まだまだ梅雨空の残る長月の、お日様が昇る前の涼しい時間だけが魅せてくれるのは、千葉市の花であり世界最古の花である「大賀(おおが)ハス」。~千葉公園へようこそ~と、カラフルなパラソルが曇り空に咲いて迎えてくれました。


2000年の時を経て再び華ひらく



昭和26年が奇跡の始まり。大賀一郎博士と地元小中学生らによって「大賀ハス」の実が、3月に1粒、4月に2粒と発掘されました。そして、昭和27年7月18日、そのうちの1つの実が2000年の眠りから目を覚まし、ロマンあるニュースが国内外を駆け巡りました。



千葉県の花のあふれるまちづくりシンボルキャラクターの「ちはなちゃん」も、オオガハスの妖精となって新たに誕生。千葉公園には、公園内を見下ろせる小高い荒木山、ボートも漕げる広い綿打池、懐かしの喫茶売店。ハス池のほとりにある蓮華亭には、蓮に関する資料や写真がたくさんあり、お勉強気分も楽しめます。


蓮の奇跡の4日間



蓮華亭の大賀ハスのパンフレットによりますと、14~24枚の花弁が花径15~28㎝の大きさに開きくそうです。蓮の華が咲く時期はなんと4日間。その短い日数の内、1日の中でも咲くのは午前中までと、さらに短いようです。



1日目。朝6時頃から花弁がゆるみ始め、とっくり型に開き、8時頃には閉じ始めます。

2日目。早朝4時頃から開き、6~7時頃にかけてお椀型に大きく花開き、その姿は最も優美で甘い香りが強まります。



3日目。早朝4時頃から開きはじめ、7時頃に花の幅が最大に開きます。花の色は少し褪せて、昼頃に閉じ始めますが、半分開いたまま終わります。



4日目。7~8時頃までに大きく開き、花の色褪せはさらに進み、11時頃から花びらが少しずつ散り始め、午後3時過ぎには完全に散るそうです。そしてだんだんと蓮は終わりを迎えます。

すっかり花びらの散ってしまった大賀ハス。まだまだ蕾の大賀ハス。隣同士に咲いている。順番を待つかのように。時間というものがぎゅっと濃縮した世界観。



早朝の涼しげな大賀ハスは、日が昇るにつれて太陽に向かい、紅と桃の色合いがさらに鮮やかに光り、深い碧のドレスを広げたように優雅。4日間という儚い美しさに、カメラ片手に人々が魅了されていました。


蓮と仏教と花言葉



蓮の花言葉は「雄弁・神聖」などあり、仏教言葉の「一蓮托生」という言葉にも蓮が入っています。仏様は蓮華の台座に座って、仏教とも縁のある蓮。

極楽浄土には蓮の花が咲き、人はこの世を去ったら極楽で蓮の花から生まれるというお話もあります。こんなにも美しい華の中から再び生まれることができるのか、この世を去ってしまった大切なあの人はこの華の中で再び目を覚まし笑ったのだろうか、と異次元に心踊って、なんとなく救わるような気がします。大賀ハスからのほのかに甘い香りは、新しく生まれる喜びの香りなのかもしれないと、ふと思えてきます。



令和元年の開花は5月で、7月いっぱい咲き続くようです。泥の中からでさえも美しく咲き、2000年という時を経て咲く蓮。タイムスリップした気分で、貴重な大賀ハスに囲まれ歩く早朝の至福を味わってみてはいかがでしょう。

[All photos by kurisencho]


千葉公園
住所:〒260-0045千葉市中央区弁天3-1
開演時間:24時間(入園無料)
交通:JR・京成「千葉駅」徒歩10分、千葉モノレール「千葉公園駅」下車すぐ
HP:https://www.city.chiba.jp/toshi/koenryokuchi/kanri/chuo-inage/chibakouen.html


大賀ハス