お笑い芸人闇営業問題。ややわかりにくくなっているが、そもそも「闇営業」とは、所属事務所を通さずに直で仕事を請け負うこと。事務所に入るはずのマージンごと手にできるため、芸人にとってはオイシイ仕事だが、事務所への背任行為とも言えるだけに、建前上は禁止とされてきた。

「しかし、事務所からの仕事と、その収入だけでは生活ができない芸人は多く、事務所もそこまでの仕事をとってきてやれないこともあり、芸人の個人的つながりから発生する数万円のギャラの仕事であれば、ほとんどの事務所で黙認されているのが現実なんです」(芸能プロ関係者)

 実際、この本来の意味での「闇営業」が原因で処分された芸人は、今回の騒動の中にも存在しない。

「今回は、その相手が反社会的勢力、つまり“闇”の世界の人物・集団であったため、暴排条例に抵触する可能性が出てきた。厳しい処分をせざるを得ませんでした」(お笑い関係者)

 今ほどコンプライアンス意識が低かった時代には、こんなことも珍しくなかったという。あるベテランモノマネ芸人・A氏がこう話す。

「地方のスーパー銭湯の宴会場の司会で呼ばれて行ったら、集まってきたのは明らかにその筋の人たち。普通は刺青のある人は入館禁止ですが、その日は丸一日全館貸し切りにしての慰労会だったんです。組の幹部の方が谷村新司さんの大ファンで、谷村さんのマネが得意なボクが呼ばれたということでした。いつもは谷村さんの特徴を誇張したお笑いネタとして披露していますが、その日は、呼んでくれたイベンターに“マジメに歌ってくれ”と言われました(笑)

 宴会場の後方に陣取る幹部の表情をうかがうと、イマイチ反応が悪いようで、A氏は大いに焦ったという。

「これはマズいと思って、いつものお笑いネタに戻して思いきりやったんです。そしたら、今度は大笑いしているじゃないですか。なんだよ、最初からこれでいいんじゃんかと。結局、幹部に気に入ってもらえましたね」(A氏)

 その日のうちに東京に戻らなければならないスケジュールだったため、ステージが終わり幹部に挨拶をして帰ろうとすると、「おい、車で駅まで送ってやってくれ」と幹部。

「『いえいえ、時間もあるし結構です。お気持ちだけいただいていきます』と言いましたが、『いいから乗ってってください』と断れない雰囲気。結局、幹部の運転手の黒塗りの車で、10分ほどのドライブ。途中、赤信号はオール無視で、生きた心地がしませんでした。降りる時には、『オヤジから預かっています』とジャケットのポケットに5万円をねじこまれました」(A氏)

 こんな話は、まだいくらでもあるという。

(露口正義)=写真はイメージ

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