興行収入56億円を突破した映画「キングダム」(2019年)大ヒットの記憶も新しい俳優・山崎賢人が映画「劇場」(2020年公開)で主演を務めることが決まった。原作は芥川賞作家・又吉直樹の恋愛小説「劇場」。山崎は、演劇に打ち込む青年役を、自身初となる無精ひげ姿で演じる。(※山崎の「崎」は正しくは「立さき」)

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■ 「周囲とうまく協調できない不器用な青年」役

「劇場」は、又吉が芥川賞作品「花火」よりも前に書き始めていたという、作家としての原点ともいえる恋愛小説。「恋愛がわからないからこそ、書きたかった」と又吉が語る通り、劇作家を目指す主人公・永田と、彼に恋をし必至に支えようとする沙希の、生涯忘れることができない7年間の恋愛を描いた作品だ。

山崎はその主人公・永田を演じる。大ヒットした「キングダム」では大将軍になることを夢見て突き進む少年・信をすさまじい熱量で演じた山崎。今回は、演劇に身も心も捧げながら、実生活では社会や周囲の人々とうまく協調できない不器用な青年を演じる。撮影前に何度も監督とエチュードを重ねて役を作り上げたという山崎。人生初の“ひげ姿”にも注目だ。

ヒロイン・沙希を演じるのは映画「万引き家族」(2018年)で世界に認められた若き実力派女優、松岡茉優。山崎とは今回が初共演。葛藤や迷いを抱えながらも、純粋に彼を愛そうとする健気な沙希を、儚くも愛しく演じる。

■ 演劇に没頭する青年の愛と葛藤を描く

中学からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山崎)だが、前衛的な作風は酷評され、客足も伸びない。劇団員との関係も悪く、永田は孤独だった。

そんなある日、永田が自分と同じスニーカーを履いた沙希(松岡)に声をかけたことがきっかけで、2人の恋が始まる。

沙希は女優になる夢を抱き上京し、服飾の大学に通っている学生だった。お金のない永田は沙希の部屋に転がり込み、2人は一緒に住み始める。沙希は自分の夢を重ねるように永田を応援し続け、永田は自分を理解し支えてくれる沙希を大切に思いつつも、理想と現実との間を埋めるようにますます演劇に没頭していき――というストーリーだ。

監督は映画「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)、「ナラタージュ」(2017年)などの恋愛映画を生み出してきた行定勲氏。脚本は「ピンクとグレー」(2016年)で行定氏とタッグを組んだ蓬莱竜太氏が担当する。

山崎賢人コメント「とても挑戦的な作品」

初めて本を読んだ時、人としてダメな部分ばかりですが、表現者としてとても共感できる弱さを見せる永田をすごく魅力的だと感じました。

自分にとってとても挑戦的な作品でしたが、以前からご一緒したかった行定監督のもと、 今しか出せない自分のものを全部出せているのではないかと感じています。

撮影を通して、とても魅力的な原作にさらに映画としての魅力を盛り込んだ作品になるのではないかと思っています。

松岡茉優コメント「とても繊細な脚本。心底惚れた」

沙希役の松岡茉優です。

同い年の山﨑賢人君とは実は昔共演しているのですが、直接一緒にお芝居するのは初めてです。

永田と沙希について、撮影中何度も 2 人で話し合いました。

2 人とも脚本に心底惚れており、意見が違ったことはありませんでした。

とても繊細な本で、私たちの演じ方が変わってしまうと、話の到着すら変わってしまいそうで。

行定勲監督が若い私たちを導いてくれました。

全国の恋する、愛する、はたまた情で離れられなかったり、何かのきっかけを失っているパートナー達が救われる映画になると思います。

完成を楽しみにしていてください。

■ 行定監督コメント「あまりにも身に覚えがある場面ばかり」

小説『劇場』はあまりにも身に覚えがある場面ばかりで胸をかきむしるような想いで読んだ。

私は又吉さんが書いた主人公がまとう空気をどうしても撮りたくなった。

ザラザラとした、夜が明ける頃に感じる切なくて淋しい空気を。

下北沢、渋谷、井の頭公園、そこかしこで錆つきそうな青春が吹き溜まっている。 山崎賢人松岡茉優という稀代の若く鋭い感性と共に、自戒を込めてどうしようもない男と女の在り方を映画として映し出せたらと思います。

■ 又吉直樹コメント「自分にとって大事な作品」

『劇場』という小説は、恋愛というものの構造がほとんど理解できていない人間が書いた恋愛小説です。

恋愛小説と呼べるものになっているかすらもわかりません。ただ、若くて未熟な二人がともに過ごしたどうしようもない時間を必死で書いているうちに、作家のわずかな能力を超えて濃密な風景が幸運にも立ち上がったと感じています。

ちょっと表現まわりくどいですか?「こいつなに一丁前に作家ぶっとんねん」と思いました?

でも、本心なんです。それくらい自分にとって、大事な作品です。

信頼している行定勲監督、そして山﨑賢人さん、松岡茉優さんをはじめ、魅力的な俳優陣によって映像になることを嬉しく思っています。

普通、原作者はシンプルな言葉で感謝を綴るくらいが丁度いいと思うのですが、思わず長文になってしまい恥ずかしいです。そして、言い訳しているせいで、より長くなってしまいました。すみません。

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