欧米でとても人気のあるスポーツ、ヨット(セーリング)。日本では競技人口が少ない中、小学生からヨットを始め、今回ペア種目である420級でインターハイに出場する霞ヶ浦高校3年生の青木武斗くん(写真右)と大石駿水くん(写真左)に、自分たちの強みや大会への意気込みについて伺いました。

全員が主体的に動くレベルの高い部活

―― 練習がある平日のスケジュールを教えてください。

青木:朝は自主練習に取り組み、放課後は16時から出艇し、19時頃まで練習します。練習内容は自分たちで主体的に考えています。例えば今日は初歩レベルに戻り、基本動作をメインに練習しました。その日ごとに話し合って、自分たちの中で「できていない」と思うことに取り組みます。できている人がいる場合も、できていない人に合わせます。顧問の先生からアドバイスをもらうこともあります。


―― 普段のトレーニングや練習で意識的に行っていることはありますか?

青木:部員には全国大会の上位を占めるような人が多いので、その中でも率先して動き、主体的に行動しようと意識しています。具体的に力を入れているのは、マーク(回航するポイント)を回っていく実践的な練習です。

大石:僕が意識的に行っているのは体力づくりです。大会は3〜4日くらい続くのですが、風の強い日が続くと貧弱な体では持たないので、筋力アップのためのトレーニングに毎日取り組んでいます。基礎体力をしっかりつけることで、期間中ずっとフルパフォーマンスで戦えるようにしています。

2人とも負けず嫌いだけど、あえてゆるいノリをキープ

―― チームの強みやここは他校に負けない!という部分はありますか? ペアとしての強みも教えてください。

青木:僕たちの部は定期的な休みがなく、オールシーズン毎日練習しています。練習時間や練習の質の濃さでは他校に負けません。強みは、それぞれが目標を高く持っていることです。前に出る意識が高いため、大会でもいい成績を出すことができています。個人のレベルが高いので団体戦でも他校より有利になります。

大石:ペアとしての強みは、適度にゆるい気楽な関係を保っているところです。基本的にけんかしないようにしているんです。けんかしちゃうと雰囲気が悪くなり、コミュニケーション不足になって、試合結果が悪くなるという悪循環に陥りますから。そうならないよう、ふざけ合ったり、お互いに緊張をほぐし合ったりして体が固まらないようにしています。

青木:周りのペアはもっとピリピリしているところもあります。このゆるさは僕ら独特なものだと思います。

大石:2人とも負けず嫌いなので、負けることは絶対したくないんですけど、あえて今のような気楽な関係でやっています。


―― 監督や仲間などからもらって印象に残っている言葉はありますか?

青木:今日の練習で顧問の先生に、「とにかくお前は下手くそだ。」と言われたことですね(笑)。僕は自分がすごいとは思っていないし、褒められるよりも、厳しい言葉をかけてもらうほうが集中力が高まります。

大石:青木くんの前にペアを組んでいた先輩から言われた「焦らないこと。何が何でもポーカーフェースでいろ」という言葉です。僕はすごく顔に出るタイプなのですが、焦っていることが悟られるとそこが穴になります。ポーカーフェースでいられると自然と心も落ち着き、いい動きができるから、それを意識しろと言われました。正直言うと今でもできていないのですが、いつも胸にある言葉です。

優勝は当たり前と見られる中で臨むインターハイ

―― 目標としている選手は誰ですか?

青木:顧問の西村先生です。元ヨット選手で、高校や大学でも良い成績を出されていた方なので、目標でもあるし、そういう人が近くにいて話を聞いたり相談できたりするのはありがたいことです。

大石:セーリング銅メダリストの関一人(せき かずと)選手です。小学生のころから知っていました。ヨットは日本ではまだマイナーなスポーツです。その中でメダルを獲った人なので、目指したい存在です。


―― お二人が考えるヨットの魅力とは?

青木:自然が相手なので、同じことが二度とありません。いい意味でパターン化されていないので、毎回新しいことに取り組み、挑むことができます。

大石:自然を相手にするスポーツでもあり、戦略や戦術を立てるのに頭も使う。運もあれば実力も表れる。全てが必要なスポーツというところがヨットの魅力だと思います。


―― 高校卒業後の目標を教えてください。

青木:先日行われたJOCジュニアオリンピックカップ2019の420級で僕らのペアが優勝しました。一度日本一になったわけですが、大学進学後はインカレという目標があります。また優勝を狙いたいです。

大石:ヨットでの最終目標は、世界的なスポーツの大会に出ることです。何年後になるかは分からないですが、それに向かってやっていきたいと思っています。

―― 高校総体への意気込みを教えてください。

青木:「優勝は当たり前」の霞ヶ浦高校の名に恥じないよう、ヨット強豪校として見られるよう、強くありたいです。

大石:インターハイのヨット種目はペアの「420級」、シングルの「レーザーラジアル級」、学校対抗戦である「コンバインド」の3種目があります。男子・女子ともに、霞ヶ浦高校としてその全てを制覇したいと思っています。



直近の大会で見事優勝を果たした大石/青木ペア。あえてゆるい雰囲気を大切にしているというポリシーは、インタビュー中の和やかなやり取りにも垣間見られました。一方で、ヨット強豪校としての誇りと責任を持つ大人の顔も見せてくれた彼ら。インターハイやその後の活躍にも期待が高まる頼もしい2人です。

profile霞ヶ浦高等学校 ヨット
青木武斗(3年)、大石駿水(3年)