安田レイ

シンガーソングライター安田レイ。『Best of my Love』でソロデビューしてから、リリースする楽曲の多くがアニメドラマ、CMに起用されてきた。そして7月17日リリースされる『over and over/dazzling tomorrow』が12枚目のシングルとなる。

バラードからアップチューンな楽曲まで歌い上げる七色の声に、アメリカ人と日本人の血を引く美しい容姿。

その才能を持ちながらと言うと語弊があるかもしれないが、彼女にインタビューしてみて一番に感じたのは、音楽ができる環境と周りで支えてくれる人への感謝を忘れない彼女の人間性だった。

 

■何度も同じことを繰り返す毎日

安田レイ

———12作目のシングルリリース、改めておめでとうございます! 今回は両A面シングルということで、まずは『over and over』についてお話を伺いたいと思います。こちらの楽曲は、どのような楽曲に仕上がっていますか?

安田:over and over』は、「繰り返す」って意味のタイトルで、私たちの生活や人生を歌っています。考えてみると、私たちは同じようなことを何度も何度も繰り返して生きてるなあと。

 

朝、決まった時間に起きて、準備して、ごはんを食べて、学校や仕事に行って、それぞれの場所で人間関係があって、家に帰って、ごはんを食べて寝て…。またもう1回同じことを繰り返してっていう。

 

———そうですよね。日々の生活に追われ、毎日同じことの繰り返しだと感じている人はきっと多いと思います。

安田:その中で、すごい楽しくて「人生最高!」って日もあれば、前に進む力がない、立ち止まりたくなるようなときもあると思うんですね。でも、波があるからこそ、人間らしいなと思っていて。

 

■近くにいてくれる人のおかげ

———立ち止まってしまいそうになったとき、安田さんをもう一度突き動かす力になるのは何でしょうか?

安田:近くにいてくれる人のおかげだなと思っています。私は歌以外は何もできない人間で、1人だったら絶対にここまで来られていない。

 

この繰り返される日々の中で、いろんな感情の波があるけど、いろんな人のおかげで、結局一周回って自分の人生好きだなって思えるんだなって。

 

いま何かにぶつかってる人も、結局それは繰り返されることだから、つらいこともあるかもしれないけれど、繰り返し繰り返しの自分の人生を進んでいこうよ、前に。そんなテーマを『over and over』では伝えたいですね。

■不安な思い、涙を共有できること

安田レイ

———サビで「そばに」という言葉が繰り返されるのがとても心地よくて、そっと寄り添ってくれるような優しさを感じました。

安田:「泣きたい 泣けるときほど そばに そばに」って歌詞は、一緒に不安な思いや涙を共有し合える人がいることって、すごく幸せなことだなという想いで歌っています。

 

私はひとりで溜め込んでしまうタイプなんです。でも、誰かが一緒に泣いてくれると、「一緒に前に行けるんだったら、それならできるかもしれない」と思えるし、涙を流すことって決して悪いことじゃないなって。

 

———涙を共有するって考え方はとても新鮮で、すごく素敵だと思います。不安な気持ちのようにネガティブなとき以外にも、嬉しいときであったり、感動したときであったり、泣いてしまうことがあると思うのですが、最近、涙を流すような出来事はありましたか?

安田:今日の朝、福原美穂さんの『ドリーマー』という楽曲を聴いて泣きながら、ここ(インタビュー現場)に来ました(笑)

 

———すごくタイムリーでした! 『ドリーマー』が収録された福原さんのアルバムRAINBOW』が発売されたのは2009年。安田さんが音楽ユニット元気ロケッツ」のボーカルとして活動を始めたあとになりますよね。

安田:そうそう! その時期の曲です。すごく大好きな曲で、私、ラジオをやってるんですけど、今度、福原さんをゲストにお迎えして、一緒に歌うことになって、改めて聴いたんですね。

 

楽曲で歌われている心境が当時高校生だった自分にもすごく当てはまったけど、今の自分にも当てはまってて。いま歌ったほうが意味合い的にも、すごいリアルになるなと思いました。

 

名古屋ブルーノートでもこの楽曲を歌わせていただこうと思っていて、それをさっき福原さんにDMしたらすごく喜んでくださいました。

 

■聴いてたいなって思うくらい

安田レイ

———ちなみに、福原さんと一緒に『ドリーマー』を歌われるラジオは、先日SIRUPさんがゲストで出演されていた番組ですかね?

安田:…とはまた違う番組です。私、ラジオを3つやらせてもらってて(笑)SIRUPさんに出演していただいたのは『CITY GIRLS MUSIC』で、福原さんが来てくれるのは『JA全農COUNT DOWN JAPAN』ですね。

 

———3択を外してしまいました…(笑)。と、とにかく共演が楽しみですね!

安田:楽しみですけど、めちゃくちゃ緊張します。こんなに愛のあるあたたかい歌を歌える日本のアーティストって、他にいないなと思っていて。

 

すごく愛情を感じるというのか、福原さんは北海道出身なんですけど、北海道の大地に包み込まれるような。福原さんには、「福原さんの曲にハグしてもらってます」って伝えさせていただいたんですけど、そういう力を感じます。本人と一緒に歌うより、聴いてたいなって思うくらい(笑)

■一番お気に入りのMVに

———今回の楽曲のMVは非日常な空間なのに、身近に感じるというか、心休まる不思議な感覚になる映像だなと思いました。

安田:ありがとうございます。そうですね、いろんな日常生活のシーンを切り取っているんだけど、色がすごくカラフルで、それが非日常感を感じるところなのかなと思います。

 

