ブラジルの伝説的ボサノヴァ・ギタリストで歌手のジョアン・ジルベルトが88歳で死去した。2019年7月6日に息子のマルセロ・ジルベルトがFacebookを通じて公表したが、死因は明らかにしていない。

 マルセロは、「父が亡くなった。彼の戦いは気高く、主権を失ってもなお尊厳を保とうとしていた」と投稿した。ジルベルトには3人の子どもがいる。

 ボサノヴァの草分け的存在だったジルベルトは、1950年代後半に「ビン・ボン/Bim-Bom」(1958年)などに代表される、伝統的なサンバ音楽とモダンジャズを融合させた新ジャンルを確立させ、その後の10年間で国際的な成功を収めた。1962年には米ジャズサックス奏者スタン・ゲッツ、長年の友人でコラボレーターだったアントニオカルロス・ジョビン、そして当時の妻アストラッド・ジルベルトと『ゲッツ/ジルベルト』をレコーディングした。1964年に200万枚以上のセールスを記録したこのアルバムは、史上最も売れたジャズ・レコードの一つとなり、米国以外の作品として初めて【グラミー賞】<最優秀アルバム>を受賞した。

 収録曲の「イパネマの娘」はジャズやポップ音楽の定番ソングとなっている。米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”では5位が最高位だったものの、ザ・ビートルズの「イエスタデイ」に次いで2番目に多くレコーディングされている楽曲だと考えられている。

ボサノヴァ界のレジェンド、ジョアン・ジルベルトが88歳で死去