大阪府茨木市を舞台にした映画『葬式の名人』の完成披露試写会が、7月11日(木)にロケ地の大阪府立茨木高校で行われ、キャストの前田敦子高良健吾、尾上寛之、中西美帆、奥野瑛太、樋井明日香、佐藤都輝子、阿比留翔太、そしてメガホンをとった樋口尚文監督と大野裕之プロデューサーが登壇。茨木高校の体育館に集まった観客を前に映画の舞台となった茨木市への思いや見どころなどを語った。

映画で初めて母親役に挑む前田敦子

映画『葬式の名人』は茨木市の市政70周年の記念事業として制作され、茨木市で3歳から18歳までを過ごした文豪・川端康成の作品群を原案とした作品。シングルマザーの雪子(前田敦子)のもとに高校の同級生・吉田創(白洲迅)の訃報が届き、卒業から10年を経て集まった同級生たちと、母校の茨木高校でお通夜をすることに。そこで彼らは不思議な体験をするというストーリーだ。

舞台挨拶に先立って行われた合同取材会で、前田は映画について「脚本を読ませてもらった時からすごく不思議な世界観だなと。それが文でも伝わってきて。実際撮ってるときも、普通は主人公の目線だったり誰かの目線ですけれど、今回は川端先生の目線だと監督もおっしゃっていて、まさにずっと俯瞰で撮影するんですよね。撮ってるときも不思議だったし、出来上がっているものも、それがいい意味ですごく出ていました」と独特の世界観に注目してほしいと語る。

亡くなった吉田の親友、豊川を演じる高良も「本当に不思議な映画だと思います。脚本を読んだときにこれが映像化したらどういう映画になるんだろうと興味がすごくあって。実際に現場でもその不思議な気持ちがずっとあったんですが、本編を見ても変わらず不思議な気持ちになっている。映画でしかつけない嘘がこの映画には毎シーンの様にある。この夏に暗い映画館で観てもらう映画にはぴったり」と完成した作品に自信を見せる。

本作で初めて母親役を演じる前田は、実生活でも母親になったばかり。息子のあきおを演じた阿比留との共演を「こんなにかわいい息子がいたら、シングルマザーでもそりゃ楽しい毎日だよな、という疑似体験をさせてもらいました。役の中でもしっかりしてるし、現実でもすごくしっかりしているので引っ張ってもらいました。こういう子がいたらずっと前向きで滑りきっていけると思いました」と満面の笑みで撮影を振り返った。

また、約2週間にわたり、茨木高校をはじめ、茨木市内各地で撮影された本作。映画で披露する関西弁に前田は「(プロデューサーの)大野さんが先生になってすごく教えてくれました。あとはあきお(阿比留翔太)がネイティブなのでかなり教えてもらってどうにかこうにかやってましたけど、難しかったです」と周りの助けがあったことを明かした。

その後茨木高校の体育館で行われた完成披露舞台挨拶に登壇。集まった学生や市民の大きな歓声と盛大な拍手に迎えられた前田は「なんてアットホームなんでしょう、うれしいです!」と感激の様子。「皆さんのおかげで完成しました。本当にありがとうございました」と集まった観客とロケ地の茨木市に感謝の気持ちを述べた。

高良も「茨木市に住んでいる方、茨木高校のOBの方達には懐かしんでもらえるような、在校生の皆さんには誇らしく思ってもらえる映画になったと思います。なかなか体育館の中で映画を観るということはないと思うのでこれが皆さんにとっての映画の体験になってくれたら嬉しいです。本当に不思議な映画なので楽しんでいってください」と呼びかけた。それぞれがロケ地茨木市への感謝のコメントを述べる中、自身も茨木高校出身の大野プロデューサーは「自分が本当に素晴らしい3年間を過ごしたこの茨木高校で映画をつくって皆さんに見ていただくこと、本当に感無量です」と顔をほころばせた。

ここで舞台挨拶前日の7月10日が誕生日だった前田にサプライズが。茨木高校の吹奏楽部が登場し、バースデーソングを演奏し始めると、前田は驚いた表情から満面の笑みに。生徒からは花束が、樋口監督からは前田の愛猫、ポッツとロジャーの絵が贈られた。「忘れてました、自分の誕生日。本当にありがとうございます!」とサプライズに感激していた。

最後に前田は「今日は楽しい時間を、短い間でしたが一緒に過ごせてすごく楽しかったです。ちょっと暑いですよね。皆さん喉を潤しながらゆっくり見ていただけたら嬉しいなと思います」とこれから観賞する観客への気遣いをみせ、舞台挨拶を締めくくった。

映画『葬式の名人』は8月16日(金)にイオンシネマ茨木にて先行ロードショー、9月20日(金)より全国公開。(関西ウォーカー・松原明子)

映画『葬式の名人』完成披露試写舞台挨拶が大阪府立茨木高校で行われた。