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もくじ

はじめに
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
内装 ★★★★★★★★☆☆
走り ★★★★★★★★★☆
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
スペック
結論 ★★★★★★★★☆☆

はじめに

将来、ランボルギーニの栄枯盛衰をまとめようとした歴史家が年表を作ったなら、ウルス誕生の年に区切りのラインを引くことになるだろう。

今回取り上げるスーパーSUVことランボルギーニ第3の市販モデルが登場するまで、サンタアガタで創業者フェルッチオのファミリーネームを掲げ続けるこのメーカーは、主にミドシップのスーパーカーを生産してきた。LM002と呼ばれるオフローダーを造ったこともあるが、あくまでも異端のラインナップにすぎない。2010年代に入るまでは年間生産台数が2000台を超えることもなく、破産を経てミムラン兄弟へ譲渡された1980年代はまさに暗黒時代。21世紀を目前にフォルクスワーゲン・グループへ組み込まれ、その後の栄華を築き上げた過程は、まださほど古い記憶に入るものでもないだろう。

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しかし、ウルス後のランボルギーニは、これまでとまったく違う会社となった。サンタアガタ・ボロネーゼの本社は敷地を倍加し、2019年の生産台数は8000台を超える見込み。これは後発のマクラーレンを凌ぐ成功だというに十分で、永遠のライバルというべきフェラーリに迫るものだ。

しかし、もしもフェルッチオが健在だったなら、彼の口三味線のネタだったと伝えられる打倒エンツォの野望を現実にするべく、ウルスのようなモデルにゴーサインを出しただろうか。いまとなっては推測するほかないが、このクルマを詳細に、徹底的に検証することで、その推測の確度を高められるだろう。

驚くようなことではないが、現在の経営陣はその点に確信を持っているようだ。ステファノ・ドメニカリ会長兼CEOは、こう述べている。「デザイン、パフォーマンス、走りのダイナミクス、そしてエモーション、いずれを取っても真のランボルギーニであり、ランボルギーニのファミリーへ完全にフィットする」と。もしそうだとすれば、共有プラットフォームを用いた2.2トンものSUVが、そんなありえないような話をどのように実現したのか、ぜひともはっきりさせたいと思う。

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

ランボルギーニがスーパーSUVを自称するウルスだが、そのスーパーさをルックスで十分に訴求できているだろうか。結論をいえば、テスター陣の答えはイエス。ただし、それは現代版LM002といえるような存在でないというのも、全員に共通する意見だ。

シルエット的には、これまでのこの手のクルマとしてはもっとも衝撃的なモデルといえるアウディQ8に近い。ただし、ルーフラインはもっと激しくリア下がりで、全体的な高さも低い。また、レンジローバーなどのフルサイズSUVの多くと比べても幅が広く、アルミのボディワークは数多くの折れ目や大きく開いたエアインテークを持つ。そうしたすべてが、これを生み出したランボルギーニが大胆極まりないスーパーカーのメーカーであることを見る者に思い出させる。

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機械面では、議論の余地はあまりない。ホットVレイアウトのツインスクロールターボを2基備える3996ccV8は、ポルシェがカイエンターボに積むユニットのパワーアップ版で、文句なしにスーパーだ。荒々しくも高性能なエンジンで、650psと86.6kg-mを発生。最大トルクの発生回転数は2250rpmで、2285kgもの巨体をやすやすと加速させ、0-100km/hは3.6秒、最高速度は306km/hに達する。

トランスミッションは、ロックアップクラッチを備えるZF製8速ATで、低いギアは最大限のパフォーマンスを発揮するべくレシオが接近している。その先で駆動力は、トルセン式センターデフを介して前後へ分配。通常時はリアへ60%を割り振るが、必要に応じてその割合を最大87%まで増加する。いっぽうで、スノーモードや、オプション設定されるオフロードと砂地の各モードでは、フロントへ最大70%を伝達し、トラクションを最適化する。

走行モードはこのほか、標準状態のストラーダをはじめ、スポーツとコルサの、計6種類を設定。さらに、ステアリングやトランスミッション、エンジンのレスポンス、エキゾーストノートやサスペンションを個別にセッティングできるエゴモードが、アヴェンタドール同様に用意する。13.3:1というギア比の電動ステアリングも、スーパーカー的にクイックだ。

