒーロー的なキャラたちが増えてきた。

 従来の説に従えば、道徳心に欠けたところのあるちょいワルヒーローに人気など出るはずがないのだが、彼らはきちんと人々から愛されてきた。

 こうした状況を見て、ヒーローの人気と道徳心との関係は薄れてしまったのだろうか? と疑問を持ったのが米オハイオ州立大学のマシュー・グリザード氏らだ。

好きなキャラと嫌いなキャラ

 この疑問を解くべく、彼らは大学生262人に好きなキャラと嫌いなキャラに関する質問をしてみることにした。

 質問では、参加者に「ヒーロー」「悪役」、それから道徳的に曖昧なところがある「ちょいワルヒーロー」に関する説明を読んでもらい、それぞれのカテゴリーに当てはまると思う「大好き」なキャラと「大嫌い」なキャラを挙げてもらった。

 人気のあったキャラを一部紹介すると、スーパーマンバットマン(ヒーロー部門)、ジョーカーヴォルデモート(悪役部門)、デッドプールバットマン(ちょいワル部門)という具合だった。

 また大嫌いなキャラとしては、スーパーマンバットマン(ヒーロー部門)、ジョーカーヴォルデモート(悪役部門)、デクスター・モーガンスパイダーマン(ちょいワル部門)と、好きなキャラと結構似たような顔ぶれだった。

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好きなキャラの道徳心は?


 ところが、選んでもらったキャラの道徳心について評価してもらうと面白いことが判明した。キャラの部門にかかわらず、嫌いなキャラよりも好きなキャラのほうが道徳心が高いと評価されることが多かったのだ。

 つまりキャラの好き嫌いは人それぞれなのだが、好きなのは基本的に正義の心を持っているとその人が感じているキャラだったのだ。

 ただし、ちょいワルヒーローについては少々込み入った部分があるようで、単純に道徳心が強いと思えるキャラを好きになるとは言いにくい部分があるようだ。それでも、道徳心と人気との間には一応の関係が見られた。

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周囲がワルだといい奴に見える


 この点について、グリザード氏は、『ブレイキング・バッド』に登場するウォルター・ホワイトを例に挙げて説明する。

 ウォルター・ホワイトは化学教師なのだが、自分がガンであることがわかったため、将来家族がお金に困らないように、麻薬を精製し、それを売るようになったというちょいワルヒーローだ。

 多くのエピソードではほとんど悪役のようにも見えるが、『ブレイキング・バッド』に登場するほかのキャラに比べればまだ道徳的にマシなので、視聴者から応援されていた。

 絶対的には褒められたキャラではないが、相対的に道徳的だったので一応視聴者から好かれたのだ。


8.6(水)リリース『ブレイキング・バッド』SEASON 1~3 予告編

 ここで紹介したヒーローはアメリカのキャラだったりするわけだが、日本だとどうだろう?

 スーパーヒーローとはいえ、ちょっとダメなところやダークな部分を演出しているアニメや漫画キャラも増えているようだよね。いろんなキャラが頭の中に思い浮かんだんじゃないかな?

 でもしっかり正義感はあるし、弱いものに救いの手を差し伸べるという演出は世界的に好まれる傾向にあるのかな。

 この研究は『Journal of Media Psychology』に掲載された。

References:Even today, we want our heroes to know right from wrong/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52276756.html
 

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