映画化やドラマ化もされた「火花」で第153芥川賞を受賞した又吉直樹が2017年に発表し、単行本発行部数33万部を突破した長編小説「劇場」。劇作家を目指す主人公と、彼に恋し必死に支えようとするヒロインの7年間の恋を描いた恋愛小説が、このたび映画化されることが決定した。

【写真を見る】原作は、芥川賞作家・又吉直樹の原点と言える恋愛小説!

中学からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田。前衛的な作風で酷評を浴び、劇団員との関係も悪い彼は、言いようのない孤独を感じる日々を送っていた。そんなある日、女優になる夢を抱き上京した沙希と出会い恋に落ち、一緒に住み始めた2人。沙希が自分の夢を重ねるように永田を応援し続ける一方で、永田は理想と現実との溝を埋めるように演劇に没頭していくのだが…。

主人公の永田を演じるのは、主演を務めた映画『キングダム』(公開中)が興行収入56億円を突破する大ヒットを記録し、この夏には『二ノ国』(8月23日公開)でアニメーション映画声優に初挑戦する山崎賢人。そしてヒロインの沙希を演じるのは『勝手にふるえてろ(17)と『万引き家族』(18)で第42回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞と優秀助演女優賞をダブル受賞した松岡茉優

メガホンをとるのは『世界の中心で、愛を叫ぶ』(05)や『ナラタージュ』(17)などの恋愛映画の傑作を生みだしてきた行定勲監督。また脚本は、劇団「モダンスイマーズ」で20年以上にわたり作、演出をつとめ、2009年「まほろば」で第53回岸田國士戯曲賞を受賞した蓬莱竜太が担当。蓬莱と行定監督は『ピンクグレー』(16)につづくタッグとなる。

又吉が「恋愛がわからないこそ、書きたかった」という思いを胸に「火花」以前に執筆をスタートさせた、作家としての原点ともいえる原作小説が、日本を代表するスタッフキャストの手によってどのように映像化されるのか。6月初旬から演劇の聖地と言われる下北沢を中心に撮影が開始された『劇場』は、2020年に公開。続報に注目したい!

キャストスタッフコメント

●山崎賢人(永田役)

「初めて本を読んだ時、人としてダメな部分ばかりですが、表現者としてとても共感できる弱さを見せる永田をすごく魅力的だと感じました。自分にとってとても挑戦的な作品でしたが、以前からご一緒したかった行定監督のもと、今しか出せない自分のものを全部出せているのではないかと感じています。撮影を通して、とても魅力的な原作にさらに映画としての魅力を盛り込んだ作品になるのではないかと思っています」

松岡茉優(沙希役)

「沙希役の松岡茉優です。同い年の山崎賢人君とは実は昔共演しているのですが、直接一緒にお芝居するのは初めてです。永田と沙希について、撮影中何度も2人で話し合いました。2人とも脚本に心底惚れており、意見が違ったことはありませんでした。とても繊細な本で、私たちの演じ方が変わってしまうと、話の到着すら変わってしまいそうで。行定勲監督が若い私たちを導いてくれました。全国の恋する、愛する、はたまた情で離れられなかったり、何かのきっかけを失っているパートナー達が救われる映画になると思います。完成を楽しみにしていてください」

●行定勲(監督)

「小説『劇場』はあまりにも身に覚えがある場面ばかりで胸をかきむしるような想いで読んだ。私は又吉さんが書いた主人公がまとう空気をどうしても撮りたくなった。ザラザラとした、夜が明ける頃に感じる切なくて淋しい空気を。下北沢、渋谷、井の頭公園、そこかしこで錆つきそうな青春が吹き溜まっている。山崎賢人と松岡茉優という稀代の若く鋭い感性と共に、自戒を込めてどうしようもない男と女の在り方を映画として映し出せたらと思います」

●又吉直樹(原作者)

「『劇場』という小説は、恋愛というものの構造がほとんど理解できていない人間が書いた恋愛小説です。恋愛小説と呼べるものになっているかすらもわかりません。ただ、若くて未熟な二人がともに過ごしたどうしようもない時間を必死で書いているうちに、作家のわずかな能力を超えて濃密な風景が幸運にも立ち上がったと感じています。ちょっと表現まわりくどいですか?『こいつなに一丁前に作家ぶっとんねん』と思いました?でも、本心なんです。それくらい自分にとって、大事な作品です。信頼している行定勲監督、そして山崎賢人さん、松岡茉優さんをはじめ、魅力的な俳優陣によって映像になることを嬉しく思っています。普通、原作者はシンプルな言葉で感謝を綴るくらいが丁度いいと思うのですが、思わず長文になってしまい恥ずかしいです。そして、言い訳しているせいで、より長くなってしまいました。すみません。絶対観に行きます!」(Movie Walker・文/久保田 和馬)

山崎賢人主演、ヒロイン松岡茉優で「劇場」が映画化!2020年に公開される