◆昔は電力会社を選べなかった。しかし今は選ぶことができる

 毎月届く電気代請求。電気の買い先は選択肢がない、選べない……と思い込んでいないだろうか? 確かに昔はそうだった。しかし、もうそんな話はとっくに終わっている。

 電力会社を選べるようになったのはもう19年前。その頃は大きな事業者だけが対象だった。だが、2016年からは家庭や小さな商店でも電力会社を選べるようになった。もうすでに3年が経っているのに、なんでいまだに東京電力の電気を買い続けるのか?

 ご存知のように東京電力は、2011年原発事故を起こした。「事故」というと偶然の惨事のように捉えられるが、そうではない。防げるものだった。

 地震や津波を予想して対策案も出ていたのに、それを揉み消し、対策を怠った。犯罪である。殺人である。放射能がいまだに出ていることや、時間を経ても放射能はなかなか消えないことを考えれば、殺人は続いている。

 そんな東京電力に、なぜ電気代を毎月払うのか。選択肢がないなら仕方あるまい。しかし、他の電力会社を選べるようになってもう3年なのに、いまだに変えていないとすれば、無知か、無関心か、確信犯か。いずれにせよ加害者に加担していることになる。

◆「原発が嫌だ」という人は、大手電力会社から早く変えよう

 この記事を読んで今「電力会社って選べるんだ!」と気づいた方は、加害者側から抜け出してほしい。原発を止めようとしない電力会社(北海道電力東北電力東京電力中部電力北陸電力関西電力四国電力中国電力九州電力)はさっさと解約しよう。

 上記の大手電力会社やその関連で働く方々を、責めようとは思っていない。恣意的な経済システムや会社の方針、上司の指示がそうさせるのだ。人それぞれ事情があり、何かを背負って頑張って働いている方々がほとんどに違いない。責任を負う上層部は別として「システム恨んで人を恨まず」だ。

「原発は嫌だ」という人は、たいていの世論調査でも6割~7割になる。俺の周りでも脱原発志向の方が多い。それなのに「電力会社の契約、変えた?」と聞くと、「えっ!?」という人がかなりいる。だから「早く変えようよ~」と書いているわけだ。

◆電力会社を変えることは、意外と簡単
 俺の場合、2016年4月に低圧区分の電力の小売自由化(家庭や小さな商店なども、電力会社を選べるようになったこと)になって、すぐに東京電力から他の電力会社に切り替えた。たとえ1円でさえも、東京電力にお金を払いたくなかったからだ。
 
 当時、東京池袋で営んでいたオーガニックバーの電気を、東京ガスが始めた電力会社に変えた。東京ガスは電話で問い合わせすると自宅まで来てくれる。簡単な書類を書くだけで15分ていど。1~2か月後には切り替わる。

 切り替わりの際に電気が止まることはないので、心配ご無用。東京電力の解約も自動的に進むので手間いらずだ。ウェブスマホならもっと簡単にできる。その後すぐ、練馬区の自宅の電気も東京ガスに変えた。

 しかし、ここからが肝心。東京ガスは原発からの電気はほとんど使っていないとはいえ、ほとんどが火力発電による電気だ。これでは温暖化を加速させてしまう。火力発電でもっともCO2を出すのが石炭で、それに次いで石油、天然ガス。東京ガスは天然ガス発電なので、火力発電の中にあっては一番良い。しかしそれでもCO2を撒き散らすことには変わらない。

 だから次の段階として、自然エネルギーで発電される電気を買いたいと考えるのは当然だ。ひとまず東京ガスに変えたのは「大手なので対応が簡単で早い」という理由からだった。

◆地域に根ざす、小さな電力会社を応援したい

 それで、いろんな電力会社を調べて吟味し、自然エネルギーの電気を扱う「みんな電力」(世田谷区)に変えた。二拠点暮らしで米作りやNPOを営む千葉県匝瑳市の自宅は、同じく自然エネルギーの電気を扱う「千葉電力」に変えた。

 その後まもなく、オーガニックバーの近所に地域密着の「めぐるでんき」(板橋区)が起業、中心メンバーがよく飲みに来てくれた。彼らはこう謳っている。

「でんきは毎日誰もが当たり前のように使っています。でもでんき代として支払ったお金は地域の外に出て行ってしまって、地域のために使うことができません。めぐるでんきは、でんきでつくったお金を地域に取り戻し、地域をよくするための活動をしている人たちや、地域のために活動したいという人たちに使ってもらう仕組みをつくりました」

「原発や火力発電に依存する世の中を変えたい」という想いで起業した、地域に根ざす小さな電力会社を応援したいじゃないか。今は池袋のオーガニックバー を閉じて匝瑳市で暮らしているので、千葉電力との契約のみとなっている。

◆未来を壊さない電力会社を選ぶための「7つの項目」

 さて、まだ東京電力と契約している皆さん、電力会社を変えたいなら「パワーシフト」と検索しよう。その中には、全国の自然エネルギー由来の電気を売る会社が網羅されている。それらの会社には、以下の7つの共通項がある。

1.「持続可能な再エネ社会への転換」という理念がある
2.電源構成などの情報開示をしている
3.再生可能エネルギーを中心として電源調達する
4.調達する再生可能エネルギーは持続可能性のあるものである
5.地域や市民によるエネルギーを重視している
6.原子力発電や石炭火力発電は使わない
7.大手電力会社との資本関係や提携がない

 ちなみに、俺のもとには「電力会社を変えませんか?」との営業電話がよくかかってくる。「携帯電話と電気の契約がセットでお得になる」というようなサービスも巷でよく見かける。そんな時は上記7つの項目について担当者に聞いてみよう。

 たいていの会社は、原発や火力発電由来の電気がメインだ。「自然エネルギーの電気を売るんだったら考えるけどな〜。原発や石炭で発電する電気は未来を壊すでしょ」と伝えてあげよう。

 料金が気になるだろうが、実はどこもほとんど変わらない。多少お得な期間限定サービスがつくこともあるが、それごときで地域と未来を壊す選択はしないでほしい。

 さぁ、ウダウダしてはダメ。「そのうちに!」なんてのもダメ。そうしているうちにも、あなたのお金が原発や火力発電に流れている。あなたの住む地域で、あなたが選ぶ電気によって、未来を良い方向に変えるんだ。「パワーシフト」と検索して、電力会社と未来を選び取ろう。胸を張って生きるために。

<文/髙坂勝>

【髙坂勝】
1970年生まれ。30歳で大手企業を退社、1人で営む小さなオーガニックバーを開店。今年3月に閉店し、現在は千葉県匝瑳市で「脱会社・脱消費・脱東京」をテーマに、さまざまな試みを行っている。著書に『次の時代を、先に生きる~まだ成長しなければ、ダメだと思っている君へ』(ワニブックス)など。また、筆者の「誰にでも簡単に美味しい料理ができる」調理方法とレシピYoutube「タマツキテキトー料理 動画&レシピブック」で公開中。
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