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パキスタン南部のシンド州ミティに住むアフシーン・カンバールちゃん(Afhseen Qumbar、11)は首が90度曲がっており、一人で食事をすることやトイレに行くことができない。学校にも行けず、首が曲がったまま10年以上が経過し、家族は「アフシーンになんとか手術を受けさせてあげたい」と悲痛な叫びをあげている。『Metro』などが伝えた。

誕生時には何の異常も見られなかったアフシーン・カンバールちゃんは、生後8か月の時に家の外で遊んでいて突然転び、首が左側に傾くようになった。7人の子供を抱えながらも定職がなかった両親はアフシーンちゃんを病院に連れていくお金がなく、地元の信仰療法士に助けを求めたが症状は悪化するばかりだった。

そんなアフシーンちゃん家族に朗報がもたらされたのは、今から2年前のことだった。世界中のメディアがアフシーンちゃんのことを取り上げ、手術代を負担してくれるというスポンサーが現れたのだ。

こうして昨年2月、アフシーンちゃんはシンド州カラチにあるアガ・カーン大学病院(Aga Khan University Hospital)で検査を受け、医師から手術が必要であること、手術の成功の確率は50%であることを告げられた。

全ては順調に進み、一度はアフシーンちゃんの手術のスケジュールも決まったが、親族の結婚式と日程が重なったため、両親は手術を1か月ほど延期してもらうことにした。しかし結婚式が終わるとスポンサーからの連絡はプッツリ途絶え、それ以来アフシーンちゃんは医師の診察すら受けていない。一家の長男モハメッド・ヤクーブさん(27)は当時、携帯電話ショップで働いていたが、アフシーンちゃんの病院通いのために仕事を辞めざるを得ず、現在も無職の状態が続いている。

さらに追い打ちをかけるように昨年、アフシーンちゃんの父親ががんで亡くなり、一家の頼りは母親のジャミーランさん(52)の収入だけとなってしまった。しかし家事手伝いとして働くだけのジャミーランさんの稼ぎは1年で8千円ほどにしかならず、アフシーンちゃんをカラチの病院へ連れて行くお金すらない。

一家は地元の複数の病院にも足を運んだが、「ここでは治療ができない。病名の判断さえつきかねる」と突き返されて、国外の病院に行くことを勧められたそうだ。手立てのなくなったモハメッドさんは妹の手術の必要性をパキスタン政府に訴え続けているが、良い返事を聞くことができないまま1年以上が経過した。

生まれてから10年以上も斜頸の状態が続き、学校にも行けず慢性的な痛みと闘うアフシーンちゃんと、彼女を支える家族の精神的なストレスは計り知れないものがある。「手術を受ければ、学校に通うことができるかもしれない。自立ができれば、友達もできるだろう。未来ある、普通の人生を歩ませたい…」そんな家族の願いをメディアが届けることで、アフシーンちゃんの救世主が現れてくれることを願わずにはいられない。

なお2016年にはインドで、首が曲がり学校に通えなかった13歳少年が多くの人々のサポートによって手術を受けていた少年は8か月後に突然死したが、短い間でも新しい人生を手に入れたことを喜んでいたという。

画像は『Metro 2019年7月11日付「Girl with head bent at 90 degrees still waiting for surgery two years on」(Picture: Caters)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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