夫婦の離婚原因で最も多く語られるのが「性格の不一致」です。事実、司法統計(2017年度「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」)によると、「性格が合わない」理由で離婚する人は全体の45%(2万9876件)と断トツで、次の「精神的に虐待する」(24%、1万5719件)を大きく引き離しています。

 この「性格の不一致」ですが、解決する有効な手立てはないものでしょうか。こう申し上げると、「そもそも持って生まれた性格なので、一致させたり、近づけたりすることはできない」「仮に性格を変えようと思っても、長年の蓄積により形成されたものなので簡単には変わらない」「それができないから離婚するしかない」という答えが返ってきます。

相手の性格を15分で理解する方法

 確かに、性格といっても十人十色ですし、簡単には変わりません。そもそも、性格というものは漠然としていて見抜くことも大変そうですし、相手の性格が分かったからといって何をどうすればよいか見当をつけにくいものです。

 もちろん、どんなに努力しても相手の性格を理解できない場合、それが耐えられないレベルであれば、無理を続けることはよくありません。しかし、もし、性格の不一致の問題を解消する有効な方法があって、それも15分程度の時間で身に付けることができ、その場で効果を発揮する方法があれば試してみたいと思わないでしょうか。

 それが、6月10日の記事で紹介した、相手のモチベーションファクター(意欲を高める要素)を見極める方法です。筆者は、モチベーションファクターを2つの志向と6つの型に分類しています。相手がどの志向や型に当たるかは、2分程度の対話や相手が好む色から推定できます。

モチベーションファクターの見極めで解決

 例えば、周りからあれこれ言われたくなくて、自分で物事を決めていきたい「自律裁量」型の相手に「ああしてほしい」「こうしてほしい」と細かく注文してしまうと、険悪な雰囲気になります。「自律裁量」型の相手に「任せます」「やりたいようにやってみたらどうか」というフレーズを繰り出せば、「(自律裁量型の)自分の考えを尊重してくれてうれしい」「性格が合う」と思ってもらえるようになります。

 しかし、同じ「任せます」というフレーズを、リスクが心配で間違いないように進めたいと思っている「安定保障」型の人に繰り出してしまうと、「私が心配しているのに何も分かっていない」「人ごとのような対応だ」というように、性格の不一致を感じさせることになってしまうのです。「安定保障」型の人には「ここはこうしたらどうか」「その点は私も分かっている」というようにきめ細かくコミュニケーションを取るとよいわけです。

 この方法を用いれば、自分の性格を変える必要はありません。自分のモチベーションファクターが何であったとしても、そして、相手のモチベーションファクターが何であったとしても、相手のモチベーションファクターに合わせた対話をしていけば、お互いにストレスを感じ合うことも無用な対立を生むこともなく、コミュニケーションが可能になるのです。

 千差万別の性格をいきなり見極めようとすると、時間も手間もかかりますが、モチベーションで捉えると、わずか15分程度の演習で見極めることができるようになります。そして、次の15分で、相手のモチベーションファクターに合わせたフレーズを繰り出すことができるようになります。性格の不一致の問題はモチベーションファクターの不一致の問題であり、人それぞれ異なるモチベーションファクターを踏まえたコミュニケーションをすることで解決できるのです。

モチベーションファクター代表取締役 山口博

「性格の不一致」問題は解決できる?