今夏続々と決まる日本人選手の欧州進出 「熱気がすごい」

 今夏の移籍市場での日本人選手の欧州行きに関するニュースが増えるなか、韓国メディアも大きく反応している。韓国のスポーツ紙「スポーツ朝鮮」は、「日本サッカーの“欧州ラッシュ”の熱気がすごい」と、その中身を大々的に報じている。

「最近、スペインの現地紙を通じて、FW安部裕葵(鹿島アントラーズ)のバルセロナ移籍の可能性が浮上(※12日に完全移籍が正式決定)。さらにバルセロナは、セレッソ大阪入りが内定している17歳のMF西川潤(桐光学園高校)を狙っているという話まで浮上した」

 相次ぐ日本人選手の欧州移籍のニュースには同紙も注目しており、「今夏、MF久保建英FC東京を離れ、レアル・マドリードに移籍。ベルギーシント=トロイデンプレーしたDF冨安健洋は、イタリアのボローニャ入りが決まった。DF安西幸輝は鹿島アントラーズから、ポルトガルポルティモネンセに完全移籍している」と、続々と決まる日本人選手の動向を伝えている。

 そのうえで、同紙はなぜ日本人選手の欧州行きが増えているのかについて、「最も大きな理由は、最近の日本の若い選手たちが持つ“潜在力”にある」と指摘。韓国サッカーに精通する解説委員は同紙の取材に対して、「日本の選手たちが進出するリーグとクラブのほとんどが、中小規模であるのは見過ごせない。適度なリーグとクラブへの進出が多く見られる。すなわち、欧州に進出する選手の数は多いが、FWソン・フンミントットナム)やイ・ガンインバレンシア)などトップで活躍する選手がいるわけではない。ただ、量が増えれば、将来的に厚い選手層を作るうえで大きな力になる」と分析している。

20代前半の選手のシーズン途中の欧州移籍は「損失でしかない」が…

 また、欧州市場に詳しいというエージェントは同紙の取材に対し、「日本の移籍市場を見ると、単純に有望株だけを送っているのではない。現在、プロとしてプレーしている20代前半の選手もシーズン中に欧州に移籍する。所属クラブからしてみると、損失でしかない。ただ、日本は基本的に欧州進出に対する許容がある。選手の年俸が下がっても、本人が欧州進出を望むのであれば、選手の意思を尊重する」と話しており、韓国と構造的な部分で違いがあると指摘している。

 いずれにしても、これだけ多くの日本人選手の欧州行きの動きが活発になれば、韓国でもさらに話題になるのは確実。今後の日本人選手の動向に韓国も注目している。(金 明昱 / Myung-wook Kim)

日本代表MF久保建英(左)とFW安部裕葵【写真:Getty Images】