米国のタレント、キム・カーダシアンが今年6月に立ち上げた補正下着ブランドKimono』が炎上した件は記憶に新しい。

 日本の伝統文化である着物と全く関係ない補正下着に、なぜそのような名前を付けるのかとネット民からの非難が相次いだ。その上、カーダシアンはこのKimonoという名前の商標登録を目指していた。これには京都市長の門川大作氏も再考を要求する声明文書を発行したほどだ。



 カーダシアンは「ブランド名を変更するつもりはない」と語っていたが、7月に入って、ブランド名の再考をSNSや米誌『WSJ. Magazine』にて宣言。反省の気持ちを滲ませ、騒動はひと段落した。



 だが、国際的な炎上案件に発展した「着物」に限らず、斜め上の意味合いで外国語化した日本語は他にも存在する。

◆「着物(Kimono)」はブラジリアン柔術の道着!?

 実のところ、「Kimono」という単語自体は既に海外で定着している。アメリカブラジルで「Kimono」と言うと、ブラジリアン柔術の道着を連想されることがある。もちろん「Jacket」でもいいのだが、ブラジリアン柔術の世界では道着を指す言葉として「Kimono」が普遍的なワードになっているのだ。

 ブラジリアン柔術とは、日本人の前田光世氏が伝えた武術。そのため、ところどころで日本由来の単語が使われている。たとえばブラジリアン柔術には「Gi」と「No-GI」のルール区分がある。これは日本語の「着」だ。つまり前者はジャケット着用、後者はノンジャケットルールという意味だ。

◆「3枚(Sanmai)」は刀剣鍛造用語に…

 1枚、2枚、3枚……。紙や何か薄い物体を数える際、日本ではそのように言う。しかし、この「3枚」が意外な形で外国語化している事実はあまり知られていない。

 ナイフや刃物の鍛造職人の間では、国籍に関わらず「Sanmai」という単語が使用されている。これは2枚の低炭素鋼の間に1枚の高炭素鋼を挟む鍛接法で、伝統的な日本刀の技法でもある。

 CSヒストリーチャンネルで『刀剣の鉄人』という番組が放映されている。4人の刀剣鍛冶職人が一から武器を作ってその技術を競うという内容だが、歴代チャンピオンの中には日本で刀鍛冶の修業をしていたという職人もいる。つまり日本は世界から「刃物産業先進国」あるいは「一流の刀剣職人になるための修行先」と見なされているのだ。

 そのため、刀剣鍛造の世界にも日本語が流入している。「刃文」「三徳」「鍔」なども、職人の間でそのまま通じてしまう。

◆「カラオケKaraoke)」は夜の店?

 「カラオケ」が海外でそのまま外国語化しているということは、割と広く知られている事実である。が、実はこれは要注意の単語だということをご存知だろうか。

 特に東南アジア諸国では、「カラオケ」という言葉をそのまま使うべきではない。なぜなら特に他の単語を付け足さずに「Karaoke」と言ってしまうと、それはキャバクラのような夜の店を指してしまうからだ。こちらが指名したコンパニオンと飲んで歌って遊んで、という店である。

 では、一般的なカラオケはどう表現するのか。その場合は「Family karaoke」が一番妥当な言い回しである。男一人でタクシーに乗車し、何も知らずに「カラオケ行きたい」と行ってしまうと、キャバクラに連れていかれてしまう可能性もある。

 このように、特異な形で外国語化した日本語は数多いのだ。<文/澤田真一>

【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジーガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログたまには澤田もエンターテイナー

画像は、キム・カーダシアンのインスタグラムより