◆「まだ死んでいない、喋ってるじゃないですか」という入管職員

「人間扱いしてほしい」と会見で語るメメットさん(中央)

 6月24日クルド人の2家族による記者会が、都内でおこなわれた。1組は、1年半収容されて6月17日に解放されたメメット・チョラクさんとその妻。もう1組は、現在も収容中のフセイン・イシリさんの妻と2歳になった娘だ。

 今までは顔の露出を避けていたのだが、この問題を訴えるために意を決しての会見であった。そして、それに対し多くのメディアが集まった。

 メメットさんは収容中に体調を崩し激しい頭痛と手足の痺れなどがあり、外から家族が救急車を呼んだが2度に渡り追い返されていた。

 メメットさんは解放されたものの、体調のほうはいまだ改善が見られず、夜も眠れない状態で収容所の時と変わらず精神安定剤を常用している。

 収容時の様子を、「人間扱いされない」と語った。「死にそうだ、病院に連れて行ってほしい」と訴えても、職員に「まだ死んでいない、しゃべってるじゃないですか」と仮病のように扱われ、心配してくれる様子はなかった。病院に行くとき、手錠をされるのを嫌がったら、病院に連れていかれなかった。

 また、監視カメラつきの一人部屋に入れられ、あまりの苦しさにインターホン越しに「助けてください!」といくら訴えても「カメラで、様子を見てるから平気です」とまったく意に返してもらえなかったという。

◆「力になってほしい。難民は違反じゃない。認めてほしい」

記者会見には多くのメディアが集まった

 記者から「世間へメッセージはあるか?」と質問をされ、「マスコミから口にして、(世間に)わかるように伝えてほしい。力になってほしい。難民は違反じゃない、認めてほしい」とメメットさんは答えた。

 メメットさんが仮放免された同日、インタビューもなしで難民不認定処分が出た。担当の大橋毅弁護士もこれには驚いている。6月24日に難民審査請求を提出した。

 会見に一緒に出たメメットさんの妻はこう訴えた。

「毎日、面会疲れる。(学校に行っていた)子供には『パパは元気。パパは頑張る』とウソをついていた。この(入管の)やりかたダメ。子供は日本で生まれたのに国籍がない。家族面会ができても、子供だけしか夫と触れることができない。職員に、『奥さんは座ってて!』と言われてしまう」

「難民というだけで怖がられる。ちゃんと聞いてほしい。難民を悪いことと思わないで。私たちクルド人は世界のどこにも国がない。大人はいいけど、子供は助けてほしい。仮放免でビザがないのは大変」

 夫が解放されても、まだまだ安心のできる様子ではなかった。

◆家族面会はわずか30分、娘を抱きしめることもできなかった

会見中、泣き出すフセインさんの妻

 フセイン・イシリさんの妻もこの会見に参加した。

 当初は、家族の顔と名前を出すことを躊躇していたが、あまりにも夫の解放が長引いているので、覚悟のため会見の場に顔を出した。フセインさんは現在、食事がとれずに砂糖水を口にしている。職員に「頑張って食べろ」と言われたそうだが、食べてもどうしても戻してしまう。最近は「砂糖水ですら辛い」と語っている。

 収容されて1年半が経ち、やっとアクリル板で隔てられることのない家族面会を果たせた。しかし長い間離れ離れだったことで、いざとなると2歳の娘はフセインさんに対し、人見知りをして泣き出してしまった。

 やっと実現できた家族面会だったが、娘を抱きしめることができず、かなり気落ちをしてしまった様子だった。

 筆者との面会で、ますます痩せて骨と皮だけになったフセインさんは「(家族面会が)30分じゃ、何もできない。せめて1日、時間があれば……」と悲しそうにつぶやいた。フセインさんの妻は会見で、悲しさのあまり泣き出す場面もあり、そしてこう語った。

◆今もなお続く入管の長期収容
「夫は2か月前から1人部屋。40日も前から食事をとっていない。娘が病気になると、私は日本語ができないから大変。毎日、面会して辛い。人間として、私の立場になって考えてみてほしい。私たちは何も悪いことしていない。みなさん、お願いします。普通の家族になりたい。難民と認めない、人によって収容の期間が違う。それなら難民(条約)をやめてほしい」

 大橋弁護士トルコの、(クルド人に対する)現在の状況は悪化している。見直してほしい」と主張する。入管の長期収容は、現在も頑なに続いている。あまりにもひどい扱いに対し、顔も名前も出し、立ち上がる当事者も少しずつ増えてきている。あまりにも人道を無視した入管のやり方も、そろそろ限界に近づいているのではないだろうか。

<文/織田朝日 Twitter ID:@freeasahi

【織田朝日】
編む夢企画/国籍問わずみんなが楽しい気持ちになれるような、そんな交流の場を企画。

「人間扱いしてほしい」と会見で語るメメットさん(中央)