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また、シャシーのテクノロジーは、クラストップを狙うクルマに相応しい内容。リアのデファレンシャルはトルクベクタリング機能を備え、四輪操舵はコーナリングスピードにもよるが、実質的にホイールベースを最大で600mmも短く、もしくは長くしたのと同じ効果を生むという。ウルスはまた、アクティブスタビライザーを装備する初めてのランボルギーニだ。

ブレーキはフロントに、440mmのカーボンセラミックディスクと、10ポットのキャリパーを標準装備する。テスト車はサーキットテストに備え、オプションのピレリPゼロ・コルサを履いていたが、そうでなくてもその強力なブレーキシステムによって、速さだけでなく制動性能も、2.2トンのSUVではありえないレベルに達しているのは確実だ。

内装 ★★★★★★★★☆☆

ウルスのインテリアは快適で、くつろげて、ハイテクで、さらにバーサタイル。視認性はグレートで、5人の大人が無理なく乗れて、しかも荷室は600ℓを超える大容量を誇る。大型SUVに期待する実用性や便利さを備えているのは事実だ。また、これまでのランボルギーニにそれを望むのは、飛行機の操縦桿やゴムのペダルをそのコクピットに探すのと同じくらい無理な話だった。

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このキャビンに欠けているものを挙げるとすれば、細部のマテリアルの高級感だろう。サンタアガタはそれが、2500万円級の高級車がライバルからユーザーの興味を奪い、デポジットを払わせる上でどれだけ重要かを軽視している。もしくは、ウルスをエキサイティングなホンモノのランボルギーニらしく仕上げようとする上で、他の要素にかけるコストへ重きを置きすぎたのかもしれない。

フロントシートは、メモリー機能付き12ウェイ電動調整式スポーツチェアが標準装備で、オプションはよりラグジュアリーな18ウェイが用意される。テスト車に装着されていたのは標準シートで、これでもサポート性と快適性のバランスは良好だが、あるテスターはランバーサポートがもう少し効いていればよかったとの感想を述べている。

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薄いスポークでフラットボトム形状のステアリングホイールは、ランボルギーニとしては位置が高めで立ち気味だが、それでも思うより傾斜がついていてスポーティ。比較的上下方向が狭いガラスハウスや低いルーフライン、寝かせたAピラーは、これがただの実用SUVではないことを物語る。けれども、それらを別にしても、ダッシュボードにはランボルギーニのトレードマークとなっている六角形のモチーフが、エアベントやカップホルダー、果てはメーターパネルまで、随所に用いられ、スーパーカー的なテイストを生み出している。

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各部コンソールに見られるマテリアルのバラエティと魅力的な質感は、もう少し改善の余地がある。テスト車の黒いレザーとピアノブラック、ブラシ仕上げのアルミを組み合わせたトリムはなかなかのものだが、半額で買えるアウディとはちょっと違うものだ。そのほかのマテリアルも用意されるが、ランボルギーニには姉妹ブランドであるベントレーほどカラーやトリムに関するノウハウがない。少なくとも、この手のクルマでは明らかにそうだ。

走り ★★★★★★★★★☆

ウルスをどのようなスタイルで走らせるかは、タンブーロと呼ばれるモードセレクターで決定できる。センターコンソールのデバイスに設置されたちょっとプラスティッキーなレバーで、ストラーダ/スポーツ/コルサ/サッビア(砂地)/テッラ(悪路)/ネーヴェ(雪道)をセレクトする。ただし、前後方向にひとつずつ動かさなければ選択できないのがじれったくはある。

ストラーダを選ぶと、650psのV8ツインターボは驚くほど静かなままで、ギアボックスのシフトダウンは1段ずつ下がる。全体的に快適かつ洗練された走りで、多くの高級SUVより印象的な部分はない。ウルスの運動性における重要な信条のひとつは、誰もが運転できるランボルギーニであることだろうが、その点で成功しているのは間違いない。