カラフルなものって、すごくかわいくてポップなものになりがちだと思うんです。でも今回はちょっとシュールな内容にしていますし、カラフルな世界観なんですけど、すごくスモーキーな色味で、最後まで飽きない映像になっています。

 

———静止画を動かしたコマ割りがあったり、撮影も大変だったのかなという印象を受けました。

安田:そーなんですよ! 今までのPVだと歌うシーンが多くて、ずっと最初から最後まで曲を何回も流して撮影するってことが多かったんですけど、物を持ったり、立ってるだけだったり、今回は結構細かくパート分けして撮影しました。

 

撮影は早朝からだったので、時間が深くなってくると眠気もすごくて、監督に「レイちゃん大丈夫かい?」って言われることもありました(笑)

 

———疲れますよね(笑)。でも、時間をかけて丁寧に制作した分だけ、出来上がった映像を観たときの感動はひとしおだったんではないでしょうか?

安田:撮ってるときはホントに、これが1個の映像になったときにどうなるんだろうって未知の世界の中に自分がいる感じでした。

 

でも、出来上がった映像を見て、テンポよくビートで遊んでいて、監督すごいなあって。今までで一番お気に入りのPVになりましたね。

 

■甘えることは恥ずかしいことじゃない

———両A面シングルのもう1曲、『dazzling tomorrow』は「輝く明日」という意味を持つタイトルです。どのような曲に仕上がっていますか?

安田:この曲で一番伝えたいのは、誰かに甘えていいんだよってことです。強がって生きてる人が周りにすごく多いように感じるんですね。私も長女ってこともあって、「私が我慢すれば、この場が収まる」って思ってましたし(笑)

 

———なんでしょう…。それは、なかなかつらい考え方ですよね。

安田:そう(笑)。そのまま大人になって、思ったことをズバッと言えない性格になってしまって。でもやっぱりそうなると、自分が潰れてしまう瞬間があるんですね。

 

でも、26歳になって、ちょっとずつ自分の弱い部分を見せられるようになってきて、すごく気が楽になってきたんですよ。

 

だから、同じことで悩んでる人に、「甘えることは恥ずかしいことじゃないんだな」って、この曲を聴いて少しでも感じてもらえたらいいなと思います。どうですか? 甘えられていますか?

 

———僕は「全人類に甘やかされたい」と思って生きているので(笑)

安田:あはは(笑)。甘えられる人はとことん甘えたほうがいいと思います!

■安田レイの新しいテーマ

安田レイ

———今回の2曲を聴いていて、安田さんがこれまでに歌ってこられた楽曲にはなかった柔らかさのようなものを個人的には感じました。

安田:柔らかさっていうのは、「安田レイ」の新しいテーマだと思っています。デビューした20歳の頃は、がむしゃらに「頑張る頑張る頑張る…!」って自分の気持ち的にも力んでる部分があったと思うんです。

 

でも26歳になって、いろんなアーティストの方と出会って、いろんな音楽に触れて、自分の価値観も少しずつ変わってきて、自分の声でもっと勝負していきたいなと思うようになりました。

 

なので、音を作るときも、何でもかんでもプラスするんじゃなくて、自分の声を引き立てるためにどこかを引いてっていうように取り組んでいて。それが「柔らかい」って印象を感じる大きな理由なのかなと思います。

 

———前回インタビューさせてもらったときにはなかった意識だと思います。何かきっかけはあったんですか?

安田:最近聴いてる音楽が影響していると思います。洋楽でも邦楽でも、音数が少なくてビートがあって、ベースがあって声があって、言葉がすごく入ってくる音作りをしている楽曲を聴くことが多いです。

 

———アーティストでいうと?

安田:4月に東京EX THEATER ROPPONGIで見させてもらった、iriちゃんのライブはすごかったですね。ライブの音作りがすごくかっこよくて、どこに座ってても、iriちゃんの言葉がドクドク伝わってきて。ドクドクって表現は違うな…。

 

———もっとバシッと伝わる表現がありますかね?

安田:ドクドクって血が出てるみたいですもんね…。ズキズキ? グサグサ? まあまあまあ(笑)。はい…伝わってきました(笑)

 

■音源にはないライブの良さ

———今月26日には、名古屋ブルーノートでワンマンライブを行われますよね。安田さんの思うライブの魅力とは何でしょうか?

安田:ライブって地域によって、来てくれている人のその日のテンションによって、変わってくると思うし、すごいマモノっていうか、生き物だと思います。

 

もちろん音源で聴いてもらって、みんなの日常に私の曲が溶け込んでくれてたら嬉しいです。でもやっぱり私はライブに来てほしいと思うし、その場の温度感をシェアできるライブが大好きです。

 

■目標はワールドツアー?

安田レイ

———「やりたいことは口にしてきた」。ソロデビューしてすぐの20歳のときに、安田さんがインタビューでおっしゃっていた言葉です。最後に、26歳になった今の安田レイが叶えたいことを教えてください。

安田:えー、当時はなんて言ってたんだろう…。でも、今はホールツアーをやりたいです。全国各地に熱く応援してくださるファンの方がいらっしゃるので、みなさんが住んでいる街に行って、ホールで。それができるように頑張りたいと思います。

 

———ありがとうございました。ちなみに、20歳の安田さんの目標は「ワールドツアー」でした!

安田:うわあ! それはまた大きく出たなあ(笑)

 

・合わせて読みたい→安田美沙子、頬に添えた息子のおもちゃが「意外な物」と間違われる

(文/しらべぇ編集部・野瀬 研人

安田レイ、新曲『over and over/dazzling tomorrow』で見せる新しいテーマ