ネット上の情報には真偽の不確かなものも少なくないが、まことしやかに情報が流れ、民衆が右往左往してしまうこともある。最近では「中国の高速鉄道は、放射線を浴びる危険がある」という内容の文章が中国のネット上で流れているそうだ。中国メディアの今日頭条は12日、その真偽を確認する記事を掲載した。

 結論からすると、「高速鉄道放射線を浴びる危険がある」というのはデマに過ぎず「荒唐無稽」な話だという。記事は同済大学教授の孫章氏の文章を紹介し、「中国高速鉄道の高圧電力設備はX線の電離放射線とは全く違う」と指摘。したがって、ネットで広まっている「高速鉄道に乗るとX線を浴びる」といううわさには全く根拠がないとしている。

 もっとも、高速鉄道放射線を放出しているというのは事実だ。しかし記事は、高速鉄道に限らず一般の列車や地下鉄でもわずかな放射線はあるほか、携帯やシェーバー、さらには太陽光でさえ放射線を放出していると指摘。その放出量が安全の範囲かどうかが重要な問題だと論じた。

 記事は、中国高速鉄道で発生する放射線数値は11―21V/mの範囲内であり、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の定める5kV/m以下と比べてもはるかに少なく、人体に被害はないはずであると指摘した。

 これに対して中国のネットユーザーからは両極端なコメントが寄せられた。「放射線を気にしていたらきりがない」という意見の人は、それなら携帯も使えないし「毒入りの中国米」も食べられないなどのコメントを残していた。一方、「やはり気にするべき」という人も多く、「具合の悪い時に高速鉄道に乗ると不調を感じる」という人もいた。また、専門家の説明を読んだら「逆に不安になった」という人もいて、逆効果になった人もいるようだ。

 世界的な問題とは言え、特に中国は不確かな内容の文章が出回り過ぎていて、日本とは比較にならないほどの混乱が起きているようだ。今はネット時代で情報過多の社会となっているが、あふれる情報の中から正しい情報を見出すことは、この先ますます重要になっていくに違いない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

中国高速鉄道は放射線を浴びる危険があるって本当? 「これはデマ」=中国メディア