セブンイレブン本部が、加盟店の営業を代行する「オーナーヘルプ制度」。セブン7月10日、加盟店オーナーに対し、利用対象に「家族旅行」が復活したことを通知した。

同制度をめぐっては今年5月、内規変更で対象から「家族旅行」が除外されたが、加盟店への説明はないままだった。

これに対し、群馬県セブンオーナーが無断での変更は「独占禁止法違反(優越的地位の乱用)」に当たるとして、7月1日に公正取引委員会へ申告したことが共同通信などで報じられていた。

セブンは今年4月、加盟店オーナーを支援する「行動計画」の中で「オーナーヘルプ制度の充実」を謳っている。

弁護士ドットコムニュースの取材に対し、セブン本部は、群馬県オーナーの影響を否定した上で、「体制が整いつつあるので、改めてご案内しました。より使いやすくなるよう、引き続き体制を強化していきます」と話した。

井坂HD社長「周知徹底」と発言も…

公取委に申告したオーナーは永尾潤さん。永尾さんは今年5月23日にあったセブン&アイホールディングス(HD)の株主総会に出席するため、ヘルプ制度を申請したが、内規変更で旅行目的は不可になったと断られた。

永尾さんはこの件を株主総会で質問。これに対し、HDの井阪隆一社長は次のように回答した。

「内規が変わったら周知を徹底してほしいという趣旨と理解しました。そこについては徹底してまいりたいと思います」

しかし、加盟店への連絡はないままだった。この点について、セブンは「利用希望者と個別に話す」と答えていた(5月24日)。

なお、ヘルプ制度が使えなかったため、永尾さんは夜勤明けで会場に向かい、その後、群馬にトンボ帰り。再び夜勤シフトに入った。

「契約にかかわることなのに…」

オーナーヘルプ制度は、本部社員が有償でオーナー業務を代行する制度。加盟店の契約タイプに関係なく利用できるが、永尾さんのように加盟店側で土地と建物を用意する「Aタイプ」では契約書にも明記されている。

永尾さんが2001年に加盟した際に配られた冊子では、オーナー本人や家族の疾病、冠婚葬祭のほか、「旅行」も対象になると説明されていた。

セブン2009年、期限の迫った弁当類を値引きする「見切り販売」の制限で、公取委から排除措置命令を受けた。永尾さんはこのとき、公取委に申告したオーナーのひとり。

「契約書には価格決定権は加盟店側にあると書いてある。だけど、本部はそれを守らなかったし、その後も遠回しに圧力をかけ続けた。オーナーヘルプも契約にかかわる話なのに、勝手に変更して加盟店に連絡もしない。何を信じて良いか分からなくなる」(永尾さん)

弁護士ドットコムニュースは今年5月の内規変更以降に、オーナーヘルプを断られたという別のオーナーにも話を聞いたが、内規変更についての説明はなかったという。

人員不足、優先度から「旅行」削除

そもそも、なぜ「旅行」はなくなったのか。5月の株主総会でセブン-イレブンジャパンの永松文彦社長は、永尾さんの質問に対し、次のように答えている。

オーナーヘルプ制度については今まで不十分なことがございました。人事異動によって充実を図るということをやっています」

「人手不足の中で、より優先度が高いものはフォローしないといけない。冠婚葬祭、家族・本人の疾病をより優先すべきという考えのもので、すみません、旅行は優先度を下げさせてもらいました。ただし、十分に人が充足した段階では再開したいと考えております」

実際これまで、家族の葬儀や新婚旅行などでも利用を断られたというオーナーが存在していた。

「旅行」の復活は「十分に人が充足」したから?

では、今回の「旅行」復活は、「十分に人が充足した段階」と言えるのだろうか。

セブンによると、具体的な人員などについては回答を控えたいとしつつ、「行動計画に沿って、急ぎ体制を強化してきた」「体制が整いつつある」という。

セブン7月10日、加盟店に発信した案内の中には「緊急性の高い利用目的を優先させていただく場合があります」「本部社員が確保できない場合にはお受けできない場合もあります」という文言がある。

必ずしも対応できるわけではないが、これまでに比べれば使いやすい状態にあるそうだ。

本部から「警告」が届く

大雑把に整理すれば、本部の主張は、可能な限りオーナーヘルプには対応するが、物理的に限界はあるというもの。対する永尾さんはそもそも契約事項じゃないかという立場で対立が深まっている。

永尾さんは、旅行目的を無断で削除した内規変更を問題視し、公取委に申告。加えて、7月11日の「セブンイレブンの日」に午後11時〜翌午前4時まで「臨時閉店」(時短)をすると本部に通告していた。

これに対し、本部からは契約解除をちらつかせた「警告」が届き、これについても共同通信などが報じていた。

永尾さんによると、7月11日の時短は断念するという。

「契約書通りに考えると、これで契約解除になると、1000万円ほどの違約金を払わないといけなくなる。それはさすがにできないので…」(永尾さん)

代わりに当日の日中、本部に出向き、今回のオーナーヘルプ制度の通知が契約上の権利なのかどうかを確認するという。この日も日帰りで、夜勤の予定だ。

今回配信された通知には「申請の方法」として「2週間以上前にOFC(編注:経営相談員)へ申請をお願いします」と書かれている。

永尾さんは「葬式や病気は2週間前には分からない。本部社員が確保できなければ(オーナーヘルプを)受けられないというのなら、臨時閉店も認めるべきではないか」と話している。

なお、本部との協議により、毎週日曜日の午後23時から翌午前5時までの「週1時短」は承認されているという。

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