法医学者の朝顔(上野樹里)とベテラン刑事の父・平(時任三郎)。朝顔は解剖で、平は捜査で死因がはっきりしない遺体の謎を解いていく。「監察医朝顔」は、とても真面目に良いドラマを作ろうとしている印象だ。この設定的にどーしても「アンナチュラル」(2018年1月~TBS)、「トレース~科捜研の男」(2019年1月~フジテレビ)、「ラジエーションハウス」(2019年4月)などを連想する人が多いと思う。でもどのドラマとも違う静かな魅力があった。上野樹里は『のだめカンタービレ』以来、13年ぶりの月9。

原作漫画との違い
ドラマ原作となった漫画は『漫画サンデー実業之日本社)』にて2006年に連載スタート、雑誌休刊後も電子版で連載し2013年まで続いた。
原作の漫画とドラマではかなりキャラクターの雰囲気が違う。
漫画の絵柄通りにキャスティングを考えると、朝顔→小雪、壇蜜、父・平→佐藤蛾次郎……といった感じだ。

朝顔の「母」の設定も原作とは違う。
原作では朝顔の母は旅行先の神戸で被災。朝顔が病院に駆けつけた時は元気だったがクラッシュシンドロームにより急逝(阪神・淡路大震災1995年1月17日)。
ドラマでは母の実家がある東北で朝顔とともに被災。母は知り合いが気になり海沿いへ行き、その後行方不明となる(東日本大震災2011年3月11日)。直接的な表現はなかったものの、避難所の光景などは当時ニュースで見たものに近いように感じ、胸が締め付けられた。

震災を扱ったドラマというとNHK連続テレビ小説あまちゃん』(2013年4月~9月)が思い出される。
年月が経ち、語られることも少なくなってきた2019年に再び震災を扱うことはやはり意味がある。8年経った今も、朝顔や平のような人がいるということを考えるきっかけ。
原作の漫画を描いた木村直巳さんも放送後に風化させてはいけないという思いをツイートした。

木村直巳@フジ月9「監察医朝顔」原作マンガ家

それは、現地の僕の仲間たちと僕の震災を風化させてはいけないという思いからです。ですから8年後の今だからこそ描く必要があると思います。僕は今回のドラマに感謝しています。

— 木村直巳@フジ月9「監察医朝顔」原作マンガ家 (@KNaomipro) 2019年7月10日



(イラストと文/まつもとりえこ)

見逃し配信:FOD

『監察医 朝顔』
2019年7月8日(月)スタート 21:00~)
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介志田未来中尾明慶、森本慎太郎(SixTONESジャニーズJr.)、坂ノ上茜、喜多乃愛、宮本茉由、戸次重幸平岩紙、石田ひかり、三宅弘城、板尾創路、山口智子、柄本明、ほか
原作:「監察医 朝顔」(実業之日本社)原作:香川まさひと、漫画:木村直巳、監修:佐藤喜宣
脚本:根本ノンジ(「5→9~私に恋したお坊さん~」「フルーツ宅配便」「サ道」ほか)
音楽:得田真裕
主題歌:折坂悠太
法医学監修:上村公一(東京医科歯科大学
法歯学取材:斉藤久子(千葉大学)、勝村聖子(鶴見大学)
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、澤田鎌作
制作:フジテレビ

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冒頭、およそ2分の朝食シーン。朝ごはんの卵焼きがおいしそう、と思っているうちにテンポ良くメインキャラクターふたりの性格や生活を把握イラストと文/まつもとりえこ