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スポーツモードに入れると、操作系の手応えが増し、レスポンスやエンジンのサウンドも高まり、ギアボックスも機敏になる。ウルスは急に、ドライバーへ興奮状態となることを求める。エキゾーストはそれまでに倍する轟きを上げはじめるが、ドアスピーカーが発するデジタル化されたV8の叫びが相当入っていること、いうなれば、感覚が強引なやり方で刺激されていることはすぐわかる。さらに、V8過給ユニットは重量級SUVに適しているが、デジタル補正が入ろうと入るまいと、ランボルギーニにぴったりの強烈なカリスマ的威厳を文句なしに備えているとはいえない。

そうはいっても、ウルスの加速力は圧倒的だ。この背の高い2285kgのクルマが0-97km/hを3.3秒で駆け抜け、8秒以下で161km/h に達するのをはじめて目にしたなら、笑うべきか叫ぶべきかわからなくなるだろう。

敢えていうなら、全開時のスーパースポーツと呼ぶのがふさわしい部分をみれば、ウルスは実に恐るべきクルマだ。しかし、それほどの息を呑むようなパフォーマンスを秘めていながら、日常使いでは運転しやすく素直だということが、多くのユーザーに受け入れられる理由となるのではないだろうか。

テストコース

ウルスはサーキットで、実にすばらしいスピードとグリップ、そしてスタビリティを発揮する。正確には、それほど路面をガッチリ捉えているわけではないのだが、多くのアクティブシャシーシステムが機能して、ハンドリングのナチュラルさやグリップ限界付近での操縦性を失わせないのだ。

標準装備のカーボンセラミックブレーキは、食いつき良好で制動力も高く、サーキットでラップを重ねてもそれがひどく弱まる気配はなかった。グリップは均等に割り振られ、ターンインはすばらしくシャープで、かなりのハイペースでもスロットルをうまく調整すれば、アペックスを捉え損ねることはほとんどないだろう。ただし、コーナリングで早めにパワーオンすると、外へ流れる挙動をアジャストできる幅は大きくない。またグリップレベルの知覚は、前後ともややフィルターのかかったように曖昧なところがある。

ドライサーキット
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ランボルギーニ・ウルス:1分10秒8

メルセデスAMG GT63 4ドア:1分11秒7

速いSUVだとはわかっていたが、より低く軽いAMG GTを凌ぐラップタイムをマークするというのはなかなかのものだ。このランボルギーニは高速コーナーでAMGと変わらず速いと感じられるうえに、ストレートでは上回るペースをみせるのだ。

強力なブレーキは、3速で曲がるようなコーナーでも自信を持ってアタックし、結果的にかなりの速度を乗せることができる。

ウェットサーキット
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ランボルギーニ・ウルス:1分11秒9

メルセデスAMG GT63 4ドア:1分8秒3

重量と重心高のペナルティが、ウェットサーキットでAMGを上回れなかった理由だ。とはいえ、2.2トンのSUVとしては立派なラップタイムだといえる。

22インチのホイールとタイヤは、水たまりの処理も上々。滑りやすい路面であっても、パワーのオン/オフ問わず、ハンドリングのスタビリティは目覚しい。

発進加速

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テストトラック条件:乾燥路面/気温13℃
0-402m発進加速:11.6秒(到達速度:194.4km/h)
0-1000m発進加速:21.2秒(到達速度:242.7km/h)

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メルセデスAMG GT63 4ドア
テストトラック条件:乾燥路面/気温14℃
0-402m発進加速:11.5秒(到達速度:198.9km/h)
0-1000m発進加速:20.9秒(到達速度:252.5km/h)

制動距離

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テスト条件:乾燥路面/気温13℃
97-0km/h制動時間:2.70秒

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メルセデスAMG GT63 4ドア
テスト条件:乾燥路面/気温14℃

使い勝手 ★★★★★★★★★☆

インフォテインメント

ウルスのインフォテイメントシステムは、アウディのMMIナビゲーションプラスをうまくお色直ししたものなので、これまでのランボルギーニで感じたような失望を覚えることはない。

