中国メディア・中国中央テレビは15日、日本の国民食であるカレーの外食チェーンでカレーライスの値段が約30年間にわたってあまり変わっておらず、その背景には日本経済の停滞があるとする記事を掲載した。

 記事は、「日本では、カレーは最も庶民的なデフレ指標と言える」としたうえで、日本の大手カレーチェーン店におけるカレーライスの値段の推移を紹介。1983年にこのチェーン店が初めて開店した際の値段は480円で、それから30年近くが経った現在に至るまで価格が1割程度しか上昇していないと伝えた。

 そのうえで、競争が激しく顧客の価格に対する目が厳しいなかで、このチェーン店ではなかなか値上げをすることができず、水のセルフサービスへの転換などといった工夫をすることでなんとかコストを抑え、ほぼ同じ価格水準を保ってきたとしている。

 記事はまた、日本経済の成長が鈍いことで物価の変動が小さくなっており、カレー粉を含む原材料価格が比較的安定していることから、カレーライスが廉価な国民グルメとして根強い支持を受けていると説明。廉価で簡単に作れるカレーライスが、各家庭で非常に愛される「定番料理」になっていると伝えた。

 さらに、日本では外食や自宅で調理するカレーライスのほかに、レトルトカレーが絶大な支持を得ているほか、カレーうどんカレーパン、さらにはカレー味のスナック菓子などのカレー関連食品が次から次へと出てくると紹介。日本の「カレー経済」市場規模はすでに2600億円に達しているとした。

 高度成長期に国民の所得が急激に増え、さまざまな物価も勢いよく上昇していった時代に比べれば、確かにここ30年ほどの物価の変動はとても小さく見える。しかし、値段は変わらないもののボリュームやサイズが減っている「ステルス値上げ」は着実に進んでいるのだ。以前に比べると、実に多くの食べ物が小さくなった印象は否めないのである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

30年ほぼ値段が変わらない日本のカレー、背景にあるのは良心ではなく「停滞」=中国メディア