Point
■親の嘲笑的な教育により、子どものいじめリスクが急増することが判明
■しかもそうした子どもはいじめの加害者だけでなく、同時に被害者にもなることがある
■嘲笑的・批判的な親の態度により子どもの感情調節が機能不全に陥り、怒りのコントロールができなくなる
「つい冗談で」、子供をからかっていないだろうか?
アメリカなどの共同研究で、親の嘲笑・敵対・拒絶的な教育によって子どもの感情調節が機能不全に陥り、いじめの加害者になってしまうリスクが急増することが判明した。
しかもそうした子どもたちは、加害者だけでなく被害者となるリスクも高いようだ。
研究はアトランティック大学(米)、コンコーディア大学(カナダ)、ウプサラ大学(スウェーデン)の共同で行われた。詳細は5月24日付けで「Journal of Youth and Adolescence」上に掲載されている。
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10964-019-01040-z
嘲笑的な教育で感情の調節不全に陥る
チームは思春期の男女1409人を対象に、七年生から九年生(13歳〜15歳)の3年間にわたって追跡調査を実施した。
その結果、いじめの加害者や同級生との不和を起こす生徒のほとんどの親が、子どもを頻繁に「からかう」など、冷笑的・敵対的に接していることがわかった。
しかもその親の多くは、子どもが反発的・挑発的な態度を取っていないにも関わらず、精神・身体ともに攻撃的な態度を取っていたという。
親から批判や皮肉の言葉を日々受け続けた子どもたちは、感情的な機能不全に陥り、怒りのコントロールができなくなるのだ。
感情統制の障害は思春期の精神的健康にとって実に危険なもので、ネガティブな感情の悪循環を招く。
これが深刻化すると周囲への敵意が増長し、身体的・精神的な攻撃性を見せるようになり、人をいじめることでしか発散できなくなるのだ。
いじめの加害者にも被害者にもなりうる
特筆すべきは、このような子どもたちがいじめの「被害者」にもなってしまうことである。
調査結果では、嘲笑的な親を持つ子どもたちの多くは、誰かをいじめていると同時にいじめられているという状況にあった。
研究チームのブレット・ローゼン氏は「不適切な対人関係は親から子へと伝染していき、学校内でのトラブルにつながります。いじめに関わる子どもたちの家庭に根ざす病理を特定することで、深刻な結果に陥るのを防げるかもしれない」と指摘する。
また同氏は「嘲笑的な教育は、一時的には無害に見えても、長期的に蓄積すると子どもの感情調節不全を引き起こす危険性があると理解してほしい」と話している。
「つい冗談で」「笑わせようと思って」――。人をからかうことは常に相手を傷つける危険性をはらんでいる。特に子供は感受性も強い。人を傷つける負のループに子供を巻き込まないように、大人は注意を払うべきだろう。
reference: fau.edu / written by くらのすけ
投稿 子供を「いじめる側」にしてしまう親の特徴が明らかに は ナゾロジー に最初に表示されました。
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