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これはランボルギーニ・インフォテイメントシステムⅢ(LISⅢ)と銘打たれ、高精細のタッチ操作式ディスプレイが2面設置される。上のディスプレイは、ナビやラジオ、車両セッティング、電話など、多くのシステムの操作に用いるもの。下のそれは、主にエアコンの操作用で、ほかにいくつかのショートカットが配置される。

アウディと同じく出来のいいソフトと、見た目は異なるものの、変わらずシャープなグラフィックの恩恵があるいっぽう、欠点も共通するものがある。実体スイッチが備わらないので、走行中は直感的な操作がちょっとばかりしにくいのだ。そうはいっても、アヴェンタドールに採用され続けているシステムと比べれば、ずっと先を行っている。

駐車

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燈火類

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アダプティブLEDヘッドライトは標準装備で、最近のランボルギーニではおなじみのY字型ランニングライトが備わる。今回、その実力を試す機会には恵まれなかった。

ステアリングとペダル

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ペダル配置に問題になるような点はない。ブレーキとスロットルの両ペダルは、快適なドライビングポジションを取るのに適切な間隔が開けられている。ステアリングコラムも同様に良好だ。

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

ウルスのハンドリングは、多層的なキャラクターをみせる。最初は、これほど背が高く重いクルマが極めて高いパフォーマンスとグリップのレベルやレスポンスの割合を備え、容易にしっくりくることがわかってうれしくなる。ストラーダモードでのステアリングは驚くほど軽いが、扱いやすく操縦性に優れ、軽く流しているウルスは実に控えめに感じられる。

日常の速度域に入ると、運動性は次の面を現し、その俊足ぶりや敏捷性が、直線で見せる速さと同じくらい鮮明になる。タイトコーナーやジャンクションでは、爽快なまでの直観性や強烈な精確さでクルマを導けるさまが実に衝撃的。これより価格の低いパフォーマンスSUVのほとんどに比べ、一歩先を行っている印象だ。

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ボディコントロールは、カスタム設定ができるエゴモードで3段階の切り替えができる、アダプティブダンパーのセッティングによって調整できる。横方向のコントロールは常に秀逸なので、コーナリング時の安定感をロールで乱されそうだという思いにとらわれることはまずないだろう。上下方向のタイトさは常に際立ち、舗装のいい路面では落ち着きを失わないが、A級道路でもB級道路でも路面が平滑でなくなるとややそれを拾ってしまうようになる。しかし、それもうまく飲み込み、速度を上げるほどになめらかさを増し、ダンパーはよりハードなモードに切り替わる。

最後のキャラクターは、サーキットにでも行かなければ顔を出さないが、いろいろと試す余地が多く好ましい。そこでは、グリップやパフォーマンス、安定性のピークに行き着くまでややプッシュしなければならないように感じる。また、ハンドリングやドライブトレインのさまざまなアクティブ制御が機能して、ドライバーがタイヤやシャシーに過剰な要求をしそうになるとそれを間違いなく教えてくれる。いっぽうでやや粗野に感じられ、真に夢中になれるハンドリングのバランスやアジャスト性、操作系のフィードバックがやや足りないところもみせる。

とはいえ、そのペースやグリップ、コーナーでのスタビリティやハンドリングの平静さを、これほど大きく重いクルマが実現するのを体感すれば、やはり驚かずにはいられない。

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

ウルスの乗り心地とハンドリングとの妥協点は、速い四駆モデルの多くとは異なるものがある。それについてはここまででも言及しているので、こう言っても驚く読者は少ないだろう。アウディQ7やベントレー・ベンテイガ、はたまたレンジローバーのようにスムースな乗り心地は、ウルスには望めない。スポーティさの重要度が低い大型車に見られるようなラグジュアリーさを、乗員が味わえないと言い換えてもいい。

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このクルマの乗り心地は、トリッキーなB級道路でもアベレージ以上に快適だ。とはいえ、アクティブ制御のスタビライザーやダンパー、エアスプリングも、頭が揺すられるのを完全に抑えられるほどクレバーではない。とくにダンパーを柔らかいモードにした際や、もしくはサスペンションによるボディコントロールを十分に活用できていないときには。

