TVアニメ文豪ストレイドッグスシリーズをはじめ、数々のアニメソングを歌って人気のユニット・SCREEN modeが、待望の3rdミニアルバム『約束の空』をリリース。今作は、これまで手がけたアニメソングとは対象的に、パーソナルな歌詞とシンプルサウンドが詰まった作品。SCREEN modeネクストステージを感じさせるミニアルバムになった。


パッと父親の存在が浮かんできた

――3rdミニアルバム『約束の空』。新曲は、ジャズっぽい雰囲気があったり、しっとりした曲やバラードもあったりするので、大人の音楽ファンでも日常的に楽しめる作品だと思いました。今作は、どういったコンセプトで制作したのですか?

雅友 SCREEN modeアニメソングを歌うことが多くて、歌詞は基本的にそのアニメ作品の内容を歌っています。今回は、「WRIGHT LEFT」を除いてはアニメタイアップがないので、歌う内容のベースとなるものから自分たちで考えました。そこでテーマにしたのが、“自分たちのことを歌う”ということです。シンガーソングライターの方が歌うような内容や、そういう立ち位置からの視点を持った歌詞にしたいと思いました。サウンド的な部分でも、これまで作ってきた派手で音数が多いアニメソングとは真逆の、シンプルなものをじっくり作ってみようと。そういうテーマを持って、1曲ずつ丁寧に作っていきました。

――最新のアーティスト写真(以下、アー写)で、雅友さんがエレキギターを持っていないことも、今作のサウンド感を象徴していますね。

雅友 アー写で持っているのは、今回のために買ったTaylor Guitarsのガットギターです。エレキアコギはたくさん持っているんですけど、レコーディングに耐えうるガットギターを持ってなくて。「約束の空」のレコーディングのために買って、実際にこのギターで弾いています。

――その表題曲となる「約束の空」は、王道感のあるバラード。今どき、こんなにゆったりとしたメロディーの配置があるのかと思うほどいい意味での素朴さや普遍性があると感じました。

雅友 今回はシンプルさを目指したので、サウンド感に合わせて曲のテンポも全体的に遅めです。特に「約束の空」は、テンポを落としたところで一音一音を大切に響かせていくことを、かなり意識して作りました。

勇-YOU- 「約束の空」を作るにあたっては、デビュー6年目にして初めて、雅友さんとセッションしながらメロディを作っていったんです。雅友さんがだいたいのコードを弾きながら、僕が鼻歌を歌ったり、自分の裏声で一番の高音が出るところを探ったりしながら、0からメロディを作っていきました。そういった、楽曲制作の根本のところから一緒に作れたのはすごく新鮮でしたね。音楽の専門学校に通っていたころに感じていた、音楽を作る楽しさを久しぶりに感じられた1曲になりました。

――「約束の空」の歌詞は、勇-YOU-さんのお父様のことがテーマとのことですが。

勇-YOU- ノンタイアップの曲なので、自分の根っこにあるものを打ち出せるいい機会だなと思って。今、自分の身の回りに起きていることで、いちばん大きなことは何かを考えたときに、パッと父親の存在が浮かんできたんです。僕の父親は認知症で、もっと早くにいろいろなことを話したかったという後悔があったし…。痩せ細った父親の背中を観たときに、ふと「これからはお前が頑張っていけよ」と、言葉ではなく後ろ姿エールを送ってくれていると感じた瞬間があって。そのときの気持ちを、歌にしたいと思いました。よく、“子は親の背中を見て育つ”と言いますけど、自分が大人になった今でも、親はそうやって生き方みたいなものを教えてくれるんだなと感じて。その瞬間の気持ちを“約束”ととらえて、それを抱えながら頑張って歩いていかなきゃなって、勇気をもらった感じがしたんです。

――それを勇-YOU-さんご自身が作詞するのではなく、作詞家の松井五郎さんに託したのは、どうしてですか?

雅友 いろいろな解釈のできる歌にしたい、と思ったんです。これを勇-YOU-が自分で書いたら、勇-YOU-だけにフォーカスした歌になって、いろいろな人に届きづらくなってしまう。そこで作詞家さんに、咀嚼して書いてもらうのがいいんじゃないかと。

勇-YOU- 僕と同じ境遇の家族を持っている方はもちろん、恋人や友だちと悲しくも離ればなれになってしまった方など、聴いてくださる方それぞれのなかで、その日々が輝くものになってくれたらいいなという気持ちを込めました。


僕たちにしか歌えない歌を

――今作は勇-YOU-さん作詞の曲も多数収録していて、たとえば1曲目の「ATTITUDE」は、勇-YOU-さんとKino-Seiさんの共作。

雅友 僕と勇-YOU-とKino-Seiさんに、共通する友人がいて。すごく気の良いやつで、言いたいことが言えずにいつも損な役回りを引き受けてしまうやつなんですけど、その彼を応援しようと思って作った歌です。あくまでも友だちはきっかけなので、いろいろな人にとっての応援歌になればいいなと思います。

