●ディーゼルを感じさせないエンジンとクイックなレスポンスを持つハンドリング

アルファロメオのスポーティセダンであるジュリアディーゼルエンジンが搭載されました。アルファロメオというとあまりディーゼルの印象がないかもしれませんが、現代の高性能ディーゼルエンジンの基礎技術であるコモンレール式直接噴射方式を用いたエンジンを初めて乗用車に搭載したのはアルファロメオでした。

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ディーゼルエンジンシリンダー内で空気だけを圧縮して、そこに燃料を噴射します。燃焼室に直接噴射する方式を直噴、点火専用の部屋を近くに作りそこに噴射してそこから火炎を伝播する方式を副室式と言います。燃料の噴射は噴射ポンプによって行われますが、その燃料ポンプに燃料を送るための装置をコモンレールと呼びます。

コモンレール式とはこのコモンレールで燃料に高い圧力を掛けておき、燃料噴射するものを言います。

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アルファロメオディーゼルエンジンが最初に搭載されたのは1997年にデビューしたアルファロメオ156です。アルファロメオ1986年フィアット傘下に入っていて、そのフィアットの技術力で生まれたコモンレール式ディーゼル156に搭載したというわけです。

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日本はこのディーゼルモデルは導入されておらず、今回導入されたジュリアおよび同時導入のステルビオが初のディーゼルモデルということになります。排気量は2.2リットルで最高出力は190ps/3500rpm、最大トルクは450Nm/1750rpmとディーゼルエンジンらしく低回転でピークを迎えるものです。

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そのフィーリングは旧来のディーゼルとは異なり、軽々とエンジン回転が上昇するので、まるでガソリンエンジンのようなスムーズさ。

軽々さを生んでいるのは15.5という圧縮比の「低さ」。圧縮比が高いとトルクは出せますが、高い圧縮を得るためには圧縮に使うエネルギーも大きく、そこで頑張るために重たいフィーリングとなってしまいます。トレンドは圧縮比を落として、軽快なエンジンとすることなのです。

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ジュリアディーゼルもその軽快さを生かしたエンジンによって、すっきりした走りが可能となっています。スポーツセダンというのですから、アクセルを踏み込んでスッと加速しなければつまらないです。そこの部分はしっかり確保されています。

ミッションは8速ATで、変速ショックも少なく、ススッと変速していきます。このディーゼルエンジン、もしMTだったらちょっとつまらないかも知れません。MTでスポーティに走るなら、エンジンの回転を調整しながらシフトアップ&ダウンを繰り返して走ることも楽しみのひとつですが、4500回転からゼブラゾーンに入ってしまうエンジンでは、その醍醐味が少ないと言えます。

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ハンドリングはガソリンモデルに引けを取らない軽快さがあります。ディーゼル車はガソリン車に比べて車重が重いという印象がありますが、ジュリアの場合はガソリン2リットルのスーパーよりも10kg増にすぎません。V6・2.9リットルのクアドリフォリオと比べると110kgも軽いのです。そして軽快なハンドリングの元となっているのが、クイックなステアリングギヤレシオです。

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ステアリングをほんの少し切れば、クルマは急激に向きを変えます。これをクイックというか? シャープというか? はいろいろでしょう。ある意味、落ち着きのないハンドリングですが、これをよしとする人達もいるはずです。

ただ、私にはちょっと過敏すぎ、とくに切り始めのシャープさはここまで必要なく、そこの部分は自分で引き出したいと考えます。

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コーナリングの安定感はバツグンによく、長く奥行きがあり横Gがたまるようなコーナーでも安定感を失いません。コーナリング中に頑張っているときにステアリング操作をしても、スッとラインを変えることができるのはさすがの高性能さと感じる部分です。

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ディーゼルモデルの価格は556万円、同じグレードのガソリン2リットルは543万円で価格差は13万円。ガソリン車のエンジントルク330Nmなので、ディーゼルよりもかなり低くなります。

性能的と価格を加味して比べるとディーゼルはかなりいい位置となります。ただ、果たしてアルファロメオディーゼルが似合うのか? 私にはちょっとだけ疑問が残ります。まあ、考えが古いのかもしれません。

(文/写真・諸星陽一)

【アルファロメオ・2.2ターボディーゼル・スーパー試乗】日本初導入となるディーゼルモデルでもアルファロメオらしい走りはそのまま(http://clicccar.com/2019/07/16/882621/)