高級SUVとしてはややノイジーに思えるが、これは22インチという大径ホイールと、比較的硬く振動を伝えやすい構造部に原因がありそうだ。ところが、おもしろいことにそれが騒音計の数値に表れてはいない。113km/h巡航時の車内ノイズは65dBで、ベントレー・ベンテイガやアウディSQ7と変わらないのである。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

ウルスは実用面で、オーナーに大きな苦痛を強いることはなさそうなクルマだ。英国の路上においてさえ、走りの洗練度はめざましい。後席のヘッドルームが十分かどうかはともかく、まっとうな室内のエルゴノミクスは、ポルシェ・カイエンターボのようなライバルたちに太刀打ちできる。

世界最速のSUVとしては、価格もかなり競争力のあるものだ。英国で2500万円少々、日本では2800万円ほどという値付けは、ランボルギーニとしてはハードルが低い。それまでもっとも安かったウラカンのRWDクーペだけでなく、SUVとしてはパフォーマンスやエキセントリックさで拮抗しうる唯一の存在といえるW12エンジンを積むベントレー・ベンテイガ・スピードもこれより高価だ。対して、ハードウェアの多くを共有するカイエンターボは、性能こそウルスに及ばないものの、900万円近く安い。同じことは、近く登場するアウディRSQ8にもいえるだろう。

しかし、ランボルギーニには珍しく、ライバルより価値の下落幅が小さくなりそうだ。3年・5.8万km後の予想は、カイエンが55%、ベンテイガが50%なのに対し、ウルスは実に60%なのだ。カイエンターボのクーペ版に至っては、48%に過ぎない。相対的に見れば、ランボルギーニとしては驚くほど合理的な買い物ということになる。

価値の推移

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残価予想はなかなか高いが、同じ土俵に立てるライバルがいないので、相対的な評価が難しい。

スペック

レイアウト

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プラットフォームは、フォルクスワーゲングループ内で広く使われるMLBエボがベース。4.0ℓV8ツインターボをフロントに縦置きし、ZF製の8速ATを介して四輪を駆動する。サスペンションは前後マルチリンクで、エアスプリングとロールのアクティブ電子制御が備わる。テスト車の実測ウェイトは2285kgで、前後重量配分は57:43だ。

エンジン

駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:V型8気筒3996ccガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ86.0×86.0mm
圧縮比:9.7:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:650ps/6000rpm
最大トルク:86.7kg-m/2250-4500rpm
許容回転数:6750rpm
馬力荷重比:296ps/トン
トルク荷重比:39.4kg-m/トン
エンジン比出力:162ps/ℓ

シャシー/ボディ

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構造:アルミモノコック
車両重量:2197kg(乾燥重量)/2285kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前/後:10.0Jx22/11.5Jx22
タイヤ前/後:285/40ZR22 110Y/325/35ZR22 114Y
ピレリPゼロ・コルサ
スペアタイヤ:パンク修理キット

変速機

形式:8速オートマチック
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
①4.71/9.8②3.14/14.6③2.11/21.9
④1.67/27.7⑤1.29/35.9⑥1.00/46.2
⑦0.84/55.0⑧0.67/69.2
最終減速比:2.929:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:6.7km/ℓ
ツーリング:10.1km/ℓ
動力性能計測時:2.5km/ℓ

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):7.3km/ℓ
中速(郊外):4.6km/ℓ
高速(高速道路):3.8km/ℓ
超高速:4.0km/ℓ
混合:4.5km/ℓ

燃料タンク容量:85ℓ
現実的な航続距離:571km
CO2排出量:335g/km(NEDC)

サスペンション

前:マルチリンク/エアスプリング、アダプティブダンパー
後:マルチリンク/エアスプリング、アダプティブダンパー

ステアリング

形式:電動アシスト、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.25回転
最小回転直径:11.8m

ブレーキ

前:440mmカーボンセラミック通気冷却式ディスク
後:370mmカーボンセラミック通気冷却式ディスク

静粛性

アイドリング:42dB
最高回転時:81dB(4速)
48km/h走行時:54dB
80km/h走行時:58dB
113km/h走行時:65dB

安全装備

ABS/ESC/TCS
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

実測車速mph(km/h)
30(48) 1.4
40(64) 1.9
50(80) 2.5
60(97) 3.3
70(113) 4.2
80(129) 5.2
90(145) 6.4
100(161) 7.8
110(177) 9.4
120(193) 11.4
130(209) 13.7
140(225) 16.3
150(241) 19.9
160(257) 24.5