――「ATTITUDE」には、今のSCREEN modeの“攻めの姿勢”も表れていますね。

雅友 そうですね。今まではこういう曲があったとしても、特定の誰かに歌うことはなくて、不特定多数に向けて漠然と広く歌っていました。でも今作では、「約束の空」は勇-YOU-の父親、「ATTITUDE」は僕と勇-YOU-共通の友人、「Smile」は落ち込んでいる勇-YOU-の友人に向けて作っています。特定の誰かに向けて作ることがきっかけになっていて、それが今作を通して今までと大きく変わったことの1つです。聴いてくれる人には、僕らが向けた特定の誰かを通して、自分のことだと思ってもらったり、似たような境遇の人に共感してもらえたりしたらいいなと思っています。

――唐沢美帆さんの作詞曲「友情ごっこ」は、ロカビリービッグバンドジャズの要素も感じられるサウンドが印象的。勇-YOU-さんは歌の面で、ファルセットシャウトフェイクなどテクニカルな歌声をたくさん聴かせていますね。

勇-YOU- 「友情ごっこ」はトリッキーさのある曲だったので、前回のミニアルバムSOUL』で培ったブラックミュージックっぽい歌い方を活かすことができて、本当に歌いがいがありました。ただ、すごく難しかったです。シャッフルリズムもそうだし、メロディがけっこう細かいので、一文字ずつぶつ切りに聞こえないようにと思って、ブラッシュアップを何回も重ねて、ようやくできました。

雅友 6年目で思うのは、今まで以上に心のこもった音楽を届けるために、音楽の核になるものをもっと強化していかなきゃいけないということです。それで今回は全体的に、歌録りにかなり時間をかけました。「約束の空」も、実は4回録り直しをしているんですよ。もっとイケるはずだと思って、より上のレベルを目指しました。

――「Feel good」は、Dメロをほぼファルセットで歌っていて。全体的に、ファルセットで歌っているものが多いような。

雅友 出せるようになったんです(笑)

勇-YOU- 出るようになったし、地声で出すキー自体も、全体的に前より高くなっています。ファルセットを使っていないところでも、地声でだいぶ高いところが出せていると思います。

――それは、意識して出せるようにと?

勇-YOU- 単純に音域を広げたいというのがあって、2016年の「Reason Living」以降、徐々に挑戦していって。ここにきて、よりコツが掴めてきました。特に「約束の空」は、サビがすごく高くて、こだわりを持ってレコーディングしたから、最後までじっくりと聴いてほしいですね。

雅友 高い声で歌ったほうが、女性リスナーの方が一緒に歌ってもらいやすいというのもあるし。より高音が出るようになったことで、以前は限界ギリギリで歌っていた「Reason Living」も余裕を持って歌えるようになって、それに伴って表現力も高まりました。「約束の空」は、実は2オクターブくらいの音域を使っているんです。徐々に積み重ねてきたものが、ここに繋がってきていますね。

――さてSCREEN modeは昨年5周年を迎え、今作は6年目で最初の作品です。6年目の今、思うことは?

雅友 僕たちにしか歌えない歌、やれない音楽をやる。これはずっと言ってきたけど、できていない部分もあったかなと反省する部分もあって。7年目に向かっている今だからこそ、“自分たちにしか歌えない歌とは何だろう?”と、すごく考えて、そうして完成したのが、今回の作品です。これからも「約束の空」や「smile」のような曲を、もっと増やしていきたいですね。

勇-YOU- 僕自身も、僕じゃなきゃ歌えない歌をもっと考えて追求していきたいです。「約束の空」をはじめ、今作では自分の根っこにあるものを初めて打ち出したに等しい。自分の生の声、生の気持ちが、みんなに響いてくれることを願っています。作詞面でも、もっといろいろな、自分の中にある気持ちを歌詞にできたらいいなと思っています。

PROFILE
SCREEN modeスクリーンモード勇-YOU-(声優・林勇)と、雅友(サウンドプロデューサー・太田雅友)によるユニット2013年TVアニメぎんぎつね』のED主題歌「月光STORY」でデビュー。これまでに10枚のシングル、2枚のミニアルバム、2枚のフルアルバムリリースしており、多くのアニメ作品の楽曲を担当している。

リリース情報
『約束の空』
発売中
価格:2500円(税別)
発売・販売元:バンダイナムコアーツ


ライブ情報
SCREEN mode Summer Live 2019 Laughing Stars
【会場】
下北沢GARDEN
【日程】
8月4日(日)
開場:17時15分~ 開演:18時

SCREEN mode公式サイト
https://screenmode.net/


SCREEN mode公式Twitter
https://twitter.com/SCREEN_mode