中間加速〈秒〉

中間加速mph(km/h) 2速 3速 4速 5速 6速 7速 8速
20-40(32-64) 1.7 2.8 4.3
30-50(48-80) 1.3 2.0 2.8 4.4
40-60(64-97) 1.4 1.8 2.3 3.3 5.3
50-70(80-113) 1.9 2.3 3.0 4.3 14.0
60-80(97-129) 1.9 2.4 3.1 4.1 12.7
70-90(113-145) 2.2 2.5 3.2 4.4 10.5
80-100(129-161) 2.6 3.3 4.6 9.0
90-110(145-177) 2.9 3.5 4.9 8.8
100-120(161-193) 3.9 5.3 9.6
110-130(177-209) 4.2 5.9
120-140(193-225) 4.8 6.7
130-150(209-241) 6.3
140-160(193-257)
150-170(241-274)

各ギアの最高速

1速 66km/h 6750rpm
2速 100km/h 6750rpm
3速 148km/h 6750rpm
4速 187km/h 6750rpm
5速 243km/h 6750rpm
6速 306km/h 6624rpm
7速 306km/h 5558rpm
8速(公称値) 306km/h 4418rpm
8速・113km/h/129km/h:1628rpm/1860rpm

結論 ★★★★★★★★☆☆

「イタリアの最新モンスターは驚きのドライビングを味わえる」
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ランボルギーニ・ウルスは常に、使うことで強い自尊心を掻き立てるクルマとなるはずだった。たとえそうでも、われわれはさまざまな場所で、ハードに、オートカーのロードテスト のフォーマットに従って走らせたことで、ウルスへの思いがどのように変わるかわかっていなかった。

こういうクルマは好みではない向きもあるかもしれないが、ほとんどのテスターはその独特なデザインが、より自由で独創性の強いひとびとに歓迎されるだろうと思っている。

しかし、ランボルギーニのような会社が顧客の求めに応じてこの手のクルマを生み出しても非難されるべきではない、という考えが受け入れられれば、ウルスの成し得たことは心から賞賛できるものだ。そして、エンジンはもっとサンタアガタのDNAを前面に打ち出す余地があったかもしれないし、より納得のいくラグジュアリーさを示せたかもしれないが、ウルスのことを知れば知るほど、その慎重な態度を取り続けることは難しくなる。

SUVがここまで速く俊敏になれるのかという驚きは、2002年に初代ポルシェ・カイエンで思い知らされて以来のことだ。そのパフォーマンスも価格帯も、そのときよりさらに高まってはいるのだが。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

サーキットでウルスのベストな性能を引き出すにはどれほど荒っぽく走らせなければならないかに慣れたとしても、ドライバーである自分のためにランボルギーニがこのクルマを造ったのだと思って喜ぶことはできない。とはいえ、時空を曲げるような走りを体験できるのなら、それは大したことではない。

サイモン・デイヴィス

ローンチコントロールを使った全開スタートの掛け値なしの凶暴さは、一見の価値がある。お恥ずかしながら、思わず悲鳴をあげてしまったほどだ。

オプション追加のアドバイス

オプションにかなりの出費をしてしまうかもしれない。たとえば5250ポンド(約78.8万円)もするB&Oのサウンドシステムや、4410ポンド(約66.2万円)のカーボンインテリア、2310ポンド(約34.7万円)のパノラミックルーフなどだ。先進的なドライバーアシストシステムも、重要なものがオプションだったりするので注意したい。

改善してほしいポイント

・エンジンは、もっとランボルギーニらしいキャラクターにしてほしい。期待したほどスペシャルなサウンドではなかった。
・インテリアは、ヴィジュアルもマテリアルももっと活気あるものにすべきだ。
・一般的な走行状態での乗り心地を、もう少し落ち着いたものにしてもらいたい。


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ロードテスト ランボルギーニ・ウルス ★★★★★★★